暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて: ル=グウィンのエッセイ
★★★★★
ル=グウィン生前最後のエッセイ集。ファンタジーの法則、ユートピアとディストピア、ホメロス論から、内なる子ども、植物の感受性、罵り言葉、愛猫パード、朝食の半熟卵まで。“ゲド戦記”など数多の傑作を遺した巨匠の繊細かつ大胆で機知に富んだ思考。2018年ヒューゴー賞(関連書籍部門)受賞。
いろんなことに心乱されて不安でいっぱいの私に「落ち着いて自分の頭で考えなさい」と諭してくれるようで、今読むのに相応しい本だった。
彼女がこのパンデミックや政治や分断していく国民について何を語るのか聞いてみたかった…。
はっとしたのが「嘘がすべてを駄目にする」。
かつては大統領が国民にお願いをした時代があったのだと驚きを持って語る彼女に、日本の今の政治家は臆面もなく自粛を要請し同調圧力に期待し「日本人は民意が高い」と真顔で言うのだが、それは信頼ではなくまやかしにしか見えない。こんな世界で私たちはどう生きて行けばいいのか。彼女ならどう言っただろう。