りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ギター・ブギー・シャッフル

 

★★★★

朝鮮戦争の傷跡が色濃く残る1960年代初頭のソウル。戦争で孤児となった主人公キム・ヒョンの心の友は、米軍のラジオ局から流れてくる最新のポップスだった。どん底の生活を続けていたヒョンは偶然の積み重ねで、憧れの龍山米軍基地内のクラブステージにギタリストとして立つことに―。新世代の実力派作家がK‐POPのルーツである60年代音楽シーンの熱気と混沌を鮮やかに描く。

朝鮮戦争で孤児になった主人公・キム・ヒョンが偶然昔の工場仲間と再会したことから、米軍基地内のクラブステージに立つようになる。

夢を追いかけ小さな成功を手にし恋をして、そしてそれらを失って…。

舞台は韓国なのに既視感があるのは、米軍基地を舞台にしているからなのだろうか。「ベルリンは晴れているか」や「オウリィと呼ばれたころ」と同じような空気を感じる。

彼自身は音楽の才能に恵まれていたわけではなかったのかもしれないけれど、地獄のような暮らしから抜け出して自立できたこと、友情に恵まれたこと、憧れの仕事ができたことの喜びが彼のその後の人生を輝かせていることが伝わってくる。

よかった。