りつこの読書と落語メモ

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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

 

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

  • 作者:大前粟生
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: 単行本
 

 ★★★★

“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手な大学2年生の七森。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がりたいのに。ジェンダー文学の新星!鋭敏な感性光る小説4篇。ぬいぐるみと話すサークル“ぬいサー”の、生きにくく、どうしても鈍くはなれない若者たちの物語。 

いまだ男社会、マッチョイムズが続く社会の中でそれと「闘う」と想像しただけで腰が引けてしまうヘタレな自分はそんな時「男もつらいけど~女もつらいのよ~♪」の歌って目を逸らす。
これを読むと辛いのは女だけじゃないな、と思う。

この物語に出てくる人たちはとてもセンシティブでとても優しい。それゆえに弱い。
弱い人に「強くなれ」もセンシティブな人に「鈍くなれ」も違う。
彼らにとって息をするのも苦しくなるような生きづらい世の中だけど、少しでも分かり合える人を見つけて居心地のいい場所を見つけて折り合いをつけて生きていく。それしかないと思う。

この本もきっとそんな人たちがちょっとほっとする場所になるかもしれない。