ぼくは落ち着きがない
★★★★
青春小説の金字塔、島田雅彦『僕は模造人間』(86年)、山田詠美『ぼくは勉強ができない』(93年)。偉大なる二作に(勝手に)つづく、00年代の『ぼくは~』シリーズとも言うべき最新作!「本が好き!」連載中に大江賞を受賞したことで、ストーリーまでが(過激に)変化。だから(僕だけでなく)登場人物までがドキドキしている(つまり落ち着きがない)、かつてみたことのない(面白)不可思議学園小説の誕生。
熱心ではない文化部独特の緩めの空気がリアルに伝わってくる。
「部室」という場所があるからこそ集まるメンバー。特別親しいわけでも会話が弾むわけでもないけれど、学校の教室で居心地の悪さを感じる人たちの避難所。
主人公の望美は、誰もが何かの役を演じてるように感じ、定型文的な会話に感じる安心感と違和感を感じている。
特別輝いたり涙があったりするわけじゃないけれど後から考えればあれが青春だったと思うのだろう。
「本を人に勧めるのは何か違う思う」とか「本は役に立つ!」とか「この世界では時々正しい方じゃなく格好いい方が勝つ」とかぐっとくる一文があった。