持続可能な魂の利用
★★★★
「どうして親は私に殺しのテクニックを叩き込んでくれなかったのだろう」会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことに―。「おじさん」から自由になる世界へ。
読み始めた時はSFなのかと思いきや、語られるのはまさに今私たちが生きている世界。
「おじさん」が作る「おじさん」だけが、自分たちだけが得をする世界。
「おじさん」というのは中年男性だけではない。若い男もいれば女だって「おじさん」になる。
そして少女の未熟さやかわいらしさを消費する「おじさん」たち。そんな世界に少女や女性たちが…。
政治家が実は日本をたたもうとしていた、というのはリアルすぎて鳥肌。あ、そうだったのか、と思ってしまった。
これは日本版の「キム・ジヨン」だという感想も目にしたが、確かに…。
自分が思い出したくない過去を思い出さずにいられないような作品だった。