りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ジョイ・ラック・クラブ

 

 ★★★★★

1949年、サンフランシスコ。過去の影に引かれるように4人の中国人女性が集まり、マージャンの卓をかこみ、点心を食べ、昔話をする会を開く。彼女らはその集まりを“ジョイ・ラック・クラブ”と名づけた。それからほぼ40年が経って、メンバーの一人が亡くなった。その娘があとを引き継ぎ、母親の長年の希いと悲劇的な秘密を初めて知らされる。それをきっかけに、“ジョイ・ラック・クラブ”の女たちは各々の過去をたどり、記憶にとどめ、物語りたい衝動にかられていく。

18年ぶりに再読。

さまざまな事情で中国を脱出しアメリカに渡った女4人。結婚し娘を持つがアメリカで生まれ育った娘たちと母たちはお互いに分かり合うことができない。

母の期待に応えられない自分と過剰な期待をかけてくる母へ反発する娘たちの物語は今の自分とも地続きでリアルに感じられるが、一方で母たちの物語は信じられないほど過酷だ。

時代や国の違いから理解できなかった母親を、死後にようやく理解する…。
親子だからこそ分かってくれないことへの恨みや苛立ちが募るのだが、親子だからこそ許し合うことができる。
親から子へ、引き継がれていくもの、いかないもの。お互いに全てを受け止め合うことはできなくても守られている、思いをつないでくれる、そんなかすかな希望を感じることができた。

当時も読み終わって「大好きだ」と思ったのだが、今回もやっぱり大好きだと思った。