りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

あれも凌鶴、これも凌鶴

7/11(土)、道楽亭で行われた「あれも凌鶴、これも凌鶴」に行ってきた。
久しぶりの凌鶴先生の道楽亭の会。
「こんなさなかに来ていただいて本当にありがとうございます」という凌鶴先生の言葉に心がこもっていてちょっと泣きそうになった。

 

・凌鶴「安宅郷右衛門 道場の賭試合」
・一記「意見の釜割」
・凌鶴「後藤又兵衛大坂入城」
~仲入り~
・一記「探幽の屏風」
・凌鶴「八十三歳の女子高生球児」

 

凌鶴先生「安宅郷右衛門 道場の賭試合」
自粛の間、家にいてテレビの情報番組をずっと見ていたという凌鶴先生。
あとは新聞を隅々まで読んで…あと何故か普段は読まない情報誌も読んでいた、と。
それを新作を作ったり稽古をする時間に充てれば良かったんでしょうけど…でも私のような過ごし方をしていた芸人は多いと思います。
やっぱり我々は披露する場があってこそ、そこに向けて作ったり稽古をしたりするのが日常なので、いつ会ができるかわからない中、作ったり稽古をしたりするのはなかなか難しい…。

 

…わかるような気がする。
先が見えない中で精神がなんか普段とは違う状態になっているから、それを鎮めるためにひたすら情報を追い求めたり逆に情報を遮断したり…普段と違うことをすることで精神の安定をはかるようなところが私にもあった。
私はラジオの深夜放送をradikoのタイムフリーで昼間に流したり、マスクを作ったり、youtubeで昔のラジオやお笑いを見たり…。
普段貪るように読んでいる本が読めなくなって、落語の配信にもそれほど興味をそそられなかったもんなぁ…。

そんなまくらから「道場の賭試合」。
多分こういう時節だから、すかっとする物語を選んでくれたんだろうなぁ。
前にも聞いたことがあるけれど、安宅郷右衛門のキャラクターがいい。
一流の腕前を持っているのにめんどくさがり屋で朝からお酒ばかり飲んでいて門弟にお金をせびる郷右衛門。
酩酊した状態で道場を賭けた試合に挑みあっさり負けて去っていく。
勝った方が意気揚々と道場をきれいに作り直し道具も揃え門弟が百人になったくらいの時にまたふらりと現れて賭け試合を申し込む…。

スカっとして楽しかった!

 

凌鶴先生「後藤又兵衛大坂入城」
初めて聴く話だった。
若いころから頭脳と手腕を買われた又兵衛は、その活躍により主君の黒田の名前を上げたほどだったのだが主君との折り合いが悪く、ある時黒田家を出奔し浪人する。
細川家を始め、そうそうたる大名が「ぜひうちに来てくれ」と頼んでくるのだが…。

組織や権力に屈することなく自由に振舞う又兵衛に、少し元気をもらえた。
歴史に疎いので全然知識がないのだが、小説などがあったら読んでみたいと思える人物像だった。

 

凌鶴先生「八十三歳の女子高生球児」
あれ、これも聞いたことがあるはずなんだけど、自分のブログを検索しても出てこなかった。んん?書き忘れたか??

戦争や貧しさからまともに学校に通えなかったチエさんがある時バスの中で聞いた会話(中学を卒業できなかった人は定時制の中学に入ることができる)に「英語を勉強したい」という夢をかなえるために、76歳で定時制の中学に入学。
もっと勉強したくて高校に進み、そこで夜間高校の野球部に誘われて入部。
生徒や先生と心を通わせて、野球部の試合にも出た、という話。

前向きで人が良くて頼まれると嫌と言えないチエさん。
チエさんも生徒たちに励まされ、頑張り屋の彼女の姿に生徒たちも元気をもらっていることが分かる。

侍や剣術の先生じゃなくても…普通の人たちの中にも凄い人はたくさんいるしお互いに力を得たり与えたりすることができる。
元気が出る3席を聞かせてもらって私も元気が出た!楽しかった。