りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

家族じまい

 

家族じまい (集英社文芸単行本)

家族じまい (集英社文芸単行本)

 

 ★★★★★

札幌近郊の美容院のパートとして働く智代は、子どもたちが独立したいま、夫とふたりで暮らしている。夫にも自分にも老いを感じ始めたある日、妹から母が認知症になったという電話が。横暴な父から離れるため、実家とは長らく距離を置いてきたが、母の様子を見に行くことになり――。別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。 

 痴呆で子どもに返ってしまった母親、その介護に苦しみながら助けを求めることのできない父親、親にされた仕打ちを忘れることが出来ず距離を置く長女、苦しい生活で張りつめた状態から解き放たれたことでむしろ見たくないものが見えて酒に逃げ込む次女。

しんどいけれど目をそらすことが出来ず一気読み。

物語に救いも答えもなく、自分はどんな老後をむかえどんな風に死んでいくのだろうと考える。
唯一分かるのは最後は一人なのだということと家族をお仕舞いにする選択もあるということだった。