りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助・燕弥二人會

6/29(月)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助・燕弥二人會」に行ってきた。
入り口で消毒、検温。席はソーシャルディスタンス。マスク着用。

 
・さん助「熊の皮」
・燕弥「三方一両損
~仲入り~
・燕弥「辰巳の辻占」
・さん助「化け物使い」
 
さん助師匠「熊の皮」
まくらなしで「熊の皮」。
わーーーい。さん助師匠の「熊の皮」見たかった!とことんバカバカしい噺が聴きたかった!ありがとうありがとう。
旦那使いが荒いおかみさん、時々鬼嫁に見えてしまうことがあるけど、今日のおかみさんはいい感じ。
「全部売れたから早く帰って来た」という甚兵衛さんに「あんたはいい品物を安く仕入れて売ってるから」と褒めたり、先生からもらった赤飯も「お前さんが一人で食べなよ」と…この緊張と緩和(笑)。これがいいんだな。
水を汲んで来い、お米を洗って、お米炊いて、洗濯をしたり…おかみさんに言われて一度は抵抗するものの、「わかった」ってやり始めるタイミングが絶妙でおかしい。
お赤飯があると言われて「一緒に食べよう」とおかみさんに言う甚兵衛さんもいいな。この夫婦の仲の良さが伝わってくる。
そしてお医者の先生も相変わらずいい味だしてる。
常識という概念を覆されたり、正直すぎる甚兵衛さんに「いいねぇ~」と言う先生。
自分が診てお嬢さんの病気が治ったと言った先生に「珍しいですね」と言う甚兵衛さんがちょっと嫌いになる先生。
最初から最後まで楽しくて大爆笑だった。
 
燕弥師匠「三方一両損
さん助師匠は近況報告的なことを一言も言いませんでしたね、と燕弥師匠。
「ひとことぐらいなんか言えばいいのにね。ああでもそうだ。ああいう人だった」。
それから自粛中はおとなしく家にいたという話。
「もともと噺家はステイホームには慣れてるんです。仕事がなけりゃ家にいますから」。
そしてこの会も入り口で消毒したり客がマスクをしたり席も離して設置して休憩の時にはドアを開けて換気。
「でもあれです。この会はそもそも…ソーシャルディスタンスの会なので。お客さんもいつもこれぐらい…。なんならいつもは来てないお客さんも何名か今日はいらっしゃるぐらいで…。みんなどんだけ落語に飢えてたんだよ!」に大笑い。
 
そんなまくらから「 三方一両損」。
リズムがよくてスピード感があって何より燕弥師匠自身が楽しそうで気持ちよさそうでニコニコしてしまう。
 噺家さんの気持ちがお客さんに届いて一緒に楽しくなって笑いが生まれてそれがまた高座に届いて波状攻撃で空気がぐわっと熱くなる。
ああっ。やっぱり落語は生に限るなぁ。  
普段はそんなに好きじゃないこの噺、スカっとカラっとすごく楽しかった。
 
燕弥師匠「辰巳の辻占」
これもまたテンポが良くて楽しい 。
特に 燕弥師匠のおたまちゃんがいいんだなぁ。 色っぽくてけろっとしていていい女で。こういう悪女、ほんとに似合う。
楽しかった。
 
さん助師匠「化け物使い」
 奉公人の権助が旦那様に暇を願い出るところから。
旦那様の人使いが荒さにとことん参って以前から暇をもらいたいと思っていたけど今自分が辞めたら旦那様が困るだろうと思って遠慮していた。でも最近この近くにいい物件が出て、それがなんでも願うことを勝手にやってくれる家。
そろそろご飯が食べたいなぁーと思ったら勝手にお米が研がれて窯にかけられてご飯を炊いてくれる。
おかずはどうすべーと思うと勝手に古漬けが刻まれて目の前に出てくる。
荒い物すべーと思ってると勝手に茶碗が洗われる。
眠くなってきたなーと思うと勝手に布団がさーっと敷かれる。
「それはいったいどういうことだ?」と旦那が聞くと「まぁあれだ。いるだね。なにかが。で、思うままにやってくれるだ」
「そんな都合のいい話があるのか?」
「大丈夫だよー。旦那様のその人使いの荒さだったら、化け物だってやってくれるだ」
 
旦那がその家に行ってみると立派な家で値段も破格。で、ここに引っ越してくることになる。
引っ越しを手伝う権助
人当たりは良さそうなんだけど、「ご苦労様」と言いながら「じゃお前、今から乾物屋に行って味噌を買ってきてくれ」と旦那。
権助が帰ってくると「初日だから甘いものが食いたいな。乾物屋に行ってきてくれ」。
また権助に「じゃ乾物屋に行って…」。
「どんだけ乾物屋に行かすだよ!」に笑う。
 
権助が帰った後、背中がぞくぞくっとして何かと思っていると、現れたのが一つ目小僧。
しかし臆することなくあれこれ用事を言いつける旦那。
それから次から次へと出てくる化け物にもああだこうだと言いつける。
 
最初のところは初めて聴く展開だったけど、後半はよく聴く通常の展開。
ぞくぞくっとするのが3回続くと旦那が「いいねぇ~このぞくぞくっが好きになって来たよ」。
次々化け物が出てきて次々用事をやってもらうところ、途中でなんかごちゃっとなったりもしたんだけど、それを上回るおかしさがあって最高だった。
化け物が結構本気で気持ち悪い系で脅しにかかっているのに、 旦那が全く動じず彼らを歓迎してお世辞を言うのがすごくおかしいし、その後に容赦なく用事を言いつける…それも無駄の多い分かりづらい頼み方、というのもおかしい。
抱腹絶倒の面白さで笑った笑った。楽しかったー。