りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

末廣亭6月中席夜の部

6/19(金)、末廣亭6月中席夜の部に行ってきた。

 

・遊吉「青菜」
・小すみ 俗曲
・幸丸 漫談
・松鯉「天野屋利兵衛 雪江茶入れ」
~仲入り~
・藍馬「街角のあの娘」
・カントリーズ 漫才
雀々「ん廻し」
・米福「置き泥」
・喜楽・喜乃 太神楽
・圓馬「試し酒」

 

遊吉師匠「青菜」
いつもの小噺に新しい小噺が追加されていて大笑いしてしまった。おかしい。
そしてびっくりの「青菜」。
口調の滑らかさ&速さでいったらこの師匠が今最高峰なんじゃないかと思う。
流れるようなスピードなんだけどとても聞き取りやすい。
そのスピードに乗って気持ちのいい軽快な「青菜」。
スピーディであっさりしているんだけど「いわしが冷めちゃうよ」のおかみさんが「お前さんほどいつもびっくりしてるやつはいないよ。このびっくりやろう」とスピードに乗ってしっかり毒づくのがおかしい。
くどくなくてとっても楽しい「青菜」だった。

 

小すみさん 俗曲
超絶うまい三味線とお腹の底から出す気持ちのいい歌声。もうこれだけで鬱々とした気分を吹き飛ばしてくれる。
お客さんの中にお子さんがいたことに気づいて「月の砂漠」。これがもう…。途中ジャズのフレーズが入ったりオペラのように歌ったり、ああ、音楽っていいなぁ…頭の中に砂漠が広がってほんとに素敵だった。

 

幸丸師匠 漫談
コロナでずっと家にいて奥さんとしか会話をしていなかったことや電車に乗るのも久しぶり過ぎて「最近電車はどうなってますかね」とずっと通勤している人に電話して聞いた話など。
そこから胃腸炎を起こしてえらい目に遭った時の話。もうこれが抱腹絶倒。笑った笑った。最高。


松鯉先生「天野屋利兵衛 雪江茶入れ」
赤穂浪士は冬の話だけではない、と「天野屋利兵衛 雪江茶入れ」。
お殿様に気に入られていた商人・ 天野屋利兵衛が家宝の雪江茶入れを殿から直々に見せてもらう。
その日、その茶入れが紛失し、重役二人は責任を取って切腹をするしかないと相談を受けた大石内蔵助。天野屋利兵衛を訪ねて事情を話すと「実は私が盗んだ」という。
それなら茶入れを返してくれと内蔵助が言うと、転んで割ってしまったからここにはない、という。
それを聞いた内蔵助が殿の元へ参りそのことを話すと「利兵衛がそんなことをするわけがない」という。なぜなら茶入れは自分が飾っておこうと思って取り出したのだから、と。
慌てて利兵衛のもとへ戻った内蔵助が「なぜそのような嘘を申した?」と尋ねると利兵衛は「自分の元へ内蔵助様が訪ねてきたということは自分を疑っているということ。信用を失ったらもう死んだも同然。このままでは重役二人が切腹することになるのであれば、自分が罪をかぶればよいと思った」と答える。
それを聞いた殿は深く感動し、また内蔵助も利兵衛と深い親交を持つようになった。

 

…初めて聞く物語に引き込まれ、利兵衛の真意が分かった時には思わず涙がポロリ…。
武士の話は私の好みではないのだが、松鯉先生の静かで迫力のある語りに素直に感動してしまった。よかったー。

 

雀々師匠「ん廻し」
寄席の主任に連れて行ってもらったビールのぬるい乾き物しか食べられない酷い居酒屋のまくらから「ん廻し」。
前にも聞いたことがあったんだけど、とにかく面白い。「ん廻し」がこんなに面白いっていったい。笑った。

 

米福師匠「置き泥」
ああ、芸協の落語だなぁ…という感じがする「置き泥」。
お人好しで言われるがままに財布からどんどん金を出してしまう泥棒に心温まる。好き。

 

圓馬師匠「試し酒」
東京アラート、レインボーをやっちゃったらその上はないんじゃないか。いったい何色にするつもりなのか…のまくらに大爆笑。
酒のまくらから「試し酒」。

飾り気のない久蔵が登場からして豪快で、でも自分が飲めないと主人に迷惑がかかると聞くと急に心配しだす律義さもあって、なんともチャーミング。
酒を飲むほどにご機嫌になっていく様子もリアルだし、なによりもお酒の飲み方が豪快できれい。見ていて何度もごくり…。の、飲みたい。
分かっていても最後まで飲み干したところでは拍手をしたくなるし、サゲがいいなぁ。この人の豪気さと小心さが出ていて、好きだなぁと思う。

久しぶりに見た圓馬師匠。伸び伸びと大らかな圓馬師匠らしい落語に心洗われた。よかった。