りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

大きな鳥にさらわれないよう

 

大きな鳥にさらわれないよう

大きな鳥にさらわれないよう

 

 ★★★★

何人もの子供を育てる女たち。回転木馬のそばでは係員が静かに佇む。少女たちは日が暮れるまで緑の庭で戯れ、数字を名にもつ者たちがみずうみのほとりで暮らす。遙か遠い未来、人々は小さな集団に分かれ、密やかに暮らしていた。生きながらえるために、ある祈りを胸に秘め―。滅びゆく世界の、かすかな光を求めて―傑作長篇小説!  

 最近こういう小説が多いなぁと思いつつ、読み終わってみればやっぱり川上弘美だなぁ…という読後感。

表題作と「Interview」が好きだな。

人類のことを心配するんだとしたら、その中の自分のことだけ、心配してりゃ、いいじゃない。(中略)それ以上のことなんて、手が回らないし、手が回ると思ってるとしたら、そりゃちっとばかり、えらそうなんじゃない?

 「Interview」で語ってるこの緑の人、すごく好きだけど競争心がなさすぎて絶滅しちゃったって…。そうか。競争心がなくなって欲がなくなってただいるだけになると絶滅しちゃうのか。なんか好きだー。

絶望してるようで仄かな希望もあってそこが好き。