講談協会夜席
・琴鶴「村越茂助 誉れの使者」
・琴調「大岡政談 五貫裁き 」
~仲入り ~
・春陽「天保水滸伝 潮来の遊び 」
・凌鶴「浜野矩随 」
琴鶴先生「村越茂助 誉れの使者」
初めて聴く話。
秀吉に鎌倉の八幡宮に一万石を寄進するように言われた家康。 そんな大金は用意できないと十分の一の一千石だけ寄進したのだが 、それを聞いて怒った秀吉が大阪に申し開きに来いと言う。
家康は家臣を集めて、 誰か大阪に申し開きに行ってくれる者はおらぬかと聞くのだが誰も 行きたがらず重役連中もなんやかんやと言い訳をして行こうとしな い。
初めて聴く話。
秀吉に鎌倉の八幡宮に一万石を寄進するように言われた家康。
家康は家臣を集めて、
そんな中「私に行かせてください」と願い出たのが村越茂助。 粗忽ものとして評判の 茂助にそんな大役が果たせるわけがないと誰もが思ったのだが、 家康は茂助のような者が行ったほうが良いかもしれないと考え、 彼に使者を申し付ける。
家康が茂助に口上を教えようとすると、 自分は粗忽なので今聞いても忘れてしまう。当日の朝、 出立する前に教えてくれと言って引き下がる。
大阪出立の当日、 茂助は口上のことをすっかり忘れ、 何も聞かぬまま出かけてしまう。
秀吉の前に行き「 なぜ一千石しか寄進しなかったかその理由を申せ」 と言われた茂助は…。
話自体も面白いし、 琴鶴先生のメリハリのある語りがとても楽しくて夢中になって聞い た。
粗忽だけど肝が据わっている茂助がチャーミングに描かれていて、 面白かった。
こういうお裁きの真の狙いが分かるのは、 八五郎じゃなくて大家さんなんだな。だから大家さんは味方につけておかないといけない。
落語と違うのは若旦那は大旦那の代わりに寄合に行けと大旦那に言 われ、 また寄合の後に若旦那連中で吉原に遊びに行くだろうからそれに付 き合ってこい、と真正面から言われる。
行きたくないと言う若旦那に大旦那は「行かなかったら勘当だ!」 というので、若旦那は渋々寄合へ。
そして遊び人たちが吉原に行く相談をしていると自分も行きます… と自ら進み出る。
4人(いずれもみせの若旦那連中)で店に行き、 若旦那一人がもてて翌朝はすっかりめろめろになっている。
ユーモアたっぷりで面白かった!笑った笑った。
凌鶴先生「浜野矩随」
講談でも「浜野矩随 」あるんだ!講談で聴くのは初めて。
講談でも「浜野矩随 」あるんだ!講談で聴くのは初めて。
先代の 矩随 が大酒飲みでそれをおかみさんにとがめられるところから。
また、息子松太郎(だったか) も修行の身の上なのだが下手くそで物にならないのをおかみさんが 心配して「あなたがもっと(息子に) 厳しく指導してくださらないから」と言うと、父親は「 あいつも名人になる素質はある」と言う。 ただまだ機が熟していないのだ、と。
これから自分は酒を辞めて仕事に励みお金も残し息子にもみっちり 指導するから…と言っていたのだが、 父親は翌年肺炎で死んでしまう。
息子は二代目 矩随となるが、 父親はお金も残すことができず息子に指導もしきれないまま死んで しまったため、 父親を贔屓にしていた店がどんどん離れて行ってしまう。
そんな中 矩随の作品を黙って買ってくれているのが若狭屋。
矩随が 毎回下手くそな作品を「今回はうまくできたのでは」 と思いながら持って行き、 若狭屋の主人がそれを手に取って彼を傷つけないように気を付けな がら「これは…〇〇かな?」と言うと、 そうではなかったりそうだったり…のやりとりが気の弱い 矩随 と優しい若狭屋の主の人物が浮かび上がってきて好きだ。
しかしそれほどまでに優しい若狭屋の主もついに 矩随 を見限る発言をしてしまう。
傷心で帰った 矩随 は叔母さんのところに行ってお金を借りて上方へ修行に行くと言う のだが、母親は 矩随 の嘘を見抜き、形見に観音像を彫ってくれ、という…。
淡々とした静かな語りが凌鶴先生らしくて好きだった。
久しぶりに行った講談の寄席、結構お客さんが入っていたし、 バラエティに富んでいて楽しかった。