八月の六日間
★★★★★
雑誌の副編集長をしている「わたし」。柄に合わない上司と部下の調整役、パートナーや友人との別れ…日々の出来事に心を擦り減らしていた時、山の魅力に出会った。四季折々の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会。一人で黙々と足を動かす時間。山登りは、わたしの心を開いてくれる。そんなある日、わたしは思いがけない知らせを耳にして…。日常の困難と向き合う勇気をくれる、山と「わたし」の特別な数日間。
副編集長のアラフォー女子が主人公。
一人山登りが趣味の彼女は少し長い休みが取れると山に登る。着替え、食料、登山グッズの他に空いた時間に読む本をリュックに詰める。この描写が山に登らない自分でも読んでいてとても楽しい。特に持って行く本を選ぶくだりはワクワク。
「わたし」はストレスフルな日常から離れて一人山に登り、すれ違う誰かに助けられたり、広大な自然に触れて心洗われたり、時にはヒヤッとする体験もする。
大自然の中、私が消えてなくなっても山はあり川は流れ草木は生えることを実感する。
自然の中で、自分の存在のちっぽけさを実感することは案外心強いことなのかもしれないなぁとしみじみ思った。
この時期に読めてよかった。楽しかった。