三遊亭天どん&宮田陽・昇 落語漫才落語会 天にどんと陽が昇る(第二回)
12/22(木)、日暮里サニーホールで行われた「三遊亭天どん&宮田陽・昇 落語漫才落語会 天にどんと陽が昇る(第二回) 」に行ってきた。
この会、ずいぶん前からtwitterで宮田陽・昇先生が漫才落語「芝浜」をやると流れてきて、漫才で芝浜って?!とすごく興味を惹かれたのだ。フツウにやっても面白い宮田陽・昇先生、こういうチャレンジもするところがほんとに素晴らしい!
・希光「時うどん」
・天どん「引っ越しの夢」
・宮田陽・昇 漫才
~仲入り~
・トークコーナー(宮田陽・昇&天どん)
・宮田陽・昇 漫才落語「芝浜」
・天どん「公園の悪いおじさん」
希光さん「時うどん」
まくらも面白いし噺も面白い。私の好きな上方落語の要素がたっぷり。好き。
天どん師匠「引っ越しの夢」
いつものようにネガティヴなことを言ったかと思うとポジティヴに変えてみたり、「私はいったいどっちの方向を目指しているんでしょう」と天どん師匠。
なんとなくトーンを決めかねているような?でもこれっていつものことだっけ?
そんなまくらから「引っ越しの夢」
腕が長いから吊戸棚を抱えるしぐさが映えるんだー。
宮田陽・昇先生 漫才
わーい。寄席以外で宮田陽・昇先生を見るのは初めてだからときめく!
いつもの日本地図や最近やってる差別語を使わない表現や武士、ネガポジ表現なんかの漫才。何度見てもおかしいんだけど、この日は昇先生の脇のにおいを陽先生が嗅いで「グッド!」と言うのが入っていて、それがちゃんと落語漫才「芝浜」につながって行ったのがすごかった!ってこんな説明じゃまるで伝わらないぜ。(笑)
陽先生が消臭スプレーのCMのガイジンさんっぽいからすごくはまってておかしかったなぁ。
トークコーナー(宮田陽・昇先生&天どん師匠)
サンタ帽をかぶった希光さんが出てきていきなりバイオリンを弾きだしたのでびっくり。しかもとてもうまい。バイオリンってほんとに難しい楽器だから素人が弾くと音が安定しなくて苦笑いしか出ないんだけど、すごく音がきれいで伸びやかなのにびっくり。
無言のまま二曲目を弾きだしたのもシュールだった。
トークコーナーはとてもぐだぐだで、これ必要だったのかな…。天どん師匠に物ボケを無茶ぶりされた陽・昇先生が気の毒だったわ。
宮田陽・昇先生 落語漫才「芝浜」
「芝浜」の筋を追いながら、陽先生がひたすらボケて昇先生が突っ込むというスタイル。
もういちいちバカバカしくて笑った笑った。
陽先生のボケが突き抜けてて昇先生のツッコミの間が抜群にいいから、無理のある企画でも無理を感じさせないのがすごい。
天どん師匠「公園の悪いおじさん」
こういう噺だったんだ。タイトルだけは聞いたことがあったから何となく想像はしてたんだけど。
あの漫才の後だとちょっと分が悪かったかなぁ。いつも以上に陰気でちょっとストーリーにのりきれなかった。
末廣亭12月下席夜の部(1日目)
まだ私が一生懸命働いていたころ(←
ということは、落語の疲れは落語でしか癒せないのだ!末廣亭の疲れは末廣亭でしか癒せない!
とおかしなテンションで末廣亭へ向かう。
・扇辰「雪とん」
・歌之介 漫談
~仲入り~
・菊千代「雑排」
・ペペ桜井 ギター漫談
・朝馬「蜘蛛駕籠」
・南喬「粗忽の釘」
・勝丸 太神楽
・今松「三井の大黒」
扇辰師匠「雪とん」
仲入り後からでいいかなと思っていたのだが、
長いこと苦手だったのに不思議なもんだなぁ。
浅めの出番だからショートバージョンだったんだけど物足りなさは
それぞれの人物がくっきり。
佐七がお糸の袖をつっと引っ張って、
一回も…くすりとも笑えなかった。
さん助師匠の「雑排」
ペペ桜井先生 ギター漫談
好き好き。毎回同じでも全然いい。
朝馬師匠「蜘蛛駕籠」
浅草で見た時はいつも漫談だけだったので今日もきっと同じでしょ
やりながら「この噺疲れるな…そのわりにウケないし。
…ぶわははは。
でもあの浅草でウケる漫談より私はこっちの方がうれしい。
南喬師匠「粗忽の釘」
南喬師匠は小三治師匠のトリの時に通って見ていて毎回面白くて大
八っつぁんの粗忽ぶりがわざとらしくなくて、
「落ち着かせていただきます」と上がり込んでからの「ええ。
そしてサゲも違ってるんだよな。
もっと見たいな、南喬師匠。
勝丸さん 太神楽
なんだろう、このインチキ感(笑)。
今松師匠「三井の大黒」
職人の地位が低くなっている。
京にいる甚五郎のもとに「大黒様を彫ってください」
引き受けたもののその気になれないのか毎日酒を飲んでぶらぶらし
京にも飽きたから江戸へでも行くかと金を手に江戸へ向かう。
そこで江戸の大工が仕事をしているところを見ながら「
江戸へ来る前の場面が扇辰師匠や扇遊師匠にはなかったんだけど、
また甚五郎もそんなに天然って感じではない。ぽんしゅーというあだ名もつかない。
甚五郎が名前を聞かれてごまかしたとき、政五郎は「
初日に現場に行って「木を切れ」と言われて、
おかみさんが文句を言い始めたので政五郎は甚五郎を呼んで「
この腕前なら大丈夫だろうと他の現場に行かせてしばらくすると、客から苦情が来る。
政五郎が甚五郎を呼んで言う。
京都と江戸では仕事の仕方が違うのだ、と。
京都では丁寧な仕事をするが江戸は火事が多いこともあって丁寧よ
お前の仕事は丁寧で見事だが江戸では歓迎されない。
腕を磨こうと思って江戸に来たのだったらそれは無理だ。
でも今すぐ帰ることはない。
なるほどーーー。
なんか今までこの噺に感じていた疑問というか違和感がすべて払拭
初日に見事に木を切って帰って来てそれ以降二階でぶらぶらするよ
あといきなり大黒を作り始めるのではなく、
猫の手も借りたいぐらいだったのにいきなり彫り物をするっていう
甚五郎が風呂へ出かけていき政五郎が仕事を見てみようと二階へ上
客が訪ねてきてあいつが甚五郎と分かっても、
ああっ、いいなぁ今松師匠の落語って。
ごくあっさりしているんだけど何も不足がないし、
やっぱり私はこういう落語が好きだなー。
その語りの中にすべてが入っていてその世界がしっかりしているから、安心して身をゆだねられる。
素敵だ。今松師匠。
末廣亭12月中席昼の部(10日目)
12/20(火)、末廣亭12月中席昼の部に行って来た。
千秋楽なので気合を入れて有休とって。
・竹もん「味噌豆」
・吉幸「家見舞」
・一矢 相撲漫談
・圓満「道灌」
・笑好「動物園」
・チャーリーカンパニー コント
・夢丸「ろくろ首」
・歌蔵「代書屋」
・章司 江戸売り声
・柳好「子ほめ」
・小南治「いかけや」
・東京ボーイズ 歌謡漫談
・松鯉「赤穂義士伝より殿中松の廊下」
~仲入り~
・くま八「雑俳」
・京太・ゆめ子 漫才
・遊雀「堪忍袋(前半)」
・金太郎「たらちね」
・ボンボンブラザーズ 曲芸
・南なん「ねずみ」
夢丸師匠「ろくろ首」
この浅めの出番で「ろくろ首」をやってしまう夢丸師匠が好きだー。さすがに駆け足だったけど、その心意気がほんとに素敵。ほんとに夢丸師匠っていくつ噺を持ってるんだろう。すばらしいな。
小南治師匠「いかけや」
やっぱりちょっと珍しい噺をしてくれる小南治師匠。それだけでポイントアップだなー。
いやしかし全然芸風が違う一門だなぁ。南なん師匠、小南治師匠、金太郎師匠。師匠の小南師匠ってどんな落語をされる方だったんだろう。聞いてみたくなってきた。
東京ボーイズ 歌謡漫談
いつもと違うパターンで、菅 六郎先生が歌を踊るというのでもううれしくなっちゃった。私、好きなんだよねぇ、六郎先生。
楽しかった~。ウクレレと三味線のコードが合ってないのだけ気になる(笑)!
遊雀師匠「堪忍袋(前半)」
前半の夫婦喧嘩のところまでだったんだけど、めちゃくちゃ面白い!
弁当の梅干しに飽きたから梅干しをたくあんに変えてくれと亭主が言うと、女房が「なにぉー(野太い声)」とすごんだ、と聞いた大家さん。二人の間に入るのだが、二人ともそれぞれに言い分がある。
女房が「この人(旦那)が嫌味っぽく、梅干しばかりだなって言うんです」と言うと、旦那が「梅干しばかりだなっていうのは事実を述べただけだ。嫌味じゃない。嫌味って言うのは、梅干しか珍しいじゃねぇかっていうのが嫌味」っていうのに笑った~。
寄席のこれぐらいの出番の遊雀師匠ってまたいいねぇ…。最高。
南なん師匠「ねずみ」
おお、これは鯉昇師匠の「ねずみ」。間違いない。そういえば前にも一度聞いたことがあったな、南なん師匠の「ねずみ」。
甚五郎と客引きの子どもの会話がかわいい。
「お客さん、夜は布団で寝たいですか?」をあの独特の口調で言われるとそれだけでなんかほのぼのおかしい。
またお客がどんどん来るようになって、一階と二階合わせて100人近く泊まってるとかっていうばかばかしさ。
地味な噺だけど、なんかこのちょっと童話っぽいところが南なん師匠の語りとあってて楽しかった。
千秋楽を「ねずみ」で締めるって南なん師匠らしいな。
ほんとに楽しい10日だった。そして私は10日中8日行ってしまった。南なん師匠の落語を毎日見られるの、幸せだったなぁ。
スキャナーに生きがいはない
★★★★
1950年、あるSF雑誌に無名の新人の短篇が掲載された。異様な設定、説明なしに使われる用語、なかば機械の体の登場人物が繰り広げる凄まじい物語…この「スキャナーに生きがいはない」以来、“人類補完機構”と名づけられた未来史に属する奇妙で美しく、グロテスクで可憐な物語群は、熱狂的な読者を獲得する。本書はシリーズ全中短篇を初訳・新訳を交え全3巻でお贈りする第1巻。20世紀から130世紀までの名品15篇を収録。
「〇〇みたい」と説明できない独自な世界感と語り口。
異様としかいいようがないような設定や世界の中で、描かれるのは心のありよう。
絶望的な世界の中で希望を見い出し、ハッピーエンドのその後に不穏な未来がちらっと見える。
それでも愛があればどうにかなる!と受け止めていいのかな。
未来に対してまるで希望を抱けてない私にもほんの少しの希望を見せてくれたような気がする。
ドSFなのに不思議と読みやすかった。
末廣亭12月中席昼の部(9日目)
12/19(月)、末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。
南なん師匠「阿武松」
わーい、南なん師匠の「阿武松」初めて!
この芝居はこれで7日通ったけれど全部ネタを変えてくれて本当にうれしい。やっぱりトリって特別だなぁ。
そしてよく寄席のトリにありがちな決まった噺じゃないところがまたいいっ!
大飯喰らいの長吉、親方の武隈に呼び出されてクビにされてしまう。この武隈がとてもコワモテというか迫力がある。
南なん師匠の落語って、出てくる登場人物のキャラクターがとてもはっきりしているし、表現が若々しいと思う。
そもそも大飯喰らいだから相撲にでもなれと言われて田舎を出てきた長吉。こんなんでは田舎には帰れない。だけど江戸にもいられない、と川に身を投げて死のうと思うが、武隈親方からもらった金を持ったまま身を投げるのは金に申し訳ないと思い、宿に泊まり思う存分米を食って死ぬことに。
あまりの食いっぷりに宿屋で女中が騒いでいるとそれを主の善右衛門が気が付いて、女中に注意をする。
うちの商売は宿屋だ。お客様がご飯をたくさん食べて頂くことはありがたいことじゃないか。それをそんな風に噂をするな。見に行こうなんて了見をおこしちゃいけない。
そう言いながら自分は気になって見に行くところがなんかかわいらしい。
こんなに食べていただいてよっぽどおいしいんですねと善右衛門が言うと「いやまずい」と長吉。
「一口食べるごとに寿命が縮まって行く」という言葉に「事情をお話しください」と善右衛門。
もうこの善右衛門がいいんだー。優しくてでもちょっとユーモアもあって。
善右衛門が自分が懇意にしている親方のところに明日連れて行ってやる、米もうちから届けてやると請け合ってやるところでは、思わず涙が…。知ってる噺なのになんか善右衛門のあたたかさにじーんときちゃって。
善右衛門から頼まれて長吉の姿も見ないうちに錣山親方が「とりましょう」と受けるところもいいなぁ…。またこの錣山親方がどーんとしていていいんだ。
長吉があっという間に出世して、武隈関と相撲をとることになったシーン。
「おのれぇ、飯の恨み…はらしてやる」とすごむのがおかしい。そしてそれを言ったあとに南なん師匠が「食い物の恨みは大きいですから。大変ですから。だからお腹を空かせてる噺家を見かけたら何か食わせてやってください。牛丼でいいですから」と言うので笑ってしまった。
とてもあたたかい南なん師匠の「阿武松」。よかった~。
柳家小三治 入船亭扇遊 二人会
12/18(日)関内ホールで行われた「柳家小三治 入船亭扇遊 二人会」に行ってきた。
・遊京「道具屋」
・扇遊「三井の大黒」
~仲入り~
・そのじ 寄席囃子
・小三治「初天神」
遊京さん「道具屋」
高座にあがってまずは携帯の注意。
「万が一鳴ってしまった場合はすみやかに消ってください。
笑いを交えて丁寧に説明したにもかかわらず、
もうこれだけ説明してもダメってことは多分よっぽど耳が遠いか人
それならもう落語聴いてもわからないよね…きっと。
って激昂してしまった。ぜいぜい。
遊京さんの「道具屋」。相変わらずのんびりした語り口調。
ところどこどすごく面白いんだけど、
扇遊師匠「三井の大黒」
小三治師匠の前に上がるっていうのは…
うちの扇橋と小三治師匠は仲がよくて、
こうして小三治師匠と会をさせていただけるというのもうちの師匠
小三治師匠との思い出というと、私がまだ前座だったころ、
小三治師匠ともう亡くなってしまった師匠と先代の正楽師匠、
私が前座で一番最初に上がったんですが「道具屋」、
小三治師匠の「禁酒番屋」は、師匠も切腹の説明をしたり…
すると夜の部の前になって小三治師匠が「お前、トリであがれ」
ええええ?と思ったんですけど、もちろん「それは無理です」
師匠が他の出演者に「いいよな?」
前座ですから直前まで座布団ひっくり返したりめくりをめくったり
…あの時以来の緊張です。今。
そんなまくらから「三井の大黒」。
扇遊師匠らしく、
甚五郎はちょっとつかみどころがないけれど嫌味な感じは全くなく
政五郎と甚五郎のやりとりも楽しいのだけれど、
そしてなにかこう端々に扇遊師匠の気合というか充実感というかそ
最近の扇遊師匠はほんとにこう生き生きしていて弾むような高座だ
小三治師匠「初天神」
さっきまで高座に上がっていたそのじさんの生三味線で出てこられ
「もう文句のつけようがない」ってべた褒め。
それから扇橋師匠との思い出話。
さっきも楽屋で話が出たんですけど、もう10年以上前に「
私は見てないんです。
それで二人で旅行に行って温泉に入るシーンがあって…
扇橋がそれに気が付いて、
あいつはそういうところがありましたから。
それでそこはカットせざるを得ないんですけど、
で、この映画、
まだ見てないんですけど、そろそろ自分でも見ようかな、
あいつのブラブラも確かめたいしね。
あーそれで扇遊さんね。あの人が前座で入ってきたときのこと、
高校出てすぐだったか、ちょっとしてだったか。
いい噺家になりましたね。うれしいです。
…扇遊師匠についてはその一言だけだったけど、
そんな話から「小児は白い糸のごとし」と始まったので、おお「
そんなにしょっちゅう会うわけじゃないけど、
で、私は刀を3本持ってるんですけど、
いや、そういうもんは見せたりしないんだ、と言うと「
…お前が一番危ないよ!
そんなまくらから「初天神」。
小三治師匠の「初天神」は何度も見ているけれど、
金坊のコドモにありがちなダダのこね方も、
こんなに楽しそうな小三治師匠、久しぶりに見た気がする。
ほんとに来た甲斐があった。すばらしかった。
さん助 燕弥 ふたり會
12/17(金)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助 燕弥 ふたり會 」に行ってきた。
・門朗「元犬」
・燕弥「壺算」
・さん助「御神酒徳利」
~仲入り~
・さん助「だくだく」
・燕弥「子別れ(中)~(下)」
門朗さん「元犬」
うおお、この人だれ?と確認したくなるほど面白かった。
声が大きくて堂々としていて滑舌がいいからそれだけでちょっと「お!」と思うんだけど、ところどころ変えていてそれがまた面白い。
シロの行動に「いいねぇ」といちいち喜ぶご隠居が楽しかった。
燕弥師匠「壺算」
この日、CSのカメラが入っていたんだけど、最初に電話がかかってきたときは「CS?どうせうちでは見られないな」と思ったという燕弥師匠。「さん助兄ぃにも聞いてみないとだめなんで」と返事をしたんだけど、謝礼を出しますのでと言われた瞬間に「どうぞ、入ってください」。
私、謝礼に弱いんです、と燕弥師匠。
…ぶわははは。いいなー。
「壺算」は…みんな面白い?この噺?
これだけやる人が多いってことは結構ウケる噺なんだよねえ。別に嫌いじゃないけど好きでもないのでなんかいつも「そうですか」と思って聞いてしまう。誰がやっても。
さん助師匠「御神酒徳利」
前に一度さん助師匠の「御神酒徳利」は見ているけど、なんかその時の方が楽しかったような…。それは今の私の感じ方のせいなのかもしれないけど。
なんか私の好きなさん助師匠の底抜けの明るさみたいのがあまり感じられず、特に後半ちょっとだれてしまった。うーん。
さん助師匠「だくだく」
ああ、よかった「だくだく」で。
楽しいよなぁ、この噺。なんであんなに火縄銃とかがあるのか、土蔵を描いてもらいたがるってなんなのか。そういうセンスが凄く好き。
燕弥師匠「子別れ(中)~(下)」
通しでなんかやりませんよ。ダイジェスト版ですよ、と言いながら、くまさんがお葬式から吉原に繰り込むところをわりと丁寧に。ここがあったほうがその後の展開に納得がいくから私はここが入ってる方が好き。
燕弥師匠、酒飲みのぐだぐだがとても似合う(笑)。
かめちゃんは素直でかわいくて、おかみさんはくまさんに未練がある風。
鰻屋さんの再会のシーンでは番頭さんが大活躍で、復縁も番頭さんが話を進めるんだけど…ここはやっぱりくまさんから言ってほしいなぁ、私的には。自分の始末は自分でつけろやー。
って燕弥師匠が悪いわけじゃないんだけど(笑)
この日は今年最後ということで三本締め。また来年も楽しみな会!
末廣亭12月中席昼の部(7日目)
12/17(土)、末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。
小南治師匠「ドクトル」
なんか喋り方が独特でちょっと癖があるんだな、小南治師匠って。ちょっと舌をぺろって出すのも少し気になる。
でも毎回変わった噺をしてくれるのはうれしいな。この噺も初めて聞いた。
医者のもとに、へんてこりんな病気にかかった患者がやってくるという噺。昭和テイストが味もあるしちょっと時代遅れでもある。微妙。
すごく大爆笑にもっていける噺もあるのに毎回それじゃなくて噺をいろいろ変えてまた笑わせ方も変えているのが素敵。
南なん師匠「死神」
わーー、南なん師匠の「死神」初めて。うれしい~!
死神がちゃんと不気味でだけどちょっとおかしい。
展開も呪文もオーソドックスなんだけど、ちょっと怖くてちょっとおかしくて南なんワールドになってる。
最後のシーンではそれまでが結構おかしくて笑ってただけに、わ…やっぱりそうなのか、とちょっと驚いてちょっと怖かった。
でも後味が悪くない不思議。
国立演芸場12月中席夜の部(6日目)
12/16(金)、国立演芸場12月中席夜の部に行ってきた。
さん助師匠「やかん泥」
あれ?なんか元気ない?
せっかくの「やかん泥」なのに犬の穴に入って行くときのしぐさもなかったし、なによりさん助師匠が楽しくなさそうに見えて、見ていてちょっと滅入ってしまった。
でも私も末廣亭昼の部をたっぷり見てきたあとで疲れてたせいもあるかもしれない?
白鳥師匠「アジアそば」
すごく楽しかった。どかんどかんウケたもんだから白鳥師匠「え?」って驚いていてそれがまたおかしい。
でも私の隣のおじいさん二人も笑い転げてたし、確かに国立のお客さんって独特の雰囲気なんだけど、はなから敵視しちゃいけないぜぃ。
喬之助師匠「引っ越しの夢」
明るくてぱーぱーしていてすごく楽しかった。
この番頭さん、完全に職権乱用(笑)。でも喬之助師匠みたいにぱーぱーやられると陰湿な感じがなくていいな。
さん喬師匠「妾馬」
さん喬師匠の「妾馬」は何度も見ているけど、いいなぁ。三太夫とのやりとりが楽しい。そして妹に気づくシーンが好き。
末廣亭12月中席昼の部(6日目)
12/16(金)、末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。
この日は午後休をとってたっぷり見られて満足~。トリの前に入ってトリだけ見て帰るって他の出演者の方に申し訳なくて…。
松鯉先生「赤穂義士銘々伝~大高源吾と宝井其角両国橋の別れ」
毎日違う講談をやられてるのかな。これは前にも一度聞いたことがあったんだけど、情景が浮かんでくるようでいいなぁ…。
遊雀師匠「真田小僧」この日一番ウケていた。自由自在、師匠のてのひらの上で転がされる楽しさを満喫。
南なん師匠「井戸の茶碗」
わーい、南なん師匠の「井戸の茶碗」初めてでうれしい!
3人の人物がくっきりと描かれている。
清兵衛さんは正直な人だけど、やはり屑やさんなのでとっても庶民的。
千代田卜斎は裏長屋に住んで貧しい暮らしをしているけれどとても高貴でプライドが高い。
高木佐久左衛門は若々しくて血気盛んな武士。
千代田氏が生活に困窮して売った仏像に50両入っていたことが分かった時の3人の反応。
高木氏は「金で金は買えない。こんな仏像を売るとは千代田氏はよっぽど生活に困っているに違いない」。
それを聞いた清兵衛さんは「確かに千代田氏はとても生活に困ってる。娘さんもせっかくの器量なのにぼろを着ているし。このお金が入ったら助かるはず」。
千代田氏は「先祖が子孫のためにと入れておいたものにも気づかず売ってしまったのだからそれは買った人の金だ」
千代田氏がなぜそんなに固辞するのだろうといつもそこにめんどくささを感じていたのだが、南なん師匠のを見ていて、そうか…生活に困っているからこそ受け取れなかったのだ、と感じた。
苦しいからこそ気高さだけが唯一の自分の拠り所だったんだろうな、と。
清兵衛さんはとても正直だけど何も失うものがないし庶民だから思ってることはパーパー言っちゃう。
千代田氏に向かって「この50両受け取りなさいよ。そうしたら、貧乏とも、おさらば!」と言ったのがもうおかしいおかしい。笑わせてやろうという押しつけがましさが一切ないのに、たまらなく面白い。
そしてそんな清兵衛さんの言動から、庶民の気楽さっていうのが感じられて、なんとも幸せな気持ちに。
普通にやられているのにとても楽しい「井戸の茶碗」。南なん師匠が正直な清兵衛さんと重なって見えた。
雷門音助勉強会Vol.5
12/15(木)、連雀亭で行われた「雷門音助勉強会Vol.
・晴太「牛ほめ」
・音助「加賀の千代」
・笑二「猫忠」
~仲入り~
・トークコーナー(笑二、音助)
・音助「長短」
晴太さん「牛ほめ」
前座さんらしくすごく大きな声を出して素直な落語なんだけど、
一緒に行った友だちが「お?」
高座に上がって電気をつけてないことに気付いてあわてておりよう
音助さん「加賀の千代」
師匠のところで猫を飼いだして、
上げの稽古に伺いたくて電話をすると「うん。でもね。
いやいやいやいや猫が大変でも上げの稽古に伺いたいんです!
…とはもちろん師匠に対して言えない。
「だから寄席があるときに寄席に来てくれればそこで見るから」
いやいやいやいやそれじゃ困るんです。
…とはもちろん言えない。
でも音助さんの「…はい」
と音助さん。
なんかこういう話を聞くとすごくうれしくなっちゃうなー。
やっぱり自分と違う世界だから、なんだろうか。素敵だな、と思う。
そんなまくらから「加賀の千代」。
音助さんの甚兵衛さん、かわいいなぁ。
なんかぼけっとしていてちょっと与太郎っぽいんだけど人がよくて
前座の頃は端正な落語をする人だなぁと思っていたけれど、
すごいなー。ほんとに成長してるんだ。ぐんぐん。
ご隠居がほんとに甚兵衛さんのことが大好きっていうのが伝わって
それもこの甚兵衛さんがほんとにかわいいからなんだな。
奥さんの恐妻ぶりがクローズアップされる噺家さんもいるけど、
笑二さん「猫忠」
前座の頃クリスマスイブに師匠から電話がかかってきて「
「ありません」と答えると「イブなのに寂しいやつだな。
こ、これはどうしよう…と一瞬迷った。
もしかして「罠」かもしれない。(どんな罠だ?)
いやでももう最初に予定がないって言っちゃってるし、
行ってみると、吉笑さんは仕事があって欠席。
パーティのメンバーは師匠、おかみさん、お子さん、
うわ、これはめちゃくちゃ気まずい。しまったー。
でも師匠は優しいから食べ物を取り分けてくれたりいろいろ気を使
お子さんがまだ小さいのでおかみさんは早々にお子さんと寝に行っ
すると師匠が「お前、ダイハード見た?」
「いいえ、見たことありません」と言うと「じゃ見る?」。
二人でソファーに座って「ダイハード」を見始めたんだけど、
緊張していてあまり話が頭に入ってこなかったけれど最後まで見終
「師匠、終わりました」と揺り起こし、
これでお開きだろうと思っていると、
うひょーーー。
な、なんかすごく素敵なんですけど。
吉笑さんも「うちの師匠は本当に優しい」といつも言ってるけど、
そんなまくらから「猫忠」。
私、こういう噺大好きなんだよねー。
しかも笑二さんだからただでさえ面白い噺に笑二さんらしい味付け
あったかい刺身…。
ああ、そうだ、それで思い出した!
話を聞いた兄貴が「それは化け物かもしれねぇから、
…ピョコピョコって…。なにそのばかばかしさ。
しかもそう言われた弟分が、偽物の兄貴と向かい合いながら「
すごく楽しかったー。
笑二さんのくすぐりって押すというよりはちょっと引くからそこがすごく好きだ。
トークコーナー(笑二さん、音助さん)
笑二さんが初めて落語に触れたのは「タイガー&ドラゴン」。
それまで笑点すら見たことがなかった(
もともとお笑いが好きだったから友達とコンビを組んで吉本の養成
一人になってしまってどうしようと思ったときに、そうだ、
なんかイマドキないきさつだけど、顔が古風だからチャラい感じがしないんだよなー(笑)。
で、何かお客さんから質問は…となったんだけど、
と思っているとお席亭から「一番よく聞いた落語の音源は?あと、
くーーーーいい質問!
このお席亭さん大好き。
音助さんは、四代目円遊、先代柳朝、先代助六って…渋い!
そういうところを普通のトークでは全然出さないから、
笑二さんは枝雀師匠を最初に聞いたけど、
そしてお互いの師匠が優しいっていう話をしていて、
音助さん「長短」
おおお、これは助六師匠の「長短」だ。確かに。
あの師匠の「長短」はものすごーく独特だったから、
弟子だからああいうふうに師匠の色が濃く出てる噺を教えてもらう
とはいえ正直言って、
トークコーナーのおふたり。
末廣亭12月中席昼の部(4日目)
昨日が重たい噺だったからかな、今日はひたすらに軽く明るく「お
お茶を目につけると白目が赤くなって泣いてるように見えるよと花
茶殻を目にこすりつけたその顔をもくべえに向けると「きすけー。
「ええ。いつもよりどっさり泣いております」
「顔に茶殻がついてるぞ」
「ええ。あたし泣くと茶殻が出る体質で」
その涙を見たもくべえが「ほーーー。ほーほー。」と泣きだすと、
…ばかだー。
もうほんとにばかばかしくておかしくてしょうがない。
末廣亭12月中席昼の部(3日目)
火事と半鐘のまくらから「鼠穴」。
おおお、これは私が友だちに薦められて池袋に南なん師匠のトリの
酒と女で財産を失った竹次郎が奉公させてくれと兄を訪ねる場面か
兄からお金を借りた竹次郎が家を出て中身を改めるところ。
竹次郎が「いくら入ってるかな。たくさん入ってたらいくらか飲む
兄が「泊まっていけ」と熱心に言う様子や心から喜んでいるところ
でも100%本当にそういう気持ちだったのかなぁという疑問もや
緊迫したつらい場面が続いて、サゲで「そうだったのか!」とほっ
昨日の「蒟蒻問答」と打って変わって笑いどころの少ない噺を丁寧
小のぶの会
12/12(月)、お江戸日本橋亭で行われた「小のぶの会」に行ってきた。
・市朗「子ほめ」
・市楽「代書屋」
・小のぶ「時そば」
~仲入り~
・小のぶ「井戸の茶碗」
市楽さん「代書屋」
市楽さんらしい明るくて楽しい「代書屋」。
小のぶ師匠「時そば」
江戸時代の時の数え方についての説明。
そうかーそうだったのかー。
最初の男が「九つ」だったのに二番目の男が「四つ」だから、
それから「夜鷹」の説明。
なんだろう。ふつうはそういうのただの説明でしかないんだけど、
そんなまくらから「時そば」。
最初の男が蕎麦屋に声をかけるところが、
小のぶ師匠ってものすごいアクションが激しいんだ。
そしてお世辞も次から次へと機関銃のように飛び出す。
そしてそれをぼんやり見ているのが与太郎さん。
これがさっきの男とは打って変わってのんびりした口調で「
そしてからくりがようやくわかって「俺もやってみよう」
そしてこの男が食べるそばのまずそうなこと。汁を飲んで「なんだこりゃ。かれぇなぁ。湯を入れてくれ」。
そばもうどんより太くてべたべたしてのどにくっつく。
おそらくお客さんのほとんどがこの噺は飽き飽きするほど聴いてい
いやぁ「時そば」をこんなに楽しくできるなんて。
小のぶ師匠「井戸の茶碗」
好きだと言う人も多いけれど、なんかねぇ…と思ってしまう噺。
清兵衛さんが正直だけどそれはもう庶民的で、
3人の人物がくっきりと描かれているので、清兵衛さんの「だから侍はきらいだよ」というセリフや、
なによりも清兵衛がとても明るくておっちょこちょいなので、
いやぁ楽しかった。
「井戸の茶碗」でこんなに笑えるとは思わなかった。
小のぶ師匠の落語はほんとに楽しいなぁ。そう思ってる人が大勢いるらしくこの日も会場は満員だった。
末廣亭12月中席昼の部(2日目)
12/12(月)、末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。
フツウだったら昼席は行けないんだけど、末廣亭は職場から近いので裏技を使って…むふふふふ…。
南なん師匠「蒟蒻問答」
「落語」といってお分かりにならない方ってまだまだ多くて地方の落語会に呼ばれて行ってみると会場に入って「ええ?」っていうこと結構あります。一番
あれは「落語」じゃなくて「大喜利」なんです。
「大喜利」と言ってもあれだけじゃなくいろんな種類があります。
こちらの寄席で夏にやるのが…ハワイアンですね。芸人が楽器を演奏した
あ、踊るのは女性ですよ。男は踊りません。
あと謎かけ、相撲でおとす??みたいのもありますね。(これがよ
芝居をやることもあります。噺家がやる芝居だから「鹿芝居」。私
いやそれが評判がよかったんですよ。意外に。
後姿がいいって褒められましてね。こんな感じで…。
前を向いたら「ずっと後ろを向いててほしかった」って言われましたけ
修行なんざしたことがないからお経も読めないと言うと「そんなも
寺男の権助に弔いがないから干上がっちゃうと文句を言って「お前が弔いを断っ
無言の問答のやりとりも、確かに蒟蒻屋の親方に変な迫力があって、