りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小んぶにだっこ

11/9(木)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。

・小んぶ「真田小僧
~仲入り~
・小んぶ「らくだ」


小んぶさん「真田小僧
自分は千葉のベッドタウンで育ったのだけれど、当時その町で昼間からぷらぷらしている大人はいなかった、と言う小んぶさん。
みんな何かしら仕事をしていて、昼間ぷらぷらしている大人はかなり目立ってしまっていた。
友だちのお父さんにそういう人がいて、小学生の時にちょっとませた子が「お前の父ちゃんってなにしてるの?」と聞くと、その子はちょっと困った様子で「ええと…釣り」。
「え?じゃお父さんって漁師?」
「いや…そういうわけじゃない…」
みたいな会話があった。
そのお父さんは昼間から自転車に乗ってぷらぷらしていて、子どもに声をかけたりしていた。
今思えばそれは定職についてないダメな大人だったわけで…でも当時自分はそういうことはわからなかった。

今の私。平日の昼間、仕事があるときもあればないときもある。
ないときでも家でごろごろしているのはよくないと思い、稽古をするようにしている。
アパートで稽古をすると近所迷惑になるのでたいていはカラオケボックスに行く。
でもこれが何日か続くと、カラオケボックスに行くのが嫌で嫌でしょうがなくなる。
でも稽古しなきゃいけない。
それでどうするかというと、カラオケボックスに行くまでの間に、いろんなコンビニ立ち寄って何か買っては食べる。
ファミチキを買って表で食べて、また別のコンビニでフランクを買って表で食べて…。
東京っていうのはいいところで、自分が育った町と違って、平日の昼間に大人がブラブラしていても誰も気にしたりしない。
そんなふうにしていて、はっと気づいた。
自分はあの時の何もしてない友だちのお父さんと一緒だ!と。

…ぶわはははは。
もう小んぶさん…何を言い出すかと思ったら…!
ほんとに小んぶさんのまくらは面白い。なにかこう…普通じゃないんだよな。

そんなまくらから「真田小僧」。
金坊の押したり引いたりが、小んぶさんらしいひねりがきいていて、おかしい。
生意気な口をきいても、不思議と憎らしくないのがいいな。


小んぶさん「らくだ」
おおお、らくだ!そう来たか!
体の大きな小んぶさん。兄貴分をちょっと大きな声でドスをきかせると、すごく怖い。
対する屑屋さんがいかにも気が弱く、いつもの小んぶさんらしい「逆らわない」キャラクター。

後半の立場が逆転するところも楽しくて、よかった。
あともう少しこう…最初の部分でメリハリがあるともっと後半が引き立つ気がするな。
これは何かこう小んぶさんの新たな一面が見えていいのでは!がんばれ、小んぶさん!

失われた図書館

 

失われた図書館 (集英社文庫)

失われた図書館 (集英社文庫)

 

 ★

古代アレクサンドリア図書館は、いまも存在している―。射殺された大学教授アルノがエミリーに残した手紙には、7世紀に忽然と消えた伝説の図書館の現存がほのめかされていた。エミリーは、謎だらけの教授の言葉に導かれ、幻の図書館を探す旅に出る。一方、ワシントンDCにも、図書館の行方を追う者たちがいた。手段を選ばない彼らの魔の手がエミリーに迫りくる!ノンストップ史実ミステリー。

タイトルに惹かれて途中まで真剣に読んでいたんだけど…えええ?それって都合よすぎない?いやもしかするとそう見せかけて、のトラップなのかも?と思いつつ、なんだよーそうなのかよーの展開に後半は飛ばし読み。
うーん、ひどい(笑)。久しぶりにひどい。

そもそも大学教授を射殺したプロの殺し屋がなぜエミリーを射殺しないのか。
そしてそれだけねらわれているとわかっていながら盗聴されていることを警戒せずにすべてをぺらぺら喋ったり…。
いろいろ都合がよすぎて、おいおいおい。

霜月の独り看板 第一夜 蜃気楼龍玉「女殺油地獄」

 

11/6(月)東京芸術劇場で行われた「霜月の独り看板 第一夜 蜃気楼龍玉『女殺油地獄』」に行って来た。

・龍玉「女殺油地獄」(上)
~仲入り~
・龍玉「女殺油地獄」(下)


龍玉師匠「女殺油地獄」(上)
龍玉師匠の「女殺油地獄」は国立演芸場で初演をしたときに見に行っていて、その時に龍玉師匠が「これが最初で最後」と言っていたんだけど、再演があって嬉しい。

前座なしで出てきた龍玉師匠。
「我々噺家は季節を大事にします」と。
春なら春の噺、冬なら冬の噺。ただ、秋の噺が少ない。前方で誰かが「目黒のさんま」をやってしまうと、もうない。
でもそういう時のために便利な言い訳があってそれが「噺家の時知らず」。
でもこの言葉を着物を季節に合わせない言い訳に使ってる噺家もいる。
私は今日はもう合わせで出てきてます。羽織も自分で着て出てきたんですが羽織の着方には味のある着方と味気ない着方があって、こんなふうに自分で着るのは味気ない。
何が味があるかといえば、いい女が後ろから羽織をかけてくれて「いってらっしゃい」と声をかけてくれる。これが味がある。
でもある人にそれを言ったらそんなのよりもっと味のある着方がある。それは何かといえば、女が前から羽織を着せてくれる。これが一番味がある。
なぜかといえば、前から着せてくれるということは、顔も近くて抱き合うような形。これで耳元で「また来てちょうだいね」なんて言われたら…!
行くよ行くよ!になります。

そんなまくらから「女殺油地獄」(上)。
前とまくらが違ってるなと思っていたら、深川の芸者だけは羽織を前からかけてくれた。与兵衛が夢中になっている小菊は深川の芸者。
前から羽織をかけながら与兵衛の耳元で「お花見に行きたいけどいい着物がないわ」と言われ、借りた金でほいほい着物を買ってしまった、と。

前に聞いた時より前半は刈り込んである印象。
結末を知っているだけに、お向かいの油屋の女房お吉が与兵衛に対してなまじ親切心を起こしたばかりに…となんともいや~な気持ちになる。
そして大口をたたくけれど何かあると「助けてくれ」とまわりに甘える与兵衛の小心が目に付く。
あれ。結末を知ってるから安心して見ていられると思ったけど、むしろなんかつらい…。
それでも前半は前回同様、落語らしいバカバカしいサゲで少しほっ…。


龍玉師匠「女殺油地獄」(下)
二回目だから大丈夫だろうと思っていた予想は裏切られ、前よりもつらく感じた後半部分。
結局、与兵衛というのはとても弱い人間で、行き当たりばったりで、追いつめられると自暴自棄な身勝手な行動をとってしまう男なのだ。

金貸しの小兵衛の言葉がまるで呪いのよう…。
どうせ殺すならこっちを殺せばよかったのに!と思うのだが、おそらく強い相手には腰が引け、自分がねじ伏せられると思う相手に矛先が向くのだろう。

油まみれになって惨殺するシーンが怖かった…。
落語でこういう世界を描けるってすごいなぁ。後味は最悪だったけど素晴らしかった。

秋の恒例 柳家さん喬一門会

11/4(土)、よみうり大手町ホールで行われた「秋の恒例 柳家さん喬一門会」に行ってきた。


昼の部
・市若「道灌」
・やなぎ「真田小僧
・小んぶ「幇間腹
・小太郎「疝気の虫」
・喬の字「元犬」
・さん若「不動坊」
~仲入り~
・大座談会(全員)
・さん喬「掛取万歳」


やなぎさん「真田小僧
今回の会が、さん喬師匠の芸歴50周年記念ということで、師匠との思い出。
自分は弟子の中では一番下で師匠との付き合いも一番短いですけど、それでももう師匠に教わったことや思い出はたくさんあります。
私が一番印象に残っているのは、まだ前座でもない見習いの時に、師匠のカバン持ちでホールの落語会に行った帰り、師匠とお寿司屋さんに入りました。廻らないお寿司です。カウンターに座ってそれだけでもテンションが上がっているのに師匠が「今日はなんでも好きなものを頼んでいいぞ」と言って下さった。
「え?ほんとですか?ほんとになんでもいいんですか」
「なんでもいいよ」
「じゃ…あの…サーモン20貫!」
「ばかやろう!!」

あ、サーモンはダメなんだ、と思った、と。

…ぶわはははは。
真田小僧」はあんまり好きな噺じゃないし、やなぎさんもあんまり好きなタイプの噺家さんじゃないんだけど、ところどころに入るくすぐりが結構ツボで面白かった。


小んぶさん「幇間腹
師匠の思い出というと、うちの師匠は消防車が好きなんです、と小んぶさん。
この間三鷹で行われる師匠の会に出させていただいた時、車で行こうということになり、師匠と小太郎兄さんと私の3人で車に乗った。
私も小太郎兄さんの免許を持ってないものですから、運転は師匠。上下関係より日本の法律が優先されるわけです。
そうしたら対向車線に消防車が。すると師匠が助手席の小んぶさんに向かって「おい、消防車だぞ」。
わかってるよと思いながらも「はい、そうですね」。
「かっこいいなぁ…。」としみじみ言う師匠に小んぶさんも「そ、そうですね。かっこいいですね」。
大きな火事だったらしくその後も何台も消防車が来たのだがそのたびに師匠が「おい、消防車だ」「かっこいいなあ」「あ、今度ははしご車。あれで高いところの火を消すんだな」。
師匠がこんなにも消防車を好きだとは知らなかった。これが私にとっての一番の思い出です。
…って、小んぶさん…。

誰に教わったんだろうといつも思う小んぶさんの「幇間腹」。初めて聞いた時は度肝を抜かれたけど、もう慣れた(笑)。
カルテ取りのばかばかしさにいつも笑っちゃうんだけど、それがサゲにもつながっていることに初めて気が付いた。ばかだー。

小太郎さん「疝気の虫」
面白かった!小太郎さんの「疝気の虫」。
テイトで小太郎小んぶの会を見た時はあくの強さが苦手だなぁと思っていたんだけど、大きなホールでも十分にお客さんを惹きつけていてすごいと思った。


さん若さん「不動坊」
また不動坊!え?今「不動坊」流行ってるの?
若々しくてメリハリのある「不動坊」。とても生き生きしていて楽しかった。
真打になったらなんか化けそうだな、この方も。

大座談会(全員)
師匠を囲んで弟子11人が並ぶ大座談会。司会は喬太郎師匠でテーマが「師匠に聞きたいこと」。
45分の予定で1時間10分。でもその時間が本当にあっという間で、いいものを見たなぁという満足感でいっぱい。
ふざけた質問から師匠をえぐるような質問まで。答えるさん喬師匠が本当に素敵で何回か、こんな話を聞けるとは、うぉぉおおおーーーっとなった。

・あげてもらってないのにやってる噺は?
・苦手なタイプの噺は?
・自分ではいいと思っているけどお客さんにウケなくてやらなくなった噺は?
・趣味は?
・私の名前どうしましょう?
などなど。

さん喬師匠が二ツ目の時に得意にしていた噺があったんだけど、これをある時「これってありえないんじゃない?」と思ったとたんにお客さんに全然ウケなくなったという話をされて、噺家の理屈はお客さんに伝わるから噺に広がりがなくなってしまう。理屈を考えすぎない方がいい、という深~い話になった時、喬之助師匠が「ここに理屈抜きのやつがいる」とさん助師匠を指さして、そうしたらそれまで一言もしゃべってなかったさん助師匠が「はい」と手を挙げて、マイクを渡されたら「プライベートで師匠の初デートは?」とそれまでの流れを全く無視した質問を放ったのがほんとにおかしかった。
…理屈抜き(笑)。


趣味を聞かれた師匠が何かを作るのが好き、とおっしゃっていたのも面白かったな。昔は踊りに使う小道具なども凝って作っていた。あ、そういえば、喬太郎のスカートを作ったこともあったよな。
ああ、ありましたね、なんて。なんかいいなぁ…。こういうの。

あとさん若師匠が「名前どうしましょう」と聞いて師匠がこういう名前がある、ああいうのがあると言っていたとき、さん若さんはそれほどストレートに「え、それは…」と言えない風だったんだけど、喬之助師匠が「〇〇〇?さん若が?!ぶわはははは!」と笑うのがすごくおかしかった。この一門の明るい雰囲気ってこの師匠のおかげっていう気がする。

あと噺を教わるという話題の時に、さん喬師匠が「この師匠のこの噺がいい」とか「ここをこういう風にやっているところが好き」とかそういうことで教わりにいけ、と言っていたのが印象的だった。
敷居が高いとか自分がいくのはおこがましいとか思うだろうけど、自分はこういうのが好きでこういうところを知りたいと聞かれて、答えない噺家はいない、と。
あと例えば先輩に教えてくれと言われて教えてその人の方がずっと面白かった時、悔しいけどすごく勉強になる、って言っていたのも面白かったなぁ。

とにかく喬太郎師匠の司会が絶妙でまじめとふざけのバランスもよくて、どんな質問に対しても師匠がこちらが思っているよりたっぷり答えて下さるので、本当に楽しくて素晴らしかった。満足。

夜の部
かな文「金明竹
小傳次「悋気の独楽
喬之助「堀ノ内」
左龍「花筏
~仲入り~
喬志郎「のっぺらぼう」
喬太郎「スナックランドぞめき」
さん喬「笠碁」
~仲入り~
さん助「三助の遊び」
さん喬「中村仲蔵

喬之助師匠「堀ノ内」
浅草の代演に行った時に楽屋のピンク電話に天どん師匠から電話が入り、「今から飲みましょうよ」と。
二人で池袋のもつ焼き屋に行ってくだらないことをああだこうだと喋っていると、隣に座っていたカップル。男の方がトイレに行ったとたん、女の方が「あの…天どん師匠、ファンなんです」と話しかけてきた。
自分大好きな天どん師匠はファンと言われて気を良くしてご機嫌で話していたところに帰ってきた彼氏。
自分の彼女が自分がいない間に男たちと親しげに話していたので、なんとなく不機嫌に。
その後「他は誰が好きなの」という禁断の質問に「喬太郎師匠が好きです」と答えた途端、今度は天どん師匠が不機嫌に。その子に対する態度がどんどんぞんざいになってきて、それを見ていた喬之助師匠は「すげーなこの子。15分足らずの間に二人の男を不機嫌にした…」と思った、と。

そんなまくらから「堀之内」。
おっちょこちょいの男のぱーぱーしたところが喬之助師匠にぴったりでおかしいおかしい。
途中男がほんとだったらポストを人と間違えるところ。
「なんだこれ。赤いな。やけに。…げっ、酔っぱらった川柳川柳じゃねぇか!あぶね!」には大笑い。
楽しかった。


喬太郎師匠「スナックランドぞめき」
おお、噂の「スナックランドぞめき」をようやく聞けた。
子どもの頃、都会といえば池袋だったので、喬太郎師匠が言っていた池袋駅の風景はよく覚えている。
そうそう。なんかうらぶれた立ち食いソバとかが集まってるエリアがあるなと思っていたけどあれが「スナックランド」という名前とは知らなかった。
長丁場で落語落語だから一門会の時の喬太郎師匠はいつも激しくはっちゃけている。
たくさん笑ってすっきりした。


さん喬師匠「笠碁」
この笠碁がとてもよかった。
さん喬師匠の落語ってわりとみんな静かに喋るから、おじいさんたちの意地の張り合いもキンキンしてなくて品が良くてそれだけに顔で「おねがい」したり、むくれたりするのがかわいくて楽しい。

前にも見たことがあったと思うんだけど、二人が仲直りするシーンには涙が出てしまった。
サゲも違っていて、よかったなぁ…。


さん助師匠「三助の遊び」
この日、休憩コーナーでさん喬師匠の本の物販があったんだけど、そののぼりの近くに立ってお客さんに声をかけていたさん助師匠。
きれいな女性がカメラを持って近づいてきて「あの…写真をいいですか」と言われ、うひょー!俺も捨てたもんじゃない?と喜んだら「あ、あののぼりをとりたいので…(どいてください)」。
ですから私は今、ハートブレイクです。には笑った。

そして先代さん助師匠のまくらから「三助の遊び」。
寄席で見るのとこういう大きなホールで見るのとではまた印象が違う。
動きも少ないし地味というかレアな噺だよなぁ。でもすごくさん助師匠らしくていいなぁと思う。

花魁がひそひそ話をしているところ、妙に色っぽくて笑っちゃう。
楽しかった!


さん喬師匠「中村仲蔵
さきほどのさん助がやったのはずいぶん珍しい噺ですね、とさん喬師匠。今日は自分の弟子の噺を本当に久しぶりに聞いた。
自分は前座の時は基本的には毎日弟子を家に来させていた。そうすると自分のプライベートもなくなるわけで、そうするには自分の方にも覚悟が必要になる。でもそういうことを引き受けるのが弟子をとることでもあるわけで。
弟子というのは自分の子どもとは全く違うわけで、でもだからといって弟子の方への情のかけ方が薄くなるというのでも決してない。
でも高座に上がればみなライバルでもある。そこがまた面白い。

そんなまくらから「中村仲蔵」。
なんかこういう一門会で…弟子との座談会なんかもあったあとに最後に「中村仲蔵」っていうのにじーんとしてしまう。

役を見て肩を落とす仲蔵をおかみさんが励ますと声をあらげるところ。静かな語り口なだけにどきっとする。
いい工夫が思いつかずにいたところに雨に濡れた浪人を見て「これだ!」とくいつくところ。芸に熱心なところがうかがえて面白い。
鳴り物も入って台詞なしで芝居のポーズをとるだけのところもあったりしてたっぷりの「中村仲蔵」。

とてもよかった。

たっぷりさん喬一門漬けの一日、途中で気を失うかも、と思っていたけどそんなこともなく最初から最後まで楽しんだ。

23000: 氷三部作3

 

23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)

23000: 氷三部作3 (氷三部作 3)

 

 ★★★★

 「原初の光」を目指す教団は、二万三千の金髪碧眼の仲間を捜索する。20世紀初頭ツングース隕石に始まる驚異の三部作、完結。

 

氷三部作の最終章。
この意外な結末。そうきたか…!
カルトや全体主義に走る世界を皮肉ってる?と思いきや、最終的には全てが砕け散り…そして創世記のような展開へ。

正直間が空いたので一部二部の記憶もあいまいだし、この三部も後半の飛躍について行けなかったので、ちゃんと読み取れた気がしない。

ソローキンにしては(!)叙情的だったので、内容のわりに静かで美しい印象。

第5回・夏丸谷中慕情

11/3(金)、Chi_zu2号店で行われた第5回・夏丸谷中慕情に行ってきた。


・しん乃「レビューラヴレター
・夏丸「風の神送り」
~仲入り~
・夏丸「表札」
・夏丸・しん乃「対談」


しん乃さん「レビューラヴレター
いきなりものすごい本格的に歌い始めたのでびっくり。ななななにこれ?日るねちゃん、もといしん乃さんってこういう芸風だったっけ?
夏丸さんに歌うように言われたと言っていたけど、しん乃さん、実はものすごい宝塚ファン。入りたくて目指していたというのも知らなかったし、その傷が最近になってようやく癒えた、というのも知らなかった(笑)。

芸協噺で「ラブレター」って聞いたことがあるけど、これはその宝塚版なのかな。
まーぶっとんでて、でもすっごくおかしくて、ひっくり返るほど笑った。
廃業してからもう一度別の協会で入門しなおすことについてはいろいろ意見はあるだろうけど、とにかくこんなにのびのびして楽しそうな姿を見られたのは嬉しかった!

夏丸さん「風の神送り」
「風の神送り」とは渋い!私この噺、今松師匠と小満ん師匠でしか聞いたことがないよ。今松、小満ん、夏丸って…(笑)!
夏丸さんの語りって、淡々としている中にすごいバカバカしさがあって、そのギャップがまたすごく自然で無理がないのが魅力。
不思議な人だなぁ…。すごく繊細な部分とふてぶてしい部分が見え隠れしていて、このバランスが絶妙だ。
風の神送りも、最後の部分で「なんだチミは」っていきなりドリフになるのがもうツボで。笑った笑った。
楽しかった。


夏丸さん「表札」
この間、池袋演芸場で途中から聞いたんだった、この噺。
その師匠のより百倍面白かった。

仕送りしてくれてる父親に内緒で大学を辞め就職して結婚もして子どもも3年の間に4人も作ってしまった男。
その父が田舎から訪ねてくるのでどうしようとアパートの隣の部屋に住む童話作家の男を訪ねると、それなら自分の部屋を使いなさい、と言う。
父親を隣の部屋で迎えてあれこれ話をしていると「お前もそろそろ大学卒業を諦めて就職をすれば」と父。「え?おとうさん、私が仕事をした方がいいですか?」
父親の反応を見ながら事実を伝えていく息子…。

どーでもいいようなばかばかしい内容なんだけど、夏丸さんが「え?おとうさん」と繰り返すのがなんかやたらとおかしくて大笑い。
昭和テイストの噺が夏丸さんのクラシカルな風貌に合ってる!楽しかった~。

 

鈴本演芸場11月上席昼の部 二代立花家橘之助襲名披露興行

11/3(金)、鈴本演芸場11月上席昼の部 二代立花家橘之助襲名披露興行に行ってきた。


・やまと「子ほめ」
・仙三郎社中 太神楽
・歌橘「お血脈
・柳朝「芋俵」
・にゃん子・金魚 漫才
・歌る多「宗論」
・歌武蔵 いつもの
・圓太郎「化物使い」
・アサダ二世 マジック
・一朝「芝居の喧嘩」
・歌司「小言念仏」
~仲入り~
・襲名披露口上(一朝:司会、橘之助、歌司、市馬)
・楽市 紙切り
・市馬「目黒のさんま」
・橘之助 浮世節


歌橘師匠「お血脈
見たことあるけど、自分のブログを検索しても出てこなかった…。
断食道場で14キロ痩せて、解放されて駅前の松屋でたらふく食べてその時点ですでに4キロリバウンドした、っていう話がおかしかった。
でもなんかいつも必ずこれをやっているような気がしなくもない。


歌る多師匠「宗論」
キリスト教かぶれるのが若旦那じゃなくてその家の一人娘なんだけど、娘になったからっていってどこも面白くなっていなくて、というか入れてる工夫が全て全然面白くない。
すごいな、ここまで面白くないのって。でもこれが面白いっていう人もいるんだよね、きっと…。
別にこの師匠に対して思うところは何もないんだけど、下手じゃないのにこんなに面白くないと逆になんだろう?と不思議になってしまう。
いつかこの師匠の落語でくすりとでも笑える日が来るのかしら。


圓太郎師匠「化物使い」
ようやく…ここにきてようやく落語で笑った。長かった…。途中で何回も気を失った。私にしたら珍しく。
圓太郎師匠もそんなに好きなタイプの噺家さんではないのだけれど、いやぁ…面白かった。当社比120%ぐらい面白く感じた。
人使いの荒い旦那と息がぴったりあった田舎から出てきた奉公人が、「それをおらが村ではホスピタリティと言うだ」がめちゃくちゃおかしくて大笑いだった。

一朝師匠「芝居の喧嘩」
「なにを~?」とあちこちで喧嘩が持ち上がるおかしさ。
この噺を面白く聞かせられるのって一朝師匠以外思い浮かばない。


歌司師匠「小言念仏」
小言を言う時に木魚を止めちゃうのが気になってしまう。そこは止めちゃダメでしょう!って私は何様だ。
小三治師匠の小言念仏を聞きすぎているせいかも。


襲名披露口上(一朝師匠:司会、橘之助師匠、歌司師匠、市馬師匠)
一朝師匠 橘之助師匠のことを入ってきたときからかわいくて、今も本当に美しい、と一朝師匠。顔じゃないよなんて言うけどそんなことはない。やっぱりきれいな方がいいに決まってる。でももちろんきれいなだけじゃなくて芸がいい。そして品がある。
手放しで褒める一朝師匠。すごいなぁ、みんなに好かれているんだろうなぁ、橘之助師匠。

市馬師匠 入門時期が同じぐらいだから一緒に修業をしたと市馬師匠。
もうとにかくこの美貌ですから。そしてきれいな女性はいるものだけど、この人には品がある。品っていうのは持って生まれたもので後からどうにかしてつけようとしてもつくものじゃない。
そしてとても努力家。橘之助という大きな名前を彼女がまたもっと大きくしてくれるだろう、と心のこもった言葉。

歌司師匠 私は師匠のところを72回ほど破門になりかかりましたけど、彼女は一度もない。本当に師匠のお気に入りでした。なにせ私たち弟子はみな師匠のところに「弟子にしてください」とお願いにいったけど、彼女だけは師匠の方から「弟子になってください」ってお願いされたんですから。
名前にはあまりこだわりのなかったあの師匠が橘之助という名前を小円歌さんに継がせたがった。これは大変なこと。
彼女は美貌はもちろんだけどとても努力家。この人のことを楽屋で悪く言う人は一人もいない。

みんなが手放しで褒めて心から応援していることが伝わってきて、じーんとしてしまった。
司会の一朝師匠が「市馬さんの口上を聞いて、あ、やっぱり小円歌さんに惚れてたな、と確信しました」と言ったのがおかしかった。


市馬師匠「目黒のさんま」
殿様が似合うなぁ。わがままだけど家来のことをちゃんと思う殿様の姿が浮かび上がってくる。

楽しいなぁ。この噺、大好き。さんまが食べたくなる!


橘之助師匠 浮世節
師匠でいいのか先生の方がいいのか呼び方がわからない。
いやぁもうほんとに美しい。なのに全く気取ったところがなくてさばさばしていて庶民的。庶民的だけど品があるんだよなぁ…。
いつもの三味線漫談じゃなくて、浮世節とか「たぬき」とかものすごーーーく難易度が高いものに挑戦していて、歌司師匠が言っていた「努力家」という言葉がうなづける。
とくに「たぬき」の超絶難しそうなことといったら!どれだけ練習したんだろう。名前を継ぐということはこういう変態的に難しいものにも挑戦しないといけないってことなのか。すごいなぁー。
緊張しているのが見ていてわかるんだけど、きっと回を重ねるごとに楽しくなってくるんじゃないかな、と思う。
お披露目、もう何回か行きたいけど、どうやら私は圓歌一門に苦手な噺家さんが多いみたいなんだな…。

さん助ドッポ

10/30(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助「庚申待ち」
~仲入り~
・さん助「安兵衛狐」
・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十三回「熱海にて」


さん助師匠「庚申待ち」
11月号のかわら版の最後のページの長井さんのコラムで取り上げてもらったさん助師匠。
池袋演芸場に長井さんがいらしていたことも知らなかったさん助師匠のもとにその晩遅くに登録してない番号から電話があり「話を伺いたい」。
誰?なに?こわい!と思ったさん助師匠。
次の日メールが来ていて、それで初めて電話の主が長井さんだとわかったらしい。

池袋でやった「三助の遊び」についての取材を受け、その時にこのさん助ドッポのことも聞かれたんだけど、西海屋騒動を続きでやっていると話したら「そんなんで客が入るの?」と言われ、「来ます。…いつか必ず。」と答えたらしい。
「どんな人たちが来ているのか見てみたい」とまで言われた、というのには笑った。

いつもは「西海屋騒動」を先にやって、仲入り後に軽めの噺をやるのだけれど(どよ~んとなってお客さんが帰るのはかわいそうということで)、今回は構成を変えます、と。
とういのは今日やる「庚申待ち」、普通やられているのは志ん生師匠のかたちなんだけど、自分は速記本をもとにしていまして、これが長い上にあんまりおもしろくない…。
もともとニツ目の時に速記本から掘り起こしたんですけど、ニツ目でやるのはよくないかなと思って真打になったらやろうと思ってた。
ですので…どういうことになりますか。

そんなまくらから「庚申待ち」。
この噺、前に雲助師匠で一度聞いたことがあるけど、そのときも「最近はあまりされてない噺」と聞いた覚えが。

庚申の日に三尸 (さんし) の虫に悪口を言われないように寝ずに番をするという風習があった。
馬喰町にある大きな宿屋。主人が大変信心深い人で、庚申の日には客を泊めず、村の人たちを集めて一晩中話をして寝ずの番。
呼ばれてやってきたくまさん。
友だちの泥棒の源兵衛と向こう見ずのはっつぁんも連れてきた、と言う。
部屋に入ってみると、大勢人が集まっていて、剣術の先生が取り仕切っている。

毎年、好き勝手に喋っているけど、今年は百物語をしましょう、と先生。
一人ずつとっておきの自分が体験した怖い話をする。そうすると例年のように途中で勝手に寝たりしなくなるだろう、と。

それじゃ手始めに先生からお願いしますというと、私が剣術の修行に出ていた時、真っ暗な山道を歩いていると人の声がする。何かと思って隠れて見てみると、座頭(盲人)とそのお付きの太鼓持ちの二人が、盗賊につかまっている。
金を出せと言われて座頭がそれを拒むと盗賊は座頭を踏みつぶしてしまう。
太鼓持ちが「主の仇!」とつかみかかろうとするとまたそいつも踏みつぶしてしまう。
そして、太鼓もちをはぎ取っては座頭につけては投げ、(太鼓)もちを取っては砂糖(座頭)につけては投げ…。

…ぶわはははは。最初がおどろおどろしく始まって、結局ただの落とし噺。
話してる途中で源兵衛(なのかな?)がまぬけなツッコミを入れるのがいちいちおかしい。
このさん助師匠の後ろから茶々を入れる人ってすごくおかしい!ああ、これ「子別れ」の時のろくちゃんだ!

そんな話が続いた後に、くまさんが「こんな落とし噺じゃなくてほんとにあった怖い話を」と言って、自分が博打で一文無しになった時、癪で苦しむ老人を助けようとしたところで懐に百両あることに気が付いて、手拭いで絞殺した、という話をし始める。
お金を持って寂れた宿に泊まるのだが、手水に行った時、外の灯りがついたり消えたり…。
と話していると、またまた源兵衛が「それ、電灯を変えた方がいいんじゃない?」と言ってくるのが、たまらなくおかしい。

この後は宿屋の仇討ちの形になるんだけど、面白かった~。

さん助師匠「安兵衛狐」
この間、ぎやまん寄席で初めて聞いた「安兵衛狐」、あの時は後半部分がちょっともっさりしているなぁと思ったんだけど、かなりそこをカットしてすっきりしていた。
そして源兵衛の部分もあの時とがらっと変えていて、ばかばかしさが増してすごく面白くなっていた。

長屋の4人が源兵衛を萩を見に行かないかと誘うと「萩なんか見てどうするんだ」とひねくれる源兵衛。
おれは墓見に行くんだ、一緒に行くか?と言って、4人が「いやよしておくよ」と言って帰っていくと、「あーー。おれはどうしてもこんななんだ。萩…。行きたかった!」とおでこを抑えるのが、たまらなくおかしい。
墓場に着くと「どうせ飲むなら女の墓がいいな。ここにしよう」と言って墓の前に座ると、「じゃ、ここで失礼しますよ。」と墓に話しかけ、「一緒に飲みましょう」と懐からお猪口を二つ。
「生前はいい女だったんじゃないですか」なんて言いながら「あ、でもすごいばばあだったらどうしよう!」に大笑い。
卒塔婆を直してやってから、「俺も偏屈なんて言われてかみさんが来ないんですよ。誰かいませんかね」って墓に話しかけたりして…バカだねー(←ほめてます)。
そして墓を後にするときに、源兵衛が信じられない行動に!これは賛否わかれそうだけど面白い。あとは幽霊が訪ねてくるところとの違和感がなければ…。

女がもともと知ってる女で…というところもばっさりカット。
ああいうどうでもいいような(失礼!)細部にさん助師匠ってこだわりがあるのかな、と思っていたので、それにも少しびっくり。

一方の安兵衛、狐を助けた後に、まー恩着せがましいこと(笑)。
「俺が助けてやったんだからな。なけなしの銭で。おれの顔覚えておけよ」って。

狐の嫁さんが山に帰ってしまうところもなく、なんか面白かったなー。
ぎやまん寄席で見たおかげでこうやって噺を作り上げていくのか、という過程がわかったのが、とても面白かった!


さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第十三回「熱海にて」
そのまま気を取り直して「西海屋」へ入ろうとしてから、「あ。私、今回順番を変えたるもので…だめですね。段取りが」ともごもご。

実は毎回この「西海屋」の高座は録音してるんです。どれぐらい時間がかかったんだろうとか、いろいろ勉強のために。
ですが今回はこういう順番にしたので録音ボタンを押すタイミングが…。
すみませんが、ちょっとここで…。

と、後ろにおいていたICレコーダーのボタンを押すさん助師匠。
そういうハイテクな道具を使いこなしてるんだ?!って、そっちにびっくりだよ!
そして、毎回こういうトンデモない噺を自分で構成してネタ卸ししてるだけでもすごいのに、それをちゃんと録音して再構築しようとしているのか!とそれにもびっくり。
なんかやっぱり面白いなぁーさん助師匠って。
向いている方向が他の噺家さんとは違ってて。そこに惹かれるんだな、と思った。

で、西海屋。

嘉助が松太郎を連れていなくなったと聞いた清蔵は、約束通り松太郎を殺したのだと思いこんで喜ぶ。
頃合いを見計らって計画通りお静を妻として向かい入れる。
派手好きのお静は昼間から役者や噺家太鼓持ちを呼んでどんちゃん騒ぎをするが、店の方はますます繁盛し、「西海屋」と言えば知らぬものはいないほどの栄華を誇るようになる。

ある時、清蔵はお静や店の者を連れて熱海へ遊びに行く。
その中には鳶の頭、勝五郎もいたのだが、勝五郎はただ一人清蔵のことを胡散臭く思っている。しかし世話になっているので表面上は言うことを聞いている。
熱海の宿の泊り客に、顔が吹き出物だらけで醜い男がいた。名前を久兵衛といい、みな気持ち悪がって寄り付かなかったのだが、なぜか勝五郎は馬が合い、二人で碁をやったりして仲良くなる。
久兵衛に清蔵のことを尋ねられた勝五郎は、彼がもともとは身投げした男が連れていた子どもだったこと、西海屋の先代の主人に命を助けられ、いろいろあって主人にまでのぼりつめたことを語る。
そして近くに来たら寄ってくれと言って二人は別れる。

勝五郎がいなくなったあと、部屋で久兵衛がひとりごと。
それによれば、久兵衛は清蔵の兄で、清蔵を連れて父親が出立した後、母は亡くなってしまい、毎日村の人たちから嫌がられながらも食べ物をお情けで分けてもらい、這いつくばって生きてきた。
両親がやっていた油屋でどうにか食いつなぎつつも博打が好きで身を持ち崩し、やくざの世界に足を踏み入れ厄介になり、遊びが過ぎて顔にできものができたので、熱海に療養にやってきていた。
風呂場で清蔵を見た時に、面差しと背中の痣でもしや生き別れた弟ではないかと思い、勝五郎に近づいて聞いてみればやはり…。
ものすごい出世をしたのに兄の自分を訪ねもせず自分だけいい目にあっているこの不人情。自分たちを捨てた父親と同じ。
これから日を改めて店を訪ね兄だと名乗り、金づるにして遊び暮らそう。

その言葉通り、ある日西海屋を訪ねた久兵衛
金を払えと言う俥屋に「金ならこの店の主が払う」と嘘ぶき、店の者にも「主人を出せ。兄貴が来たとそう言え」と怒鳴る。
取次ぎをした小僧に声をかけた久兵衛、小僧が「義松」と名乗ると、「かわいいやつだ。お前のことは覚えておこう」と。
部屋に入れてもらった久兵衛は、清蔵を脅しにかかるが、清蔵も負けてはなく、悪党二人が罵りあう修羅場に…。


…また悪いやつ出てきたー。
久兵衛と清蔵の対面の場面は、西海屋騒動が始まったころの花五郎の章を思い出させる。任侠っぽい感じ(そもそも任侠がよくわからないんだけど)。
兄弟そろってこうなんだから、親父も相当悪かったのかもしれないなぁ。
そしていきなり取次の小僧で出てきたのが義松。
キミは主役じゃなかったんだね。でもまた出てきたね。また一役買うのかね。小悪党として。でも小悪党なんてもんじゃないよね、いろんな人殺してるんだから。

いやでもいよいよ終盤に差し掛かってきたみたいだ、西海屋騒動。
これが終わったらこの会も終わってしまったらどうしよう。いやだからねー。続けてねー。頼むよー。

柳家小三治 柳家三三 親子会

10/29(日)、関内ホールで行われた「柳家小三治 柳家三三 親子会」に行ってきた。


・小かじ「狸札」
・三三「五貫裁き
~仲入り~
・そのじ 寄席囃子
小三治「宗論」

 

三三師匠「五貫裁き
親子会といっても別に本当の親子なわけじゃありませんから、と三三師匠。たまに本当にそう思っている方がいらっしゃる。
あんなのからこんなイケメンが生まれるはずがありません。
ってきょうは大きなホールだからそう言うんですよ。小さいホールだったらこんなこと言いません。

そんなまくらから「五貫裁き」。
テンポといい口調といい、スムーズでお手の物感がハンパない。
すごいなー三三師匠は。
正直、三三師匠のこってりギャグを入れた「粗忽長屋」や「元犬」は好きじゃないんだけど、これは余計なものがあまり入ってなくて、クスグリの塩梅がちょうどよくて、好きだった。
貫禄を感じる。すごい。

 

小三治師匠「宗論」
なんかご機嫌な小三治師匠。
手術の話をしたあとで客席を見まわして「危なかったんですよ、意外と。東京の病院だったらまだ入院してたし…。当然そうなったらここもお休みしないといけなかったし。今日はこうしてみなさんにお会いできてよかった」に、じーん…。

京都の病院、小三治師匠の末の娘さんがテレビで見て「おとうさんを治せるのはこのお医者さんしかない!」って言ってきてそれでそこにした、というのは初めて聞いた。
いろいろ悪口?言ってたけど、満足しているんだろうな、というのは伝わってきた。
手塚治虫の漫画のあの…あぶねぇ医者みたいなやつ」って…ブラックジャックですね(笑)。

そして今日も陰陽、宗旨のまくらから「宗論」。
この間の「宗論」より伸びやかな印象。楽しかった。

第6回北とぴあ三遊亭圓馬独演会

10/28(金)、「第6回北とぴあ三遊亭圓馬独演会」に行ってきた。

・馬ん次「芋俵」
・圓馬「猫の災難」
~仲入り~
・小助・小時 太神楽
・圓馬「不動坊」

馬ん次さん「芋俵」
「鯉が高い」の小噺、大好き。泥棒のまくらでこれをされるとそれだけでポイントアップ(笑)。
大きな声でのびのびとした前座さんらしい落語。好きだな。
最後にお辞儀をするタイミングが早過ぎたような気がする。どうでもいいことだけどもう少しためてお辞儀をしたらもっとたくさん拍手ができたのに。


圓馬師匠「猫の災難」

ここ北区はお年寄りに優しい町と圓馬師匠。
なんでもこのホール、一階にパイプオルガンがあって、その演奏を無料で(?)聞くことができる。
パイプオルガンというと演奏されるのはクラシック。それもバッハ。曲はフーガト短調
と言って、圓馬師匠がメロディを口ずさむので大笑い。
この音楽がパイプオルガンで演奏されるとですね。
上の方にこう…羽のついたやつがね…舞い降りてきて…お年寄りを安らかな眠りに…。

…ぶわははは。なにを言い出すかと思ったら。
バカバカしいなぁ!
圓馬師匠のまくらってどう転がっていくか分からないスリルがたまらない。

酒のまくらから「猫の災難」。
テンポがよくて、くまさんに悪気がなくて、兄貴がさっぱりしてて、気持ちいい。
酒を飲んで意地汚くなるくまさんがおかしい。
くまさんが気持ちよくなって歌うところも声が伸びやかでいいなぁ。
そしてなにより酒がうまそう!飲みたくなる~。

小助・小時 大神楽
何度か見てるけど、こういう大きな会場で見るとまた印象が違う。
小時さんの五階茶碗で小助さんが話し始めたら場内から笑い声が。
これが小助さんのツボにはまったらしく、くしゃっと藁ったら笑いが止まらなくなって、見ていておかしいやら心配やら。
小時さんが「早くよこせ」のポーズをとるのが、おかしかった~。
かわいい二人。

 

圓馬師匠「不動坊」
噺家仲間と山登りをしているという圓馬師匠。
体を鍛えなきゃという一心らしいんだけど、先程の小時さんも次回は一緒に登ることになってる。
彼はいつも着物なんだけど、山登りの時はそれだと動きづらいよ。ちゃんとした格好で来てね、と言ってあるけど果たしてどんな格好で来るか。
前も膝が隠れるズボンにリュックで、と連絡してたのに、当日半ズボンニポーチで来た人がいた。
どうも芸人っていうのは人の言うことを聞かないっていうか、メールをちゃんと見ないっていうか、そういうところが面白い。

それからこの日売っていた圓馬珈琲について。
真打に昇進した時に高崎のコーヒー屋さんがお祝いで作ってくれた圓馬珈琲。このたび復刻しました、と。
高崎でこの間、松鯉先生と二人会をした。その時、タクシーで会場入りした松鯉先生が「タクシーの中に携帯を落として来てしまった」と顔面蒼白。
普段何事にも動じない男らしい先生がほんとに絵に描いたみたいにおろおろしている。
ああ、でもタクシーってわかってるなら領収書を見れば電話番号も書いてあるから大丈夫ですよ、と言うと「拙者…そのようなものは受け取らない所存」…っていう松鯉先生の物まねがそっくりでツボにはまってもう大爆笑。最高!

そんなまくらから「不動坊」。
なんと圓馬師匠までが「不動坊」を?!あたしゃどんだけ「不動坊」を呼ぶ女なんだ?
って単なる偶然だろうけど。
そしてやはり演者が違えばまた噺の展開や印象も違うのだ。
とはいえ、南なん師匠の「不動坊」をずっと聞いてるので、ついつい聞き比べてしまう。
いやー、ほんとに南なん師匠のは刈り込めるだけ刈り込んでいるんだなぁ、と思う。

圓馬師匠の「不動坊」、吉さんのお滝さんへの熱い想いがちょっと切羽詰まっていておかしい。
あと、風呂屋ではしゃぐ吉さんの悪口を聞いたとめさんが他の二人にお滝さんと吉さんの婚礼を言うと、他の二人が「しょうがねぇな」と諦めモードなのがなんか拍子抜けでおかしい。
「ま、いいよ。な?」「うん。」って。わははは。

前座の幽霊を吉さんが結構ほんとに怖がってるのも印象的だった。

楽しかった~。
圓馬師匠を二席聴ける幸せ。圓馬珈琲も買えて満足!

いのちの車窓から

 

いのちの車窓から

いのちの車窓から

 

 ★★★★

星野源の魅力、そのすべてがわかる、誠意あふれるエッセイ集。ドラマ「逃げ恥」「真田丸」、大ヒット曲「恋」「SUN」、「紅白」出演。怒濤の毎日を送るなかで、著者が丁寧に描写してきたのは、周囲の人々、日常の景色、ある日のできごと…。その一編一編に鏡のように映し出されるのは、星野源の哲学、そして真意。  

読書不調の時に読み始めしばらく中断していたんだけどようやく読み終えた。

前作に比べるとなんかこう…ちゃんとしちゃったなぁという感じして一抹のさみしさが。きっと根っこの部分は変わらないんだろうけど。

でも「人見知り」という言葉が甘えだと気付いたという話や「いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と好きという気持ちだ」という一文にはふかーくうなづいてしまった。

私も「好き」を自分の人生の核に置いて生きていきたい、これからも。

ブリージング・レッスン

 

ブリージング・レッスン (文春文庫)

ブリージング・レッスン (文春文庫)

 

 ★★★★★

 周りの人の幸せを願うあまり、ついお節介をやいては話をややこしくしてしまうマギー。結婚28年目を迎える夫アイラと、ある日友人の葬式のため車で出かけていく。普通の人々のなんでもない日常を描いているのに、読みはじめるとわくわく、しみじみおかしくて少しほろ苦い珠玉の一作。ピュリツァー賞受賞作。

大好きなアンタイラー。久しぶりの再読。

マギーもアイラも好感を持てる人物ではないのに、読んでいて、ああその気持ちわかると共感したり、ぎゅっと抱き締めたくなる瞬間がある。

相手に悪くとられる言動も、実は善意から出たものだったり、自分が引きずってきた過去のせいだったりする。
喧嘩ばかりしていがみ合ってるように見える夫婦も深いところでお互いを思いあっていたりする。

どうでもいいような一日を描いているに、おかしくて悲しくて。
そうだ、アンタイラーってそうだった。何気ない描写がすごくユーモラスでおかしいのだ。
笑ったり涙ぐんだりしながら読んで、読んでいる間ずっと幸せだった。

10月特別企画公演 平成29年度(第72回)文化庁芸術祭主催「芸術祭寄席」

10/28(土)、国立演芸場で行われた10月特別企画公演 平成29年度(第72回)文化庁芸術祭主催「芸術祭寄席」に行ってきた。

・小多け「たらちね」
・遊馬「大工調べ」
ロケット団 漫才
・小圓嬢 浪曲 「東雲座」  曲師 沢村さくら
~仲入り~  
・貞心 『赤穂義士伝』より「二度目の清書」
・豊来家一門 曲芸
・金馬「茶金」


遊馬師匠「大工調べ」
最初に江戸時代の職人の腕が大変良かったという話をして「細工は粒々、仕上げをご覧じろ」。この文句の説明をして、「大工調べ」。
前半部分が好きじゃないのと疲れからちょっとうとうと…。啖呵のところで目が覚めて、よーしよーし!と。
遊馬師匠は声も大きいし口調もいいので、気持ちのいい啖呵。
お調べのところ、奉行の威厳があってかっこいい。
あまり好きな噺じゃないんだけど、通しで聞いてはじめて題名の意味がわかって、しかも最初のまくらとびしっと繋がったので、スカッとした。


小圓嬢先生「東雲座」
浪曲は本当に数えるくらいしか見ていないので、ちゃんとわかるだろうかと不安。
最初に歌いだしたときは、ちょっと意味がわからなくて、しまった!始まる前にプログラムをまじめに見ておけばよかった!と後悔したのだけれど、歌のあとのセリフに入ったらとてもわかりやすくて理解できた。

任侠もの?になるのか。三角関係のもつれで親分の田村大造に顔に傷をつけられた旅回りの役者女虎。熊本を離れて、その女を妻とし娘が生まれ3人暮らし。貧しいながらも幸せに暮らしているがある時妻が病に倒れ、「私はあなたに嘘をついていた」と言う。
何かと聞けば、実は娘はあなたの子どもではなく田村の子である、と。
それを聞いても「今までも自分の娘と思って育てて来たし、これからもそれは変わらない」と女虎。それを聞くと妻は「娘を役者に育て、二代目女虎を継がせてほしい」と言い、息を引き取る。
旅回りの川上一座の座長の助けもあって、女虎の襲名披露の舞台を無事に行うことができそうになるのだが、そこへ田村が邪魔をしてきて…。

かなりお年だと思うけれど、声もいいし迫力があって気が付いたら物語に入り込んでいた。面白かった。

貞心先生『赤穂義士伝』より「二度目の清書」
わーい、貞心先生。
貞寿さんのお披露目で見てから大好きになった先生。
初めて聴く話。
お気に入りの花魁を身請けしたから、うまくやってくれと妻に言う大石内蔵助。まさかそんなバカな話があるか、と言う妻に対して聞く耳を持たない大石内蔵助
実母が出てきて忠言するも、昔であれば姥捨て山があったが今はないから捨てることができないと嘯く。
離縁状を書いた大石内蔵助は、妻と実母を妻の実家に送り返す。
しかしそれは討ち入りを気取らせないための、そして妻子、母を守るためにしたことだった…。

討ち入りの首尾を知らせにきたときの口上が一つの聞かせどころなのか。
ドラマティックな内容を抑え気味に語る貞心先生。
講談師にもいろいろなタイプがいるけれど、私はやはりこういう抑え気味の先生が好みだなぁ。
もっと見てみたい。


金馬師匠「茶金」
目利きのまくらから「茶金」。
最初に少し咳き込んでそれが少し後を引いたのが気の毒だった。お茶出してあげてほしかったけどちょっと難しいか。一瞬噺が途切れても構わないけどなぁ。

お茶屋の主人を脅して、茶金さんが首をかしげた茶碗を手に入れたくまさん。
茶金さんの店を訪れて、漏るのにどこも傷がないから首をかしげていたと言うことが分かった時、くまさんが「ああ、なんでそんな紛らわしいことをするんだ。なけなしの金を全てはたいてしまった」と嘆いた後に「一人だけ仲良くしてくれていたお茶屋のおやじと喧嘩までして…」と言ったのが印象的だった。
茶金さんが優しくてユーモアがあってでも威厳があってとっても魅力的。
一攫千金をねらって商売物を売り払ったりしたらあかん、ってたしなめるのも、えらそうじゃなくて…でも威厳があってとても素敵だった。今までこの噺を聴いていてそう感じたことはなかったな。

とにかく最初から最後まで本当に楽しい。昔話を聞いているような感じで、聞いている間多幸感に包まれていた。

桂南喬ひとりっきり会~二番庫出し三席~

10/26(木)、湯島天神参集殿で行われた「桂南喬ひとりっきり会~二番庫出し三席~」に行ってきた。

寄席で見ていて好きだなぁ、もっとたっぷり見たいなぁと思っていた師匠。
かわら版を見たらこんな会があったので鼻息荒く行ってみた。
南喬師匠はそんなに頻繁に自分の会を開かれていないので、もしかしてものすごい数のお客さんなのでは…という予感がして、少し早めに行ってみたら案の定入口からごった返していてびっくり。
お手伝いの方も大勢いらして、なんとビールやお酒、お弁当なども販売されている。それも定価で!すごいサービスのよさ。
なんか地元のお祭りに来たようなアットホームな雰囲気。
うわー、ビール飲んじゃおうかなぁ!と思ったけれど、この日はなんかお疲れ気味だったので飲んだら寝ちゃうかもと思って我慢。
会場にはすでに人が大勢入っていて、前の方の座布団席も前の方から埋まっていく。すごいすごい。
一人だったので前方の椅子席に座れて、ほっ。


・かな文「金明竹
・正太郎「反対俥」
・南喬「ちはやふる
・南喬「青菜」
~仲入り~
・花島皆子 マジック
・南喬「池田大助」


南喬師匠「ちはやふる
この会、もう以前からやられているらしいのだけれど、今日が一番の大入りとのこと。
楽屋では狂喜乱舞。みんなが言ってる。「なんだ、客っていうのは来ようと思えば来られるんだな」。
いつものまくらだけど、この状況にぴったりで大笑い。

私事ですけど今年70歳になりました、と南喬師匠。
今の時代、70なんてどうってことない。でも私にとっては結構意味のある数字なんです。
というのは私は15歳の時に先代の金馬師匠のもとに入門しました。
その2年後に金馬が亡くなりまして、それが70歳だったんです。
私ほんとにびっくりしちゃいまして。金馬も死ぬんだ?と思って。金馬は死なないと思っていたんですな。
だから私は何がなんでも金馬よりは長生きしよう、っていうのが目標でした。
芸ではとてもじゃないけど師匠に追いつけないけど年齢だけはとにかく上へ、というわけです。
だからそれが達成できたので私にとったら大きな出来事でした。

で、次に入門したのが小南で、この師匠が76歳で亡くなってる。
ですから次は私76歳を目指します。
その後入門したのが先代の小さん。この師匠が85歳ですから、とにかくそれまでは長生きしたいですね。

そんなまくらから「ちはやふる」。
もうこの「ちはやふる」が私が今まで見た「ちはや」の中でピカイチにおかしくて。
ご隠居とくまさんの会話だけで楽しい。なんだろう。肩の力が抜けていてすごく自由で弾むような楽しさ。
ご隠居がくまさんに「竜田川と言うから、川だと思うかい?」と聞くだけ聞いて「そこが畜生の浅ましさ」と切り捨てるところから、浪花節で語るところの歌のまずさから、女乞食が弾むところから…聞きなれた噺なのに隅から隅まで楽しくて笑いっぱなし。

いやぁー楽しい、南喬師匠。私この師匠の落語、かーなーり好きだな。

南喬師匠「青菜」
そのまま席を立たずに二席目。
「あんまりこういうことはしないんですが」と南喬師匠。
三席聞けるなんて幸せすぎる!

江戸版の「青菜」だけど、旦那が小三治師匠がされるのよりもう少しラフで、そういう意味では少し上方版っぽくもある。もしかしてこれが小南イズムなのかしら、なんて勝手な想像。
繰り返しも少なくごくあっさりしていてしつこくない。
大工さんが手酌で酒をぐびぐび飲むのが楽しい。

家に帰ってきてからのおかみさんとのやり取りも、おかみさんに大物感があって素敵だ。
楽しかった~。

南喬師匠「池田大助」
ネタ出しされていたので初めて聞く噺だと思っていたら、「佐々木政談」だった!
大岡越前に威厳があってでもさっぱりしていてそこがいい。
子どもも小生意気だけどけろっとしていてかわいい。

時々どきっとするようなくすぐりが入るのも楽しかった。
私この噺そんなに好きじゃないんだけど、南喬師匠のは御奉行様が子どもとのやりとりを楽しんでいるのが感じられて、そこが好きだったな。

 

ギャルリー小助六 ~雷門小助六独演会

10/25(水)、ART SPACE BAR BUENAで行われた「ギャルリー小助六 ~雷門小助六独演会」に行ってきた。

・べん橋「金明竹
・小助六「猫退治」
~仲入り~
・小助六「死神」

助六師匠「猫退治」
前の日にご一緒したという蝠丸師匠の話や、仲のいい鯉橋師匠、里光師匠、夢丸師匠らと長野にいるお父さんの家で合宿をした時の話、など。
助六師匠ってぱっと見るとスマートでオトナな雰囲気だけど、こうしてはなしているところはちょっとやんちゃ?というかワカモノらしくて楽しい~。
家で飼ってる猫のこと、好きだけど猫アレルギーだということなどを話して、噺へ。

旦那が小僧の定吉を呼んで「医者の薮井先生を呼んできてくれ」と言う。
お嬢様が病で寝込んでいるので、「薮井先生にみていただくんですか」と聞くと「とんでもない!あんなやぶ医者に大事な娘を診せられるか」。
評判の名医に見てもらったが娘には何か思い煩っていることがある。胸の中に徳利があってそれが蓋をしてしまっているから、この蓋を外さないことにはどんないい薬を飲ませても病が治ることはない。娘はやけに薮井先生を気に入っていてどこに行くにもお供にするぐらいだから、あの先生にならそれを話すのではないか、だから呼んで来い、と言う旦那。

定吉が薮井先生を連れてきて、薮井先生がお嬢様を見舞うと、最初は「言えません」と言っていたお嬢様が「誰にも言わないと約束してくれるなら」と話し出す。

それによると。
前に一緒に出掛けた時に、かわいい猫がいてそれを連れて帰って家で飼うことにした。
大事に育てていたけれど病にかかって猫が死んでしまった。
その猫が化け猫になって毎夜現れて恨みを言い、顔をなめるのだ、と言う。
それを聞いて店の若い連中が猫を退治することになり…。

怪談?だけど、定吉が薮井先生を連れてくるところや薮井先生がお嬢様から話を聞いて一人早合点するところなどがばかばかしくて、楽しい。
助六師匠は珍しい噺を聞かせてくれるから好きだー。


助六師匠「死神」
助六師匠の「死神」は前にも一度聞いたことがある。

医者じゃなくて行者だったり、女房が妊娠中だったり、枕元に座っているのが自分に術を教えてくれたあの死神だと気付いて説得しようとしたり…細かいところがちがっている小助六師匠の「死神」。

ことさらこわーくするでもなく変に芝居っぽくもなく、あくまでも落語というスタンスが好きだな。
楽しかった。