さん助燕弥ふたり會
12/21(土)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助燕弥ふたり會」に行ってきた。
・市坊「寄合酒」
・燕弥「猫の皿」
・さん助「うどんや」
~仲入り~
・さん助「煙草好き」
・燕弥「火事息子」
燕弥師匠「猫の皿」
最近引っ越しをしたという燕弥師匠。
わりとよく引っ越しをする方で自分は引っ越しには慣れているという自負があったんだけど、今の家には10年いてその間に子どもも生まれて荷物も増えて、思っていた以上に大変だった。
噺家っていうのはそもそも荷物が多い。
着物、稽古をつけてもらったときの録音(テープ、MDなど)、資料類、手ぬぐい。
稽古のテープなんかはどうしても捨てられない。だって自分一人のためだけにやってくださってるって思うともう、ね…。
テープからMDに変わったとき、巻き戻すことができないもんだから、喜多八師匠に稽古をつけてもらった時に「え?テープじゃねぇから巻き戻せねぇ?じゃ最初からやらなきゃだめじゃねぇか。あーあ…」って…その声もしっかり録音されてるんですよ。もう…お宝じゃないですか?嬉しくて。「だれる喜多八師匠」って題名付けて大事に保存。
あと、人から見たらガラクタでしかないけど自分にとったらお宝っていうものが結構たくさんあって。
例えば旅の仕事で東北に行った時に師匠たちとわんこそばに行って、100杯以上食べるとお店から鈴の付いた札をもらえて、それ自体は別にどうでもいいんですけど、そこに雲助師匠が「さん太さん。がんばりました」って書いてくださってて…。またその字がかわいいんだ!たまらないっしょ!
…ああ、もうなんて素敵な話なんだ。
燕弥師匠ってまくらでこういう話を聞かせてくれるからほんとにたまらない。
落語ファンの心もいまだに持っていて、しかもさん助師匠のように話下手じゃない(笑)!
そんなまくらから「猫の皿」。
燕弥師匠の「猫の皿」は、店の主人がかなりの確信犯。かなりのハイテンションなのでさん助師匠が乗り移ったか?と心配に…んなわけない(笑)。
さん助師匠「うどん屋」
さん助師匠の酔っ払いは絡み方が他の人と違う。同じ話がぐるぐる回るところは同じなんだけど、酔っ払いが長唄の歌詞にいちいち文句をつける。「おらぁこれおかしいと思うんだ!」。
ああ、めんどくさい酔っ払い…いるいるこういうやつ。
そしてうどんを勧められて食べる。唐辛子をぜーんぶ入れて。
へんてこな「うどん屋」だったけど、なんか面白かった。
さん助師匠「煙草好き」
この間、駒込で聴いた「煙草好き」と少しずつ変わっていた。
面白かったのはまくらで歌舞伎の「娘道成寺」の説明をしたこと。
煙草好きがタバコ好きを追いかけて寺に走り逃げるところで、まくらの「娘道成寺」が浮かんできて、そのギャップとばかばかしさに笑ったー。
こういうところに、さん助師匠のセンスを感じるなぁ。おもしろーーい。
燕弥師匠「火事息子」
ネタ出しされた時から絶対にいいだろうと思っていたけど、ほんとによかった、燕弥師匠の「火事息子」。
屋根の上で番頭に声をかけるところ。勘当した父親と対面するところ。
ちょっと目を伏せただけでものすごいかっこよくてきれいでぞくぞくっ。
多く語らなくても申し訳なさとそれでも火消しになりたかった気持ちが伝わってくる。
やっぱり燕弥師匠には「いい男」が似合うなぁ。すごく素敵な「火事息子」だった。