りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭12月中席昼の部(6日目)

12/16(金)、末廣亭12月中席昼の部に行ってきた。
この日は午後休をとってたっぷり見られて満足~。トリの前に入ってトリだけ見て帰るって他の出演者の方に申し訳なくて…。

可龍「こうもり」
歌蔵「鮑のし」
宮田章司 江戸売り声
柳好「悋気の独楽
談幸「家見舞」
松鯉「赤穂義士銘々伝~大高源吾と宝井其角両国橋の別れ」
~仲入り~
くま八「牛ほめ」
京太・ゆめ子 漫才
小文治「野ざらし
南なん「井戸の茶碗
 
いつものネタも新しいネタもどれも楽しい!
 
可龍師匠「こうもり」
前にも一度聞いたことがあるんだけど楽しいなぁ。シニカルな噺家さんってあんまり好きじゃないんだけど、可龍師匠は好きだな。
寄席以外でも見てみたい。
 
談幸師匠「家見舞」
寄席で見る談幸師匠がほんとに楽しそうで自由自在で嬉しくなる。
下品な噺でも全然下品に見えない。素敵。
 

松鯉先生「赤穂義士銘々伝~大高源吾と宝井其角両国橋の別れ」
毎日違う講談をやられてるのかな。これは前にも一度聞いたことがあったんだけど、情景が浮かんでくるようでいいなぁ…。


遊雀師匠「真田小僧」この日一番ウケていた。自由自在、師匠のてのひらの上で転がされる楽しさを満喫。

南なん師匠「井戸の茶碗
わーい、南なん師匠の「井戸の茶碗」初めてでうれしい!

3人の人物がくっきりと描かれている。
清兵衛さんは正直な人だけど、やはり屑やさんなのでとっても庶民的。
千代田卜斎は裏長屋に住んで貧しい暮らしをしているけれどとても高貴でプライドが高い。
高木佐久左衛門は若々しくて血気盛んな武士。

千代田氏が生活に困窮して売った仏像に50両入っていたことが分かった時の3人の反応。
高木氏は「金で金は買えない。こんな仏像を売るとは千代田氏はよっぽど生活に困っているに違いない」。
それを聞いた清兵衛さんは「確かに千代田氏はとても生活に困ってる。娘さんもせっかくの器量なのにぼろを着ているし。このお金が入ったら助かるはず」。
千代田氏は「先祖が子孫のためにと入れておいたものにも気づかず売ってしまったのだからそれは買った人の金だ」

千代田氏がなぜそんなに固辞するのだろうといつもそこにめんどくささを感じていたのだが、南なん師匠のを見ていて、そうか…生活に困っているからこそ受け取れなかったのだ、と感じた。
苦しいからこそ気高さだけが唯一の自分の拠り所だったんだろうな、と。

清兵衛さんはとても正直だけど何も失うものがないし庶民だから思ってることはパーパー言っちゃう。
千代田氏に向かって「この50両受け取りなさいよ。そうしたら、貧乏とも、おさらば!」と言ったのがもうおかしいおかしい。笑わせてやろうという押しつけがましさが一切ないのに、たまらなく面白い。
そしてそんな清兵衛さんの言動から、庶民の気楽さっていうのが感じられて、なんとも幸せな気持ちに。

普通にやられているのにとても楽しい「井戸の茶碗」。南なん師匠が正直な清兵衛さんと重なって見えた。