りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

勧之助の会

6/10(水)

らくごカフェで行われた「勧之助の会」に行ってきた。

・勧之助 トーク  
・勧之助「短命」
~仲入り~
・勧之助「寝床」
 
勧之助師匠  トーク&「短命」
自粛要請期間の間ずっと家にいたという勧之助師匠。
何人かの方たちからネット配信のお誘いもあったけどやらなかった、と。
自分はやっぱり落語はお客さんの前でやるもの、そこで笑いが生まれると思っているので、「お客さんの前で生で落語をやること」にこだわってしまった。
もちろん気になったから他の噺家の動画や配信もいくつかチェックはしていた。
自分が見ていて一番面白かったのはふう丈のアサダ三世。あいつはこの期間で一番売れた噺家なんじゃないだろうか。ほんとに面白くて何度か吹き出した。
あとお勧めなのがときん兄さんの動画。これは見てほしい。私が何か言うとお客さんの先入観になってしまうから何も言いません。とにかく見てほしい。
それにしても若手の噺家twitterとかで「落語しゃべりてぇ!」ってつぶやいてるのを目にしましたけど、ほんとに?3か月でそんなにしゃべりたくなる?私は…もしかして何かが欠けているんですかね…。
この期間、稽古にも行けないしね…家の中とか散歩で歩きながらとか一応喋ってはいましたけどね…でも小さい声でぼそぼそ言ってるだけで…ほんとにこうして大きな声出して喋るの3か月ぶりですよ。
 
それから師匠から電話がかかってきて30分話した話や、どんな日々を送っていたかとか、そんな話をあれこれと1時間近く。
毒舌を交えながらいろんな話をしてくれたんだけど、時々噺家としての矜持がちらりと見える。
例えばこういう無収入の時期について泣き言を言わないで面白がるとか、自分からいろんな人にあえて連絡をとらないとか…。
自分は噺家になろうと思って東京に出てきたとき、パンツ3枚ぐらいと5万円ぐらいしか持ってなかったので、あれを思えばなんてことない、と言っていたのが印象的だった。
 
「今日はネタおろしをするって言ってますけど、寄席でもよくかかる噺でたいして面白くないですけど、まぁ気楽に聴いてもらえたら…ってなんか全然噺に入らねぇじゃねぇかって思ってるでしょ。…そうなんですよ。まぁこういう…噺家が右往左往する姿を見るのもいいでしょ…」
全然顔にも態度にも出てなかったけど、噺に入りづらかった?(笑)
そんな長いトークから「短命」。
ネタ卸しもブランクも感じさせない。
察しの悪いはっつぁんと察してほしいご隠居のやりとり。
確かに大爆笑の噺じゃないけど、ぷぷっとおかしい。なによりも、これぐらいのくだらないことでご隠居に聞きに行くこの二人の関係性が…人と会うことを禁じられてきた日々の後に沁みるぜ…。
楽しかった~。
 
勧之助師匠「寝床」
まさかトークと一席目があんなに長くなるとは思わなかった、と 勧之助師匠 。
今日会場入りした時に係りの方に「今日は短めにします。江戸前で!」って言ってたのに、トークだけで1時間って…。楽しかったんです。に大笑い。
二席目は好きな噺を大きな声でやります、と「寝床」。
 
繁蔵のちょいちょい漏れ出る本音がおかしいし、声ならしで十分その破壊力が伺われる大旦那の義太夫がおかしい。
「じゃ誰も来ないのかい?」と大旦那に言われた繁蔵が「ええ、ですから今日の義太夫の会は中止に…(にやり)」もおかしい。
好きだと言うだけあって最初から最後までとっても楽しい「寝床」
ああ、やっぱり生はいいなぁ、ってあの場にいたお客さんは全員思ったと思うなぁ。(マスクしてるから表情はわからないのがちょっと寂しいね)