りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

11/28(月)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助「ある侠客の死」(「西海屋騒動」より)
~仲入り~
・さん助「やかん泥」
・さん助「質屋庫」


さん助師匠「ある侠客の死」(「西海屋騒動」より)
「今回から前半に西海屋騒動の方をやることにしました。なにせ仲入り後にやりますとお客様方がお疲れになって寝てしまうもんですから」とさん助師匠。
今日は鈴本の夜の部の出番があって、休んでもよかったんだけど先輩方から「寄席の出番はできるだけ休まない方がいいよ」と聞いていたので、順番を入れ替えてもらって寄席も出ることに。
この会場は17時にならないと入れないので17時にこちらに来て鍵を開けて挨拶をして、それから鈴本に行って出番を終えて帰ってきた。
設営なんかも全部UNAさんにやっていただいてしまった。だからなんか不備があったら私じゃなくてUNAさんのせいです(←ひどい!)。
ほんというとこの会の主催は私でUNAさんには予約とチラシと受付だけをお願いしていたんですけど、どんどんUNAさんの負担が増えてきて…。こんなことじゃ次回はUNAさんが来てくれなくなっちゃうかもしれない…。

…そう思うならちゃんと感謝の言葉を伝えてくださいよ、ほんとにもう…。
毎日twitterで会の情報をつぶやいたり予約のメールや電話を受けたり。そういうのってほんとに大変。
私のお友達の中にも会を主催してる人が何人かいるけど話を聞くにつけ「おれはぜったいできねぇ…」と思うもの。
UNAさんは主催じゃないといってもいつもすごい心を配ってるのが伝わってくる。
ちゃんと感謝の気持ちをかたちにしてよね!と念を送る私たち。(きっとほかの人も同じ気持ち)

そんなまくらから「西海屋騒動」。
伴蔵、お雪、権次と殺し、自分が伴蔵を殺して悪政を終わらせたということを壁に書いた花五郎。(〇〇参上!的な)
屋敷をあとにしたがさすがに疲れて足が鉛のように重い。
途中で地蔵堂にもぐりこむとそこでぐーっと寝てしまう。
そこにやってきたのが市之進。これは伴蔵の家来なのだが清廉潔白な男で「この人が奉行だったらよかったのに」と噂されている男。
市之進の弟の新十郎は花五郎に剣術の稽古をつけている師匠でもあり、花五郎と新十郎はとても仲がいい。
その新十郎は修行に出かけそれ以来行方知らずになっているのだが、市之進と花五郎も親しくしているのだった。

その市之進が伴蔵の屋敷を訪れて、屋敷の者からことのあらましを聞き、実際にその惨状を目にする。
「このことは口外するでないぞ」と家来や屋敷の者に言い、花五郎を探しに来た市之進。地蔵堂で寝入っている花五郎を見つけ捕らえて自分の屋敷に連れ帰る。

翌朝目を覚ました花五郎。
地蔵堂で寝たはずが布団がかかっていておや?と思う。
縄で縛られていることに気づき引きちぎろうとするのだが、市之進の屋敷であることに気づき、ならば意のままに…とそのままにしておく。
昼間は客人のように扱われるのだが、夜になると市之進が呼んでいると言われ、むしろの上に座らされる。
先ほどまでとはずいぶん扱いが違うなと笑う花五郎。
これは市之進に裁かれ斬られるのだろう、市之進に斬られて死ぬなら本望だと腹を括る。

出てきた市之進はいくら伴蔵が悪政を行っていたとはいえ、奉行を殺してそのまま無罪放免にするわけにはいかぬ。お前の首を斬ってやるから念仏を唱えていろ、という。
花五郎が目をつぶって念仏を唱えていると、えい!と斬りかかった市之進。首ではなく花五郎の髷を斬る。
何事かと目を開けた花五郎に「お前の首を斬るつもりはない。髷を切ったからこの村を離れて僧になれ」という。

最初は殺してくれと言う花五郎だったが市之進の説得に応じる。
市之進はここだけの話だがよくやってくれた、と言いながらも「でもお前は少し考えが足りない」という。
事の発端は金次郎が女房の小蝶を権次に連れていかれたと相談に来たことに始まる。
お前は事情もよくわからないのに小蝶の言い分も聞かず連れ帰り、金次郎が小蝶を殺すと、今度はお前が金次郎を殺して「あの世で夫婦仲良くやれ」と言ったというじゃないか。そんなのはずいぶん勝手な言いぐさだし任侠の道から外れるんじゃないのか。
伴蔵のことだってなぜ自分に相談しなかった。自分に相談してくれればもっとやりようがあったものを。
市之進の言葉にうなだれる花五郎。
「旅に出る前に一日だけ時間をくれないか」という。
「もう血を流させるようなことはしない」という花五郎に「では一日やろう」と市之進。

雪の降りしきる夜、熱く燃える炭を背中に当てて彫り物を焼き消して任侠の道を断つ花五郎。
で、花五郎の回は終わり。

うおおお。
なんと第一回目からの話がちゃんと回収された!
任侠もの好きな(!)私の友達が第一回を見た時に「花五郎のとった行動は任侠の道からはずれてる」と言っていたんだけど、それを市之進が指摘していて、うおおお、やっぱりそうなんだ!と腑に落ちた。
第一回目を聞いた時はなんか破たんしているように見えた花五郎の行動だったけれど、こうして三回目までを聞いてみると、ようやく力関係というか彼の立ち位置も見えてきて、ちゃんと筋が通っているのだなと納得した。
次回からまた違う話になっていくようなので楽しみ。


さん助師匠「やかん泥」
この間鈴本で見たマイフェバリット小噺。
面白くないわけじゃないんだけどさん助師匠ってまくらのあと変な沈黙が入るからビミョーな空気になるんだよねぇ。落語に入ると陽気なのにまくらだと声も小さくてちょっと陰気だし。
なんだろ、照れ?

そんなまくらから「やかん泥」。
いやぁこれほんとに楽しい。私「鈴ヶ森」よりこっちのほうが好き
兄貴分が犬の穴から家に入るところ。反則だよーというくらいおかしい。あのとんがった禿げ頭、落語ではプラスになるよなぁ。(え?失礼?)


さん助師匠「質屋庫」
番頭さんを呼んで「うちの庫(くら)が世間で噂になっている」と言う質屋の主人。
庫に入れてるモノには質に入れた人たちの「気」が入っているから火の玉となって現れる、というのを説明するために、質屋の主人が「あるおかみさんが反物を買って帯をこしらえて…」という長々としてエピソードで語るのがすごくおかしい。
おかみさんがへそくりをためるのをなんだっけ、タンスに置いた竹筒にカランコロンストン?だったっけ。こういうのさん助師匠、好きそう~。

番頭が怖がるから強そうな人を呼んで一緒に見張ることになって、定吉がくまさんを呼びに行かされるんだけど、この定吉がほんとにかわいい。さん助師匠の定吉はかわいいなー。それにひきかえ金坊がかわいくないんだよなぁ…もごもご…。
口が軽いと言われた定吉は「なんで呼ばれたんだ?小言か?」とさぐりを入れるくまさんに「言えません!でも旦那様怒ってましたから小言ですよ!」。
何度さぐりを入れても話さないので「好きなものを買ってやる」と言われた定吉が「じゃいもようかん買ってください。1つじゃなくて3つ。あとの2つを店の人たちにあげて、”あいつは自分の分だけじゃなく周りにも気をつかうやつだ”って言われて出世するんですから」っていうのがおかしい。

主人の前に座ったくまさんが小言だろうと思って次から次へと自分の悪事を告白していくのがおかしい~。
しかもそれがぜんぶ最初は余った酒をもらって帰って飲んでみたらおいしくてそれがなくなって前のまずい酒が飲みたくなくなっちゃって拝借しちゃった、っていう流れ。
庫の番をするところはわりとあっさり。腰が抜ける二人がとてもかわいい。

やっぱり私はこういうばかばかしい噺が好きだなー。

 

「さん助ドッポ」今後の予定
12/26(月) 、1/30(月) 、2/21(火)、3/20(月) 開演 19時(18時半開場)  お江戸両国亭
12/26(月)「さん助ドッポ」

第205回大師寄席

11/27(日)、川中島明神社で行われた「第205回大師寄席」に行ってきた。

・市若「転失気」
・南なん「尻餅」
~仲入り~
・鯉栄「義士銘々伝 赤垣源蔵徳利の別れ」
・南なん「居残り佐平次


南なん師匠「尻餅」
「この間の雪の日は仕事がなかったんですよ」と南なん師匠。
「なかったからうれしかったですね。これが雪で出かけないといけないと大変ですから。そしてこういう雪の日でもいらっしゃるお客様いるんですよね。だから寄席も休みにならない。天皇陛下が亡くなったときでもいらしたお客様がいたんですから。そうですね。ちょうどこれぐらい。」そう言って笑顔で客席を見渡す。

あの時はレンタルビデオ屋さんのビデオが全部借りられちゃって棚が空になっちゃってね。
棚の中に一本だけ残ってたビデオがあってそれが『皇室アルバム』だったんですね。なにせテレビでそういうのばかりやってますから。

年末っていうと昔は餅をついたもんです。
今日もここに来るとき、商店街に餅つき大会のチラシが貼ってありましたけど。今はそういうふうにイベントとして餅つきをやることはありますけど、家庭で餅をつくことはなくなりました。
私が子供の頃はまだありましたね。
路地や庭で餅をつく風景が。

お正月、前座の頃は楽しみでした。お年玉をもらえるんですよ。ニツ目、真打、色物の先生方から。
でもニツ目にあがってからはあげる一方。それも定年がありませんからずっとあげ続けないといけない。
だからもう正月はうれしくないです。正月、4年にいっぺんくらいでいいんじゃないですか。年もとらなくてすむし。

そんなまくらから「尻餅」。
年末、おかみさんが旦那さんに「年末だっていうのにうちだけ餅をついてない」と文句を言っている。
長屋25軒あるけどどの家だって餅屋を呼んで餅をついてるのに、うちだけだよ。ついてないのは。」
そんなこと言ったって銭がねぇんだからしょうがねぇじゃないか」
「それが情けないっていうんだよ。なんとか工面して餅ぐらい用意したいよ」
「ほんとに25軒あって餅を用意してないのはうちだけか?じゃ、一軒につき2個もらってくればずいぶんな量が集まる…」
「くだらないこと言ってるんじゃないよ」

そんなに餅屋を呼びたいか。じゃおれがやろうじゃないか、と亭主。そのかわり、お前もちゃんと協力しろよ。
何のことかと思ったら、餅屋を呼ぶ演技をして長屋中にその声を聞かせようというのだ。

女房の半纏を奪って外に出た旦那。
「誰も見ちゃいないだろうな。見られたら気が違ったと思われる」とぶつぶつ言いながら餅屋の男、若い衆2名の声色を使ってえっほえっほ臼を運んできたつもりで、扉をどんどん叩く。
お前、本気でそんなことやろうっていうのかい?とあきれる女房に、「餅屋に酒を出せ」と言って湯呑に入れた水をがぶがぶ飲んだり、芸が細かい旦那。
しまいにはおかみさんに尻をまくらせて「ぺったんぺったん」やり始める。

もうどこからどこまでもばかばかしくて楽しい楽しい。
そもそも落語が一人で何役もやる芸なのに、その落語の中で主人公が3役を演じるというシュールさがたまらない。
餅をこねるしぐさやぺったんぺったんつくしぐさもすごく楽しくておかしい。最高だ~。


鯉栄先生「義士銘々伝 赤垣源蔵徳利の別れ」
おそらくあまり講釈を聞いたことがないお客さんばかりだったと思うのだけれど、爆笑のまくらでお客さんをリラックスさせ、メリハリのある話でお客さんをぐっと掴んだのがすごい。
兄と弟の別れのシーンにはすすり泣く声も聞こえてきた。
男らしくてかっこいい。素敵だー。鯉栄先生。


南なん師匠「居残り佐平次
吉原のまくらから入ったのですぐに「これは居残りだ!」と分かった。
私はもちろん間に合ってないので、と南なん師匠が言ったときに笑いが起きると、「みなさん、私のこの頭にだまされてやしませんか。そんなに年じゃないんですよ、私。若いんですから」。
…わははははは。

そんなまくらから「居残り佐平次」。
南なん師匠の佐平次はそんなに悪党っぽくなくて陽気で憎めないんだけど少しだけ掴みどころがなくて。
佐平次が若い衆に「お勘定」と言われた時に体をくいっとまげて「よしましょう!お金の話は」というところで、いつも不意打ちを食らって爆笑してしまう。
また居残りを始めてかっつぁんに取り入るところ。かっつぁんがすぐにデレデレしないところがいい。自分なんかが花魁の色じゃないって思っていて甘い言葉にはだまされねぇぞと思っているんだけど、次々持ち上げられるとまんざらじゃなくてしかめっつらをしたまま小遣いまで渡してしまうのが、いじらしくてたまらない。
主人に呼ばれて佐平次が自分は悪党で…というところも、どこかで聞いたようなセリフを並べて、悪党というよりははったりっぽくて嫌な感じがしない。

南なん師匠の描く世界が大好きだからもう安心して身をゆだねられる幸せ…。
やっぱり好きだ。南なん師匠の落語が。
川崎大師はほんとに遠かったけど、二席たっぷり聞けて大満足。行ってよかった!

鈴本演芸場11月下席夜の部(6)

11/26(土)鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・さん助「真田小僧
・楽一 紙切り
・甚語楼「幾代餅」

さん助師匠「真田小僧
金坊が小銭をもらうために話を盛るところがあっさりしていて、それもあんまさんじゃなくて知り合いのおじさんがただお尻を持ち上げておならをするだけっていうところ、おやじが語るとわやわやになっちゃう講釈を金坊が講釈調で完璧に語るっていうところは大好きなんだけど、なぜあんなに青筋を立てて「おとーさんおとーさん」叫ばないといけないのか…。それ以外のところは好きなんだけどどうしてもあそこが好きになれない。

高座にあがって客に喧嘩を売ってどうする。客が引くほど繰り返しちゃいけない、と思う。

甚語楼師匠「幾代餅」
代演が甚語楼師匠ってうれしすぎる。
噺が始まって「ああ、幾代餅かぁ…」とちょっとがっかりしたんだけど(寄席のトリで「明烏」「幾代餅」率がすごく高いので正直飽きてる)、でも甚語楼師匠の「幾代餅」すっきりしていて好きだった。

久蔵が自分は野田の醤油問屋の若旦那じゃなく職人であることを打ち明けるシーン。ここをもうここぞとばかりやられるとなんか恥ずかしくて居たたまれなくなくなってしまう。
久蔵の純粋さが見える山場なのかもしれないけど、あんまりそこでわーわー泣いたり語ってしまうのは、好きじゃない。その筆頭が〇緑師匠…もごもご…。
甚語楼師匠はそこらへんのバランスが絶妙。なんか芝居っぽくなくてちゃんと落語。そこが好き。

末廣亭11月下席夜の部(5)

11/25(金)、末廣亭11月下席夜の部に行ってきた。
芸協の「本日の寄席」を見るとトリが小遊三師匠。伸治師匠も出るし、色物も大好きな宮田陽・昇ボンボンブラザーズ。これは行くしかないでしょう。

・米多朗「時そば
・遊三「小言幸兵衛」
~仲入り~
宮田陽・昇 漫才
・遊之介「蝦蟇の油」
・伸治「粗忽の釘
ボンボンブラザーズ 曲芸
小遊三「野ざらし」

 

米多朗師匠「時そば
二人合わせて十五文しか持ってない男二人が蕎麦屋に行って、兄貴分が蕎麦屋になんだかんだと絡んで一文かすめるのを見た弟分が次の日やってみる、というかたち。
弟分が「兄貴がやったとおりにやるんだ」と言って、一人で来たのにもう一人いるつもりで話しかけたり「そこにいるのはお前(蕎麦屋)の孫かい?」と言って蕎麦屋に「やっぱりあなたなにか見えてるんだ!病院に行った方がいい」と言われたりして、すごく面白い。
この日は小遊三師匠目当てで初めてのお客さんが多かったんだけどよく笑うお客さんで米多朗師匠ものりのりですごく楽しかった。


遊三師匠「小言幸兵衛」
幸兵衛さんの妄想が楽しい。芝居調のところは短めにきりあげて、花火屋の威勢のいい男がやってきて幸兵衛さんがたじたじになるところでサゲ。こういうの、初めて見た。いつもと違うのを見られるとすごくうれしい。


宮田陽・昇先生 漫才
武士に詳しいっていう新しいネタ。これがまたすごく面白かった。陽先生のとんでもないボケがほんとにおかしいんだけど、昇先生のつっこみも大好き。
「言っちゃってるな!」って絶妙のタイミングで言われるとわかってても何度も笑っちゃう。


遊之介師匠「蝦蟇の油」
仲間とすっごく安い居酒屋に行ってお金をけちって湯豆腐を一人前頼んだ後に冷奴(こっちのほうが断然安い)を頼んで湯豆腐にしちゃうという「秘儀」を見つけてほくほく。
次の日もまたあれをやろうとはりきって行ったら冷奴が「時価」になっていた、というまくらがすごくおかしい。

見世物小屋の小噺から「蝦蟇の油」。これが今まで見た中で一番面白い「蝦蟇の油」だった!なんであんなに面白かったんだろう。改変してあったっていうわけじゃないのに…最初の口上がよどみなくてそれでいてただ「どうや」って感じじゃなくて飽きさせない。酔っぱらってからのぐだぐだもそんなにしつこくやるわけじゃないのにすごく面白い。
おどろいたなぁ。遊之介師匠、前にも何回か見ているはずなんだけど、要チェックだなー。


伸治師匠「粗忽の釘
わーい、伸治師匠。私、こういういつもご機嫌な人ってほんとに好きなんだよねー。惚れるわー。
明るくて軽くて楽しい「粗忽の釘」。
行水してふぇーふぇーはあんまり好きじゃないんだけど、伸治師匠のは好きだったなー。下ネタも伸治師匠なら全然いやじゃないのだ。


ボンボンブラザーズ先生 曲芸
勇二郎先生が桟敷に上がると、お客さんは大歓声。私の前にいた子(中学生ぐらい?)も思わず大きな声を出して応援していて微笑ましい。
この頃ちょっとどきどきするところもあるけど、それはそれ。そういうのも笑いにかえてずっと長くやっていってほしい。

小遊三師匠「野ざらし」
やっぱり笑点の人気ってすごいんだなぁ。私は笑点には全く興味はないけど、小遊三師匠は夢吉さんのお披露目に通っている時に毎日出ていて口上のほどがよくて毎回違う落語を聞かせてくれてそれがいつも面白くて大好きになった。
二人会や三人会もやってるけどだいたい小遊三師匠以外が好きじゃない人のことが多くてなかなか行けないので寄席にこんなに出てくれるっていうのはほんとにありがたい。

歌丸師匠のことを面白おかしく話しながら、今日のトリで何をやろうかいくつか考えてきたけど…と言う小遊三師匠。
「一番やりたかったのが、粗忽の釘…。やられちゃったからね」と言うと、私服の伸治師匠が出てきて「すみません!」と土下座をしたのには笑った~。
「次が蝦蟇の油。よりにもよって弟子にやられちゃった」
そんなまくらから「野ざらし」。

小遊三師匠の「野ざらし」好きなんだー。すごく明るくて軽くてばかばかしい。歌ったりのろけたり途中ちょっと脱線したり。
すごく楽しかった~。

君の膵臓をたべたい

 

君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

 

 ★★★

偶然、僕が病院で拾った1冊の文庫本。タイトルは「共病文庫」。
それはクラスメイトである山内桜良が綴っていた、秘密の日記帳だった。
そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて――。

病を患う彼女にさえ、平等につきつけられる残酷な現実。
【名前のない僕】と【日常のない彼女】が紡ぐ、終わりから始まる物語。
全ての予想を裏切る結末まで、一気読み必至!  

 なんとなくこうお手軽感は否めなかったけれど若々しさに溢れていてそこは良かったのでは。

少女漫画チックだし山崎賢人広瀬すずあたりで映画化されそう。
ふだん本を読まない若い人が読むといいんじゃないかな。

ってなんか冷ややかな感想だな、おい。
ちょっと私にはさすがに…だったかな。

鈴本演芸場11月下席夜の部(4)

11/24(木)、鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・歌之介「かあちゃんのあんか」
・扇遊「一目上がり」
~仲入り~
・ホームラン 漫才
・さん助「時そば
・楽一 紙切り
・扇辰「雪とん」

歌之介師匠「かあちゃんのあんか」
きっとすごくいい人なんだろうなぁと思うけど、この師匠の甘ったるい喋りが苦手。でも隣の席のおじいちゃんは涙をぬぐっていた。
 
扇遊師匠「一目上がり」
うちの師匠、扇橋は酒が一滴も飲めませんでした。
だからうちの一門の忘年会は句会だった。
弟子は句を作るのに必死で酒どころじゃない。この日だけはみんな真剣に句を作っていた。だからうちの一門の句は冬の句ばかり。
師匠が宗匠を務めていた東京やなぎ句会。永六輔さんや小沢昭一どそうそうたるメンバーがそろっていたけどもうほとんどのメンバーが天国に行ってしまって、今では小三治師匠ともう一人だけ。
句会っていうのは名前を伏せて自分の句を出し合って順位を決めていくけど、二人じゃ誰の句かすぐにわかっちゃう。だからゲストを呼んだりして人数をそろえてやっているらしいけど、大変だって小三治師匠が言ってました。
 
最近の言葉が私にはもうわからない。

何年か前にありましたね。KYっていう言葉が。「空気を読めない」っていう意味で「KY」。そんなのもうわかりっこない。無理です。「KY」って言ったら「柳家小三治」に決まってます。
って小三治師匠のことを「KY」なんて言ったら怒られちゃいますけど。


扇遊師匠がまくらをふるなんてなんか珍しくてうれしい~。しかも扇遊師匠の口から小三治師匠の名前が出るうれしさよ、よよよ…。
そういえば前に喬太郎師匠の番組に扇遊師匠が出た時に、扇橋師匠が亡くなって弟子たちのことを心配してくれた小三治師匠が声をかけてくれて一緒にご飯を食べに行った、と話していたことがあってあれもうれしかったなぁ…。

そんなまくらから「一目上がり」。
扇遊師匠の「一目上がり」は何回も見ているけど、いいなぁ…。ご隠居さんと八つぁんの仲の良さが伝わってきて、口が悪いけど気のいい八つぁんがチャーミング。
うきうきと弾むような高座で見ているこっちも笑顔になってくる。
ああーいいなぁ、扇遊師匠!「ねぼけ」も見に行かなくっちゃ!


ホームラン先生 漫才
最近「いつのも」じゃなくて、たにし先生を自由にいじる、みたいな漫才になっていて楽しい。
若手の頃に地方に行ったときにたにし先生がユニットバスの入り方を知らなくてトイレの方までびちょびちょになってた話とか、ああだこうだ言われてたにし先生が「俺見栄坊だから。おやじも。それで町内会長やったから」って話も面白かった~。


さん助師匠「時そば
おお。さん助師匠の「時そば」初めて。
売り声がいいなぁ。
そして最初の男のそばの食べ方が…最初は「お、そばの食べ方、案外うまい」と思わせておいて、だんだんなんかおかしくなっていくのは、なんだろ?…照れ?
二番目の男がつゆを飲んで心底まずそうでうえってなっていておかしい。
もう少しゆったりやった方が笑いが起きる気がする。って何様目線


扇辰師匠「雪とん」
この日は朝から雪で午後になって止んだもののお客さんが来ないんじゃないかと思っていた、と扇辰師匠。そんな中よくおいでくださいました、と客席をぐるり。

自分は今日は新潟に行って来た、と。
学校寄席の仕事で朝早くに出かけたんだけど雪は覚悟していたのでヒートテックを二枚重ねして背中にカイロを貼り付けてダウンジャケットを着こんで長靴を履いて。
東北新幹線に乗って前橋のあたりを過ぎた時は猛吹雪。
ひゃー。こりゃ新潟はすごかろうと覚悟して行ったら、新潟がピーカン。
今まで何回も行ってるけど、東京が雪で新潟が晴れてたなんていうのは初めて。
長靴なんか履いてるの自分だけだし暑いのなんの。汗だくになっちゃった。
だから今日の私は抜け殻、わかるでしょ?げっそりしてるでしょ。
今日学校でやってきた噺なら稽古できてるからいいよ。「寿限無だけど。
「そうはいかないか」と噺に。

船宿に泊まっている若旦那。といってもこちらはいい男の若旦那じゃなくて田舎の「お大臣」のところの若旦那。
これが具合を悪くしているので心配した船宿のおかみさんが若旦那のもとへ。
「おまんまがのどを通らない」と言いながらしっかりまんじゅうまで食べている若旦那なのだが、通りかかった糸屋の娘に恋煩いをしてしまい苦しくてしょうがないのだという。
「あの娘さんは近所でも評判の器量よしであなたにはとても…」とおかみさんが言うと、それはわかってる、だからどうにかなりたいなんて言ってない。一晩だけゆっくり話をして優しい言葉をかけてもらえればそれで満足して国に帰る。それができなければ首をくくって死ぬ、と若旦那。
おかみさんはお糸にいつも付いている女中をうまく言いくるめて話を付ける、と約束。

この田舎の若旦那がちょっとこう…これでもかというぐらい変な顔をして田舎っぽい喋り方で、私の苦手な感じなのだが、それに反して船宿のおかみさんがすごくいいのだ。頼りがいがあって話がわかってちょっと皮肉なところもあるけど上品ないい女って感じで。
 
そしてこの後に出てくる、人違いされてお糸の部屋に案内されていい男だったもんだからお糸に一目ぼれされてちゃっかりいい目にあう男、佐七がもうかっこいいんだなー。
ことさら「いい男」をやらなくても普通にしてればいい男だからそこはさらっと。
この悪くていい男が「なんか面白いことになってきたぞ」とそのままお糸の屋敷に入り込んでもてなしを受けてお糸が悪からず思っていることを瞬時にかぎつけて袖をつかむところ…。
ぞくぞくっとするぐらいかっこいいんだけど、そこで扇辰師匠が「ここ、親指と人差し指で袖をつかんだだけですよ。それでお糸は”あーれー”って言って崩れ落ちるわけですから…。結局は相手次第、なんですね。これが嫌な相手だったら女性は羽交い絞めにされようがなんだろうが、ぎゃーーーーおっかさーーーん!!!って大声あげて逃げますから」。
いい男だけどいい男側からは発言しないのねー。ふふ。
 
いやぁ楽しかった。
ああ、なんか私、扇辰師匠に慣れてきた…なんていうととても失礼だけど、ようやくこの師匠の見方というか味わい方がわかった気がする。
芸が細やかで端正だからそれを味わえばいいのですね…。
私の場合どっちかというと芸の細部を見て味わうというよりは、ばーんとその世界に身をゆだねて面白がるっていう身を任せる系の楽しみ方なので、一度苦手だなあと思うと楽しめなくなってしまう。
苦手だと思って今まで避けていたけどこうやって通っているうちに良さがわかって楽しみ方が分かったのは大きな発見だったなぁ。
ってそんなこたぁ最初からわかってるよ!ばかじゃないの!とファンの方に怒られそうだな。すすすびばせん。

鈴本演芸場11月下席夜の部(3)

11/23(水)、鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・ひしもち「子ほめ」
・遊京「弥次郎」
・仙三郎社中 太神楽
・菊太楼「粗忽の釘
・左龍「棒鱈」
・ペペ桜井 ギター漫談
・小ゑん「ぐつぐつ」
・一朝「三方一両損
~仲入り~
・にゃんこ・金魚 漫才
・さん助「だくだく」
・正楽 紙切り
・扇辰「甲府ぃ」

 

ひしもちさん「子ほめ」
久しぶりに見たひしもちさん。滑舌もテンポもよくてすごく聞きやすくなってる。
前座さんって成長が著しいなぁ。

 

遊京さん「弥次郎」
前座時代、わざとつまらなく「二人旅」をやってるような印象を受けた時期もあったんだけど、なんか面白いなこの人。
早口でも喋れるのにわざとゆったりした喋り方をしてるみたい。

前座時代は毎日師匠宅で掃除をしていたので、ニツ目にあがってぜひとも買いたかったのが「ルンバ」。
これからお正月になってお餅を食べる機会もあるかと思いますが、餅がのどに詰まったときは叩いたりなんかしないで掃除機で吸い出すといいです。
でもあれですね。家にある掃除機がルンバだったら…。自分が横たわってルンバに探してもらわないといけないですね。餅を。
そんなまくらから「弥次郎」。
のんびり、淡々とした語り口だからなのか、すごく面白いところとそうでもなく感じてしまうところとあって、なんとも独特。
なんか興味をひかれる。遊京さん、もっと聞いてみたくなった。

菊太楼師匠「粗忽の釘
釘を打ち込んだ亭主がおかみさんにお隣に謝りに行ってきなと言われて「俺が行くの?いやだよ。お前が行けよ」
「お前さんが主なんだからお前さんが行くの」
「主なんかいやだ!わらじがいい!!」って叫ぶのが、なんかかわいくて思わず笑ってしまった。
わちゃわちゃしててかわいい「粗忽の釘」だった。

 

小ゑん師匠「ぐつぐつ」
おお、また「ぐつぐつ」!
次の日が雪の予報で寒かったからねぇ…。
ぐつぐつ遭遇率が高いので正直違う噺も聞きたかったけど、大好きな「お茶ひいちゃって」のセリフが聞けてうれしい。
そして時間が少し多めにあったのか、いつもはないシーンもあったりして、それも嬉しかった~。

 

一朝師匠「三方一両損
江戸っ子のまくらだったので「もしや」と思ったらやはり…だった。どうも同じ噺に当たりやすいなぁ。って行き過ぎだからか。ははは。
トリの時よりは時間が短いはずなのだが省いたところがわからない
江戸っ子の啖呵をこんなに楽しくやる噺家さんはいないよねぇ。「なにぉー?」だけで弾むように楽しい。

 

さん助師匠「だくだく」
考えてみると私「だくだく」「ぞろぞろ」「つるつる」「ぐつぐつ」って二文字が続く噺が好きなんだな。

槍を描いてもらうのはいつも通りだけど、今日は手裏剣や撒菱や鎖鎌まで出てきて、先生が忍者の武器の使い方を説明していくうちにどんどんノリノリになってくるという新しい展開。
「これぐらいにしておきましょう。忍者屋敷になっちゃう」っていうセリフも初めて。
噺もいろいろ変化させていくんだなぁ。面白い。
近視で乱視の泥棒の顔がもう…。怪しくて大好きだ。

 

にゃんこ・金魚先生 漫才
この漫才を笑う了見にいまだ達せず、白目。

 

扇辰師匠「甲府ぃ」
「暮らしの手帳」に奥さんと二人で掲載されているらしいんだけど「あそこに書いてあるのはうそばっかり」。
なんでも「結婚する前に商品テストしておけばよかったです」という扇辰師匠の珠玉のギャグもカットされ、全体的に「美談」になってしまっていたのが納得いかないそう。
奥さんが甲州の出身、自分が新潟の出身で、我が家は毎日「川中島の合戦」というまくらから「甲府ぃ」。

大好きだと言う人もいるこの噺を嫌いっていうとなんか血も涙もない人間みたいであれなんだけど、だからなに?と思ってしまうのだ、どうも。もともと人情噺があんまり好きじゃないんだな。ばかばかしい噺が好きなの。落語では。
でも扇辰師匠の「甲府ぃ」、すごく良くてじーんとしてしまった。

とにかく善吉さんがすごくいい。
豆腐屋の主人の言葉を聞いて黙ってしばらくしてから頭を下げる、そういうしぐさから善吉の素朴さやまじめさや純粋さが伝わってくる。
扇辰師匠の沈黙ってすごくいいんだなぁ。

その分、豆腐屋の主人の江戸っ子ぶりが私には少し鼻についてしまうんだけど、でも見ていて気付いたことが。
ことさらこうやって顔を作ったり作った声を出さないとハンサムなだけにメリハリがなくなってしまうというか気取ってるように見えてしまう。ハンサムにはハンサムなりの苦労があるんだなぁ…(違う?)。

主人が善吉に売り声を教えるところ。「とうーーーふーーぃーー」ってすごくゆっくりたっぷり声を響かせるので、なんか気障だなーって思っていたんだけど、これが最後のセリフの時にすごく効いている。
そうかー細部まですごくよく考えられていて、無駄なところがないんだ。

甲府に帰る善吉とお花をテンション高く送り出した主人がその後ちょっと堪えたような表情をしたのにもぐっときた。
そうか、この時代に江戸から甲府へ旅するっていうのはほんとに命がけで、もう会えないかもしれない…そんな不安の裏返しで、お赤飯を用意したりことさらはしゃいでいたのか。

今まで「つまんねー噺」と思っていた噺を違う目で見ることができたし、苦手と思っていた師匠の魅力に気付くこともできた。
同じ芝居に通うのって結構しんどい時もあるけど、やっぱり楽しいなぁと思ったのだった。(また明日も行く!)

大きな鳥にさらわれないよう

 

大きな鳥にさらわれないよう

大きな鳥にさらわれないよう

 

 ★★★★

何人もの子供を育てる女たち。回転木馬のそばでは係員が静かに佇む。少女たちは日が暮れるまで緑の庭で戯れ、数字を名にもつ者たちがみずうみのほとりで暮らす。遙か遠い未来、人々は小さな集団に分かれ、密やかに暮らしていた。生きながらえるために、ある祈りを胸に秘め―。滅びゆく世界の、かすかな光を求めて―傑作長篇小説!  

 最近こういう小説が多いなぁと思いつつ、読み終わってみればやっぱり川上弘美だなぁ…という読後感。

表題作と「Interview」が好きだな。

人類のことを心配するんだとしたら、その中の自分のことだけ、心配してりゃ、いいじゃない。(中略)それ以上のことなんて、手が回らないし、手が回ると思ってるとしたら、そりゃちっとばかり、えらそうなんじゃない?

 「Interview」で語ってるこの緑の人、すごく好きだけど競争心がなさすぎて絶滅しちゃったって…。そうか。競争心がなくなって欲がなくなってただいるだけになると絶滅しちゃうのか。なんか好きだー。

絶望してるようで仄かな希望もあってそこが好き。

鈴本演芸場11月下席夜の部(2)

11/22(火)、鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・ホームラン 漫才
・さん助「しの字嫌い」
・楽一 紙切り
・扇辰「三井の大黒」


さん助師匠「しの字嫌い」
入った中華屋に餃子おじさんがいた、というさん助師匠。
なんでもべろんべろんに酔っぱらったおじさんで、働いている中国人の女の子に「わたしのことー知ってますかー?アイアムベリーフェイマス!」とか言ってからんでいる。
お客さんはみんな「いやだなぁ」という顔をしていたんだけど(「目を細めている」って言ってたけど「目を細める」となんか微笑ましく見てるみたいなイメージが…むしろ「眉をしかめる」なのでは…)、そのうちおじさんが自分の財布を出してお客さん一人一人の席に行って「これで餃子でも食べて」と千円札を配りだした。
もらったお客さんは急にニコニコしだして店の中の空気も一変!
これはありがたい!と思っていると、さん助師匠のところまで戻ってきたおじさん。財布をのぞいて「あれ。あ、もうないや。あとは自分でやって」。

…ぶわはははは。おかしい~。さん助師匠のまくらってビミョーなことが多いけど、これは面白い!(←すごく失礼な言い草)

そんなまくらから「しの字嫌い」。
言い間違えはあるし、途中で何回か「し」言っちゃってるし、気づかずに「し」言っちゃうとこの噺のコンセプトが分からなくなってしまうような…。
でもなんかもうおかしくて私は大好きなんだけどねー。なんとなくテンション低く行ってテンション低めで聞いてたんだけど、さん助師匠の落語聞いてたらもうおかしくておかしくていつのまにかげらげら大笑いしてた。

主人が権助にあれこれ屁理屈言われて「はい。じゃ次回からそうします」とあきらめるところもなんか好き。


楽一さん 紙切り
文句言わずに切るけど、切りながら困ったように固まったりぶつぶつ言ってるところが好きで好きでしょうがない。
この日も「初雪」というお題に困って苦肉の策を出していたけど、かわいかったなぁー。がんばれー。


扇辰師匠「三井の大黒」
顔芸(というと失礼か)と作り込んだ声がどうにも苦手…。あとなんか意地悪な感じがどうしてもしちゃうんだなぁ…まくらにも噺にも。できるだけ今席は先入観なしに聞こうとは思ってるんだけど。
でも所作がほんとにきれい。指先まで神経が行き届いてる感じ。
あと政五郎が甚五郎の作った大黒様を見て黙って涙を流すところはすごくよかった。
引いたところは好きだけど押してるところは嫌いなのかも。そして押しの方が強いところが苦手なのかも。(フラットな気持ちで見ようと思っていても、どうしてもどこが苦手かを考えてしまう)

鈴本演芸場11月下席夜の部(1)

11/21(月)鈴本演芸場11月下席夜の部に行ってきた。

・ホームラン 漫才
・さん助「やかん泥」
・ストレート松浦 ジャグリング
・扇辰「鰍沢

 ホームラン先生 漫才
テレビショッピングで買ったワンダーコアと3万円した腕時計の話、すごい面白かった!

さん助師匠「やかん泥」
泥棒が料理屋に押し入って百両を奪い、店の主に腹が減ったから何か作れと言ってその分の代金は支払うと約束。主が鯉のあらいや鯉こくなどを作ってくれてたらふく食べて金を払おうとすると…という小噺。
何回も聞いたことがある小噺なんだけど、これをとても丁寧にやったさん助師匠。
客席からの反応が物足りなかったのか「いいんです。大好きなんです。これ、マイフェバリット小噺です」。
ぶわははは。

泥棒の親分が子分と噺をしている。
「全くおまえはしょうがないな。ちゃんと仕事してるか?」
「ええ、親分」
この子分がもうなんていったらいいのかすごくはっちゃけてて存在だけでもうおかしい。
「この間はすごいお屋敷に入りました。もうすごいの。門からしてコンクリートでできてて。入ってみると檻があってなんとそこには猿が!」
「猿を飼ってるなんてそりゃ相当な金持ちだな」
親分が言うと「それが飼ってるのは猿だけじゃない。そのうち遠くから鳴き声が聞こえてきた。ぱぉぉーーん」
…ぶわははは。

真夜中仕事に出かける二人。
暗闇を怖がる子分がやたらと親分に口をとんがらかして話しかけるんだけど、これがもういちいちうるさくてばかばかしくておかしい。

あたりをつけた家に親分が忍び込むところで、犬用にあけた扉から入るという親分。
「こんなちっちゃいところ入れないよ」という子分に親分が「おめぇしらねぇのか。犬っていうのは頭さえ入っちゃえばあとは抜けられるんだ。」と言うと子分が「だったら犬の首輪はなんで首のところで止まってるんですか?」

なんかいかにもさん助師匠が言いそうなセリフでおかしくておかしくて。
親分が犬用の扉から頭を突っ込んで入っていくしぐさももうすごくばかばかしい。
「これ…命がけの高座だな」って…。ばかだー。

台所道具を盗み出す親分とそれを受け取る子分。
大きな窯を落としてその音で家の主である隠居が目を覚まして「泥棒か?」と穴から禿げ頭を出すところで噺は終わり。

いやもう最初から最後まで笑いっぱなしだった。
「やかん泥」、初めて聴いたけど、おかしかった~。

扇辰師匠「鰍沢
裏がありそうな暗い女が扇辰師匠にぴったりはまってる。旅人が寒がる姿と女の冷ややかな態度に身も心も冷めたくなった。ひゅるるる。

おくまが遠くから旅人を呼ぶ声がものすごく小さくてそれが逆にすごく怖い。あと所作がすごく丁寧できれい。
苦手な師匠だけど、この噺は嫌じゃなかったな。

ミスター・メルセデス

 

 ★★★★

 

車を暴走させて八人の命を奪って消えた殺人犯。いま退職刑事の元にそいつからの挑戦状が。異常殺人犯と不屈の男の対決がはじまる!

 

 おおお、おもしろかった。なんの前知識もなく読んでいたので、上巻はこれから異次元に行くか?とドキドキしながら読んでいた。真っ当なミステリーなのかホラーなのかわからないで読む楽しさったら。

読み終わってみれば、ハラハラドキドキ真っ当なミステリーだった。

いやしかしなんだな。「代償」という言葉が浮かぶ。犯人側も追う側も一番大切な人を失っているというのがなんとも虚しい…。

解説読んでびっくり。なんと三部作とは!どんだけバイタリティーがあるんだ。すごいな。この3人組が特捜部Qにも見えてきた。

池袋演芸場11月中席昼の部

11/19(土)、池袋演芸場11月中席昼の部に行ってきた。

・小はだ「転失気」
・朝之助「壺算」
・伊織「鮑のし」
・わたる 漫談
・文蔵「ちはやふる
・百栄「鼻ほしい」
ロケット団 漫才
・勢朝 いつもの
・左楽「松山鏡」
紫文 粋曲
・はん治「妻の旅行」
~仲入り~
・歌奴「掛け取り」
・正朝「宗論」
・アサダ二世 マジック
・一朝「三方一両損


小はださん「転失気」
この間のはん治師匠の会の時になんかよくわからないけど面白いと思ったので、今回はどこが面白いんだ?とじっくり見てみたんだけど、やっぱり間なのかな。
あとちんねんさんがかわいい。すごく。


朝之助さん「壺算」
前座時代より声が大きくなってる!そして激しくなってる(笑)。
それによって笑いも起きるんだけど全体的にメリハリもなくなってしまっているような気もする。ってえらそーですびばせん。
でも、「俺のほしかったのは一荷じゃなくて二荷の瓶だったのに」と文句を言う男に兄貴分が「黙ってろ。この瓶が二荷に変わるから」と言うと男が「え?分裂?」と言ったのはすごくおかしかった。


伊織さん「鮑のし」
つまらなそうな顔で面白いことを言う芸風を身につけた?
ニツ目に昇進した伊織さん。師匠は嫌いだけど伊織さんは嫌いじゃないな。
うまいし押しつけがましくなく面白い。

わたる先生 漫談
ついにプログラムから「キセル」の文字が消えてただの「漫談」に…。orz…。


文蔵師匠「ちはやふる
お披露目が終わった文蔵師匠。
「これでもう自由にやれる」という言葉通りの自由な高座。
前は苦手な師匠だったけどだんだん苦手意識がなくなってきたなー。こういうこともあるんだな。
遊びがいっぱいで(違う噺がいろいろ入り混じってきて中には「小言念仏」まで!)すごく楽しい「ちはやふる」だったんだけど、サゲを言った後に「ちはやの本名だった…なんてことはないだろう!じゃなんでだ?どういう意味だ?…それはこの後百栄が教えてくれる」と言って下がって行った!(笑)。


百栄師匠「鼻ほしい」
いつもの「こんにちわー」もなく「ちはやふるの続きに入る百栄師匠。
そして「とわっていうのはね…とはっていうのは…」と言った後に突然歌い始めて、ええ?なんかどこかで聞いたことがあるようなないようなこの歌は誰の歌?と思っていると「ちはや太夫は実は死んでいなくて後に竜田川とデュオを組んでデビュー。ちはやがトワで竜田川がモア。トワエモア」って…。
しかもそこに普段着に着替えた文蔵師匠が出てきて「じゃ、お先」って。
ぶわはははははは!

「ああいうことをするんですよ。あの兄さんは。やってるやってるって思って見てたんですけど、まさか自分に振られるとは思ってもいなかった。だって僕今日代演なんですよ」。
それでもこういう遊びに付き合ってしかもハイクオリティっていうのが百栄師匠のすごいところ。

その後リズムを戻すのが難しそうだったけど漫談で終わらず「鼻ほしい」。
これがまたおかしくておかしくて。笑い通しだった。楽しかった!


ロケット団 漫才
久しぶりのロケット団
骨折日記を読んだりもしていたので感動もひとしお!
しかもそれをうまくネタにして前よりも面白くなっていて素敵。


歌奴師匠「掛け取り」
こういう季節ならではの噺を聞かせてくれるとそれだけでポイントがアップしちゃうなぁ。
しかもどれもうまくて聞いていて気持ちいい!
寅さんのものまねもすごく上手で素晴らしかった。好き好き。


一朝師匠「三方一両損
好きな噺じゃないんだけど、一朝師匠だと面白いんだよなぁ。
意地を張り合う江戸っ子の啖呵合戦が小気味よくて楽しい。
大きな声で「なにを~?」というだけで笑えるのは今のところ一朝師匠だけかも。

山椒魚

 

山椒魚 (新潮文庫)

山椒魚 (新潮文庫)

 

 ★★★★

老成と若さの不思議な混淆、これを貫くのは豊かな詩精神。飄々として明るく踉々として暗い。本書は初期の短編より代表作を収める短編集である。岩屋の中に棲んでいるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の狼狽、かなしみのさまをユーモラスに描く処女作『山椒魚』、大空への旅の誘いを抒情的に描いた『屋根の上のサワン』ほか、『朽助のいる谷間』など12編。  

 「山椒魚」は教科書に載っていてかなり丁寧に読んだから内容は覚えていたけど、そのときはもやもやとよくわかったようなわからないような不思議な気持ちになった。
今こうして読んであの頃よりはわかったような気がするのだけれどほんとのところはどうなんだろう。

いつかは外に出ようと思っているうちに成長しすぎて岩穴から出られなくなってしまった山椒魚。群れて泳ぐ小魚たちを見て「哀れな奴だ」と蔑むことで自分自身の不幸から目を逸らそうとはするものの、厭世観は果てしなく、迷い込んできた蛙を閉じ込めて自分と同じ不幸を味わわせることで溜飲を下げる。

狭い穴の中に閉じ込められた山椒魚と蛙は「敗者」ではあるのだが、結局のところ生きていくことは負けることなのかもしれない、しょうがない、と虚しいけれどちょっと笑いたくなるような後味。

他の作品を読むナイーブで少し斜に構えた文学青年の姿が浮かび上がってきてちょっと意外に感じた。というのは、教科書に載っていた=立派な人、というイメージが、そんなことは決してないとわかっている今になってもまだぬぐいきれないのだな。

また何年かして読んだら受ける印象がまた違っているかもしれない。

上野広小路亭11月中席

11/12(土)、上野広小路亭11月中席に行ってきた。

・昇りん「たらちね」
・金かん「道灌(?)」
・蝠よし「元犬」
・昇々「初天神
・真理 いつもの
・夢丸「親子酒」
・金遊「子ほめ」
・美由紀 粋曲
助六「長短」
~仲入り~
・柳太郎「おかえり」
・Wモアモア 漫才
・南なん「転宅」
・蝠丸「二番煎じ」
ボンボンブラザーズ 曲芸
・米福「御神酒徳利」

金かんさん「道灌(?)」
名乗らなかったんだけど、うまいなぁと思ったのと佇まいも素敵だったので、あれは誰だったんだろうと調べてしまった。金遊師匠のお弟子さんらしい。
「道灌」だと思うんだけど、道灌は出てこなくて小野小町や深草少将のところ。
しゅっとしていて素敵だった。

蝠よしさん「元犬」
蝠丸師匠のお弟子さん。確かに語り口に少し師匠の香りが。
普通にサゲて拍手をしかけたら「普通はこれで終わりなんですけど。この噺は師匠に教わったんですが、実は続きがありまして。でも師匠から、この続きはとても珍しいから、お前もめったにやるんじゃないよ。特別なお客さんの時にやりなさいよと言われてます。今日は特別なお客さんなのでやらせてもらいます」と。

せっかく「特別」の続きだから書かずにおくけど、いかにも蝠丸師匠らしくてそのテイストをお弟子さんが引き継いでいるっていうのがすごく嬉しい。よかった。

昇々さん「初天神
聞きなれた小噺でもなんかこう異常さが出ていて壊れている。これが好きっていう人と嫌いっていう人が分かれそう。私は結構好きだけど。
初天神」もとにかく激しくて酷い(←ほめてます?)んだけどなんか面白い。
天神様が近づいてきてお店がたくさん並んでいてでも買ってくれって言わない約束で出てきたからそうとも言えなくて…ってなったときに「ああ、たこ焼き屋!いいなぁ。うまそうだなぁ」「ああっあそこに飴やが出てる!」「ああっ」って言ってると父親に「うるせぇ!静かにしろ!」と怒られる。
すると「怒られちゃった。怒られた。…怒られちゃった。…あそこで売ってるって言っただけなのに。買ってくれって言ってないのに。怒られちゃった。買ってくれとは言ってないのに。」

こういう子どもいたいた!なんか泣き所や突っかかってくるところが予想外でイライラさせる子ども!
おとうさんも相当異常な感じなんだけど、この子ども!昇々さんってこういう子どもだったのかなと思わせるめんどくささが出ていて、面白かった!

夢丸師匠「親子酒」
この日は団体さんが30名ほど入っていてそのおかげで椅子席の前の方がほとんど予約席になっていて、正直「ちっ」と思っていたんだけど、さらに団体のおじさん連中が日本酒を持ち込んで飲み始めて、しかもそれを見て夢丸師匠が酒のまくらや「親子酒」をかけたもんだから、「お許しが出た」と勘違いしたのか、地声で喋るはおつまみを回すわ袋をがさがさやるわ、うるさいうるさい。
こういうおじさんたちはただ飲みたいだけなんだから、何も寄席に入ってこなくてもいいじゃないの。飲みたかったから磯丸水産(←昼からやってる)に行けよ!と言いたい。
大好きな夢丸師匠だけど、おかげで酔っぱらいが付け上がっちゃったじゃない!と八つ当たりをしたくなった…。

金遊師匠「子ほめ」
前に見た時は「陰気だなぁ」と思っていたんだけど、二回目に見て、好きになった。
自分の友だちに「五」という数字にこだわっている男がいる、というまくら。生まれた日時によるものらしいんだけど、その男がナンバーズで当てて、当たった五万円を持って競馬に行って…。多分そうなんだろうなというオチだったんだけど、淡々とした語りがたまらなくおかしくて大笑い。
「子ほめ」も淡々としていてかなり引いているんだけどそこからちょっと皮肉な笑いが生まれて面白い。
しかも静かな語り口でうるさい酔っぱらいたちを鎮めたのも素敵だった~。

助六師匠「長短」
大好きな小助六師匠、音助さんの師匠。ついに見られた。
なんか独特の間でちょっと見ていてどぎまぎしてしまう。あやつりが素晴らしいと聞いていたんだけどそれは見られず残念。
「長短」もいつも聴く「長短」とは違って、長さんの方が上方の人、という設定。面白かった。

柳太郎師匠「おかえり」
シュールな新作。面白い。なんか好きだな、この師匠。

南なん師匠「転宅」
待ってました!の南なん師匠。あまりに「置き泥」が続いたのでちょっとへこんでいたんだけど、やっぱり好きなんだもん、見たいんだもんと気を取り直し。
お菊さんに色仕掛けをかけられて、でれ~と喜ぶ泥棒がかわいい!
「まじめにやってればいいことがあるんだなぁ」というつぶやきに思わず笑ってしまう。かわいいなぁ。かわいさって出そうと思って出るものじゃないし、器量によるものでもない(!)と私は思っているんだけど、南なん師匠はほんとにかわいいと思う。そして私はやっぱりかわいさがある人に弱いなー。

蝠丸師匠「二番煎じ」
この日は代演で蝠丸師匠が出ていたのでラッキー!
喉の調子が悪くて…と言いながらも「二番煎じ」をかけてくれる蝠丸師匠が素敵すぎる。
ししの肉…おいしそうだった…。
そしてご相伴にあずかる役人も楽しそうでいいな。

米福師匠「御神酒徳利」
米福師匠の「御神酒徳利」は前にも一度聞いたことがあるけど、楽しかった。帰ってくるところであんな言いたてがあったっけ?覚えてないんだけど、そういうのも楽しい。

柳家はん治の会

11/11(金)、鈴本演芸場で行われた「柳家はん治の会」に行ってきた。
寄席では「いつもの」しか見られないはん治師匠。トリの時でもめったに違う噺を見ることはできない。
毎回見て毎回楽しいから大好きなんだけど、それでも「いつもの」じゃないのを見てみたい!だからネタ出しされているこの会はとっても貴重な会なのだ!

・小はだ「転失気」
・さん光「浮世床~夢~」
・はん治「粗忽長屋
~仲入り~
・小里ん「睨み返し」
・小猫 動物物まね
・はん治「妾馬」

小はださん「転失気」
小はださんと言えば、まだ見習いの時に連雀亭の前座で出ていて、吉笑さんが「立川流の前座全員よりうまい!」と感動して、自分も古典の基本をちゃんと教えてもらおうと思った、といっていたのを思い出すのだが、いやぁほんとにうまい。声もいいし落ち着いてるしちゃんと「落語」になっているから見ていてお尻がもぞもぞしない。(見ていていたたまれなくなる噺家さんっていうのもいるから)
うまい人だなと思っていたけど、この日はなんだろう、うまいだけじゃなくてなんか面白いぞという感じがじわっとした。
前座さんらしい素直な落語なんだけど、ふわっとおかしさが漂ってくる。
小はぜさんもそうだけど、はん治師匠のところにはすごくいいお弟子さんが入るのね!とうれしくなる。

さん光さん「浮世床~夢~」
二ツ目になってから初めて見るかも。さん光さん。
前座の頃と比べるとふてぶてしさみたいのが出てきて、本当はこういう人だったんだな、と思って面白い。
結婚したいというまくらも面白かった。

はん治師匠「粗忽長屋
はん治師匠の「粗忽長屋」は何回も見ているけど、楽しいなぁ。細部にわたってはん治師匠のテイストがちりばめられているから、なんかあったかくてとぼけてて楽しい。
耳にタコのお決まりのセリフでも笑ってしまう。楽しかった。

小里ん師匠「睨み返し」
前半の薪屋のところはほんとに好きじゃなくてここだけで終わると「なんだよ!」とイラっとしてしまうほど。
小里ん師匠のもなんともいえず陰気で、だけどちょっとおかしくて笑っちゃうんだけど、でもやっぱりこの部分は好きじゃないなと思っていると、薪屋を帰した夫婦が借金の言い訳屋を家に呼んできて、「睨み返し」へ。
この睨み返す顔が最高におかしい!!前半が陰気だっただけに、その続きで陰気なんだけど顔がもうどうにもこうにも…口では説明できないくらいの面白さ。
取り立てに来た人がなんやかんや言ったあとに、「ああ、あの顔をするぞ」と思ってもうワクワクして笑ってしまう。

すごく楽しかった!
明るく軽く笑わせるんじゃなくても、こんなふうに笑えるんだっていう驚き。

小猫先生 動物物まね
動物の物まねももちろんだけどトークがとにかくうまい!いつ見てもほんとに素晴らしいと思う。大好き。

はん治師匠「妾馬」
緊張気味のはん治師匠に見ているこちらもドキドキ。でもこの「妾馬」が本当にはん治師匠らしい、素晴らしい「妾馬」だった。
八五郎が口が悪くておっちょこちょいだけど優しくて悪気がないっていうのが説明しなくてもにじみ出てくる。
説教ばかりの大家さんも三太夫もお殿様もみんな優しくて魅力的。

やっぱりはん治師匠にもいろんな噺をしてほしいなぁ…。
そんな気持ちでいっぱいになった、素敵な「妾馬」だった。
見られてよかった。