末廣亭正月二之席夜の部
桃月庵白酒独演会 本多劇場編
1/10(火)「桃月庵白酒独演会 本多劇場編」に行ってきた。
今年は白酒師匠の会にもっと行くどーと言ったとたんに独演会に行ってしまう私。
チケットサイト(オークションじゃない)をまめにチェックしていたらこの会のチケットを見つけたので行けてしまったのだ。ひゃっほい。
・はまぐり「手紙無筆」
・白酒「明烏」
~仲入り~
・白酒「新版三十石」
・白酒「芝浜」
白酒師匠「明烏」
本多劇場で落語ができるのはとても名誉だし、
普通じゃ借りられませんから。それなりの収入、社会的地位、
昇太兄貴からも言われたことありますよ。本多劇場はやりやすい、
この頃は、
この間は私はZEPP東京でやりましたね。ひろーい会場ですよ。
あと今度あるのが六本木での落語会。「ギロッポン寄席」って…
…最初からガンガン毒を吐く白酒師匠。
すらすらすらすら言葉が出てくるからおかしくておかしくて。
あと、正月の鈴本の楽屋で春日部をディスった話などから、「
原宿なんかぼったくりの服屋がありますから、と。
絵具こぼしたようなTシャツが5000円。
もちろん買いましたけどね。
それを着て大学行ったら、だめですね、落研の連中なんて。「
…こういうオシャレがわからないんだから。
白酒師匠と原宿って…全然想像つかないうえに、
なんかもうすごくおかしいんですけど。
そんなまくらから「明烏」。
基本的には普通の「明烏」なのだった。
でも時次郎が散歩に行って近所の子どもと太鼓を叩いて遊んだあと
茶屋のおばさんが無駄に(!)
「お巫女頭」と呼ばれたおばさんにまわりから「頭コール」
さんざん嫌がっていた時次郎が一晩明けて大人になって、
白酒師匠「新版三十石」
お正月の寄席はいつも以上にその寄席の色合いがくっきり。
自分は鈴本、浅草、東洋館と出ていたんだけど、
鈴本は前売りなので「鑑賞しよう」という落ち着いたお客さん。「
そういう時はわざとたっぷりやって「小三治は来ませんよ」
この雰囲気に〇〇師匠なんかはみるみるやさぐれていくんだけど、
浅草はもういつも以上に浅草!
東洋館は浅草に入れなかったお客さんが仕方なく入って来てる。
私もこの間、東洋館と鈴本のハシゴをしたから、
そんなまくらから「新版三十石」。
浪曲師が携帯に出るところ、マナーモードなんだよね(笑)。
白酒師匠「芝浜」
ネタ出しされていたこの噺。
おかみさんが旦那を起こす起こし方が激しくて最初から大笑い。
旦那が河岸に行きたくなくてグズグズいうんだけど、
旦那が出かけるとそのまま寝てしまうおかみさん。
財布を拾うシーンはなくて亭主が戸をどんどん叩く音で目が覚める
「お前、起こすのが早かったよ」と言われると「え?そうなの?
「謝らないのかよ」
「なんで謝らなきゃいけないのよ。
「お前は…謝らないなぁ…」
なんかすごくちゃんと「夫婦」なんだよな。フツウの「芝浜」よりずっと夫婦感が出てる。
お酒飲んでどんちゃん騒ぎして次の朝、
「仕事に行っておくれよ」。
財布を拾ったという旦那に「夢だよ」と言い張るおかみさん。
「ええ?だってあんなにはっきりした…そんな夢って」
「そういう夢、見ることもあるだろ?」
「うん。あるんだよな…」
説得されてしまう旦那がなんともいえずかわいい。
そして酒をやめて三か月働けば借金は返せる、
それから三年たった大晦日。
「三年前の晦日は大変だったな。
「働けばいいんだな。働く方が楽だな。」
おかみさんが財布を出して事情を話すと「そうだろ?
「
おかみさんが謝ると「謝ることないよ。かかあ大明神だよ。
うううう。
ものすごく軽くて明るくてばかばかしいのに、
今まで聞いた「芝浜」でピカイチに好きだった。これだから白酒師匠はもう!
小んぶにだっこ
1/9(月)、小んぶにだっこに行って来た。
前々回が小んぶさん急病のため中止、前回他の落語と当たっていた
はりきりすぎてえらい早い時間に上野広小路に着いてしまい、一時
最近ほんとによく時間を間違えるし見積もりを間違える…。年のせ
・小んぶ「寝床」
~仲入り~
・小んぶ「実録桃太郎(?)」
・小んぶ「禁酒番屋」
小んぶさん「寝床」
ほとんどの方とはあけましておめでとうございますですね、と小ん
お正月といえば我々の世界ではお年玉ですね。
前座の頃はうれしかったですよ。いただく方でしたから。
特にテレビに出てるような師匠はね…私も前座の時に国立でしたか
次の日になったらまた小遊三師匠が私を呼びつけて「お年玉だよ」
「あ、師匠、私は昨日いただきました」というと「いいんだよ。そ
すごく優しい師匠なんですね…。
それで次の日は自分から訪ねていきましてね。「またお
で、あの頃は、自分も先輩になったらあんな風にあげたいな、と思
そんな気持ちもニツ目5年目ぐらいまででしたね。
これ、いつまで続くのか、と。いくらの赤字なんだ、と。
そういう計算しだしたらダメですね。
ええと…。もうやめましょう、この話は。
ぶわははは。
ちょっと話しかけて、やっぱりこんな話はやめよう!と逡巡する小
そんなまくらから「寝床」。
そういえば私が初めて小んぶさんを見た時、「寝床」だったんだ。
あの時と比べるとだいぶ進化?していて、爆笑の「寝床」だった。
とにかく旦那が「うぉっほん」と咳ばらいをしたり「あ、あーー。
そして「今日の私は絶好調だ」のつぶやき。
最初の旦那のご機嫌ぶりとテンションの高さが、繁蔵から話を聞く
そういう意味では最初飛ばしすぎになっちゃってたのかもし
お豆腐屋さんが来られない言い訳に、銀杏の薄皮を剥くむずかしさ
あれはどうやっても剥くのが難しい。そしてくさい。
でもずっと剥き続けているとそのうち臭さが気にならなくなってき
で、手を洗って、ふと手を匂って「くさい」と気づく時には2周ぐ
いかにも小んぶさんらしい変な理屈で笑った笑った。
言い訳をし続けているうちに繁蔵も投げやりになってきて「よしど
それを聞いた旦那も「ああ、そうか」。
スルーかよっ!(笑)
気を悪くして部屋にこもった旦那のところへ番頭がやってきたとき
何度も旦那を説得しようとしてあきらめかける番頭に旦那が「お前
そして「やりませんよ」と言ったあとに、ほらここだよと言わんば
集められた人たちが「ああ、今年もここまでか」「逃げ切れなかっ
おとうさんが息子に実録桃太郎を聞かせてやるという話。
おじいさんは山に芝刈りには行かず暇つぶしに出かけ、
その子を「コインロッカー太郎」と名付けて育てる。
コインロッカー太郎が大きくなって鬼退治に出かけようとする…
きびだんごじゃなくコンビニのレジに並んでいてつい買ってしまっ
黒門亭 2860回
1/7(土)、黒門亭2860回第二部に行ってきた。
時松さん、きく麿師匠、小満ん師匠を目当てに行ったんだけど、初めて生で見た右女助師匠もとても好みで、ものすごいお得感!寒空の下、長時間並んだ甲斐があったなぁ。
・市若「元犬」
・時松「河豚鍋」
・右女助「真田小僧」
~仲入り~
・きく麿「歯ンデレラ」
・小満ん「御慶」
時松さん「河豚鍋」
時々うっかりネットで検索してお客さんの書いてるブログを読んでしまうことがある。
というのは私たちの仕事って半年ぐらい前に「この日空いてる?」と電話がかかってきて「空いてます」と言うと「じゃよろしくね~」と言われ、そのまま何の連絡もないまま何か月も過ぎることがある。
主催者側はおそらく演者のスケジュールを抑えたら安心してしまうのだろう。
でもそういう場合でもたいていお客様に向けてはチラシを作ったりサイトに情報を載せてたりするので、自分は何時ぐらいにあがるんだろう?どういう内容の会なんだろう?とネットで検索するのである。
すると個人でやってるブログで自分の高座をかなり辛辣に批判してる記事に当たってしまったりして、かなり痛手を受けてしまう。
ひぃ~。そそそうですよね。このネット社会。ご本人が私のようなド素人が好き勝手にパーパー書いてる記事を目にしてしまうこともあるんですよね。
自分としてはこんな極北ブログ誰も見てないさ~と思っているから好き勝手に書いてるわけで、批評のつもりもないしましてや貶めるつもりもないんだけど…き、気を付けよう。
基本的には「好き!」と思ったことだけ書くようにしてるんだけど、時々いらっとすると悪いことを書いてしまうこともあり…。反省。
そんなまくらから「河豚鍋」。お互いに河豚を食べさせようとする攻防がすごく楽しい。お調子者で猫にまでお世辞を言う一八が鍋の中身を執拗に確認しようとするのがおかしい。
そして鍋がほんとにうまそうで…じゅるり…。とても楽しい「河豚鍋」だった。
時松さんの真打披露目、絶対見に行こう。
右女助師匠「真田小僧」
東日本大震災以来、すぐに逃げられるように三階より下に住むようにしていた右女助師匠。でも最近マンションの五階に引っ越しをした。同級生には「三階以下に住むって言ってたくせに」と言われたんだけど、これには訳があって。
自分の部屋のベランダのすぐ近くに電柱があるから、そこから降りることができるだろうと踏んだのである。
とはいえ、電柱の掴まるところって金属でできていて、万が一火事になったりすると持つところが熱いんじゃないかということを懸念。どうしたらいいだろうと考えた末、料理用のミトンがいいんじゃないかと思いついた。それでネットで探して注文。それもオレンジ色のミトン。なぜオレンジにしたかといえば、助けに来てくれた消防士さんの服とお揃いの色だから真っ先に助けてくれるんじゃないかと思って。
同窓会の時にそんな話をしたら「ミトンつけて電信柱は降りれられない」と一蹴された。
で、実はこのまくらは「二番煎じ」をやるつもりで用意してきたらしいんだけど、時松さんに「河豚鍋」をやられてしまったから、できなくなってしまった。
しょうがないから「真田小僧」を通しでやります、と。
右女助師匠を生で見るのは初めてだったんだけど、さらっとした語り口がとっても好み。
父親が金坊の話にどんどん前のめりになってきておかみさんが浮気をしたと思い込んで「チクショー」というのもおかしい。
テンポがよくてリズムというか呼吸というか…それがとても心地よくて聞いていて楽しくなってくる。
真打ちになった時にテレビで見たことがあってその時はちょっとシニカルに感じたんだけど、生で見るとそこも含めてとても楽しかった。
もっと見てみたい。
きく麿師匠「歯ンデレラ」
寿伴さんと花巻の仕事に行って、打ち上げで盛り上がって日帰りはやめて泊まっていくことにした。きく麿師匠は帰りの切符を買ってなかったんだけど、寿伴さんは買っていて、だったらその切符を払い戻してついでに二人分の帰りの切符を買ってきて、と使いに出したのだが、いつまでたっても寿伴さんが戻ってこない。
ようやく戻ってきたと思ったら、花巻駅では帰りの切符が買えなかったので新花巻駅まで行ってきた、と。
タクシーで新花巻まで往復したから金額もかなりかかりその費用も俺が払うんだぞ!とキレそうになったら、寿伴さんがタクシー運転手に「苦しいことから逃げたらだめだ」と励まされ、怒られるのを覚悟で死ぬ気で?帰ってきたと言うものだから、ますます腹が立った、と。
それから老人ホームで仕事をしたときのこと。
反応の薄いおじいさんおばあさんにいつも心が折れそうになるんだけど、そんな時に楽屋まで訪ねて来てくれて「面白かったよ」と言ってくれたおじいちゃん。90歳をこえるというのにとても元気。健康の秘訣を聞くと「歯が丈夫なこと」。歯がダメになると食べられなくなって徐々に弱っていってしまう。自分は歯が丈夫だから何でも食べられる、とがばっと入れ歯をはずして見せてくれた…。
そんなまくらから「歯ンデレラ」。
今から仕事に出るというお嫁さんにあれやこれやと指示をされているお姑さん。
おかあさんの料理は塩辛いから気を付けてくれだの、保育園のお迎えも行けだの、お迎えに行った時祖母だと分かると預けられなくなっちゃうから近所のおばあさんだと言えだの、言いたい放題言われて、ぶうぶう文句。
そんな嫁が出て行くと入れ替わりにやってきたのが近所の友だち。
久しぶりに会った彼女がなんか顔が変わったと思ったら「すごくいい入れ歯に変えた」と。いい歯医者さんだから紹介するわと言われて行ってみると、確かに今まで入れてた入れ歯とは大違いでぴったりきてまったく痛くない。
そんな時、その友だちから合コンに誘われて行ってみると、大金持ちのおじいさんと気があっていい感じに。お互いに盛り上がっていたのだがふと気が付くと夕飯の時間。遅れるとまた嫁にいびられる!と慌てて帰るおばあさん。その時口の中から入れ歯が飛び出して…。
もう最初から最後までおかしくて笑い通し。
嫁と姑の攻防がめちゃくちゃおかしい。「スナックヒヤシンス」もそうだけど、きく麿師匠の女の人たちの悪口って妙にリアルなんだけど相当きついことを言ってもなんか哀愁がちょっと漂っていてそこがたまらなく面白い。よく男の人がやる「あーら奥様」的な嘘くささがないんだ。
あと入れ歯をはずしたあとに口がくちゅっとなるしぐさ…。もうもう!あの顔がたまらない。
小満ん師匠の前の出番で何をやるんだろうねーと友だちと楽しみにしていたんだけど、期待以上の破壊力で楽しかった~。
小満ん師匠「御慶」
小満ん師匠の初夢。散歩していると突然の雨。あわててジャンプ傘を開くと、柄だけ残して傘がぴゅーん!と空高く飛んで行ってしまった。あの傘は…イスラエルにでも飛んで行ったんでしょうか。でも謎の物体がイスラエルに落ちた、というニュースはなかったからおそらく無事だったんでしょう。
くーー。かっこいいっ。なんなのこのかっこよさは。
そんなまくらから「御慶」。小満ん師匠の「御慶」は前に関内ホールの会で聞いたことがあったんだけど、お正月に小満ん師匠の「御慶」を聴ける幸せよ…。
富くじがあたって本当にめでたいお正月を迎えることになった八五郎。おかみさんや大家さんとのやりとりも微笑ましいし、古着屋に行って衣装や刀をそろえるところは見ているこちらもうきうきしてくるし、「ぎょけいっ!」と奇声をあげるのも楽しくて、おめでたさのおすそ分けをしてもらった気分。
落語でしか味わえない世界を満喫。
ほんとに大満足の黒門亭だった。
人生の真実
★★★★★
この子はあたしたちが面倒を見る。よそにはやらないよ――千里眼を持つ女家長マーサの決断により、赤ん坊はヴァイン家の八人の女たちに育てられることになった。フランクと名づけられた男の子は、戦争の残した傷跡から立ち上がろうとする街で、一風変わった一族に囲まれて大きくなってゆく。生と死のさまざまなかたちを見つめる家族の姿を、英国幻想小説界の巨匠が鮮やかに描き上げた、世界幻想文学大賞受賞作。
千里眼の能力を持ちながらただひたすらに家族の幸せを願う肝っ玉母さんマーサを中心に、個性的で主張が激しい7人の娘たちとその配偶者からなるヴァイン家。姉妹の中で一番イカれているとされているキャシーが、生んだ赤ん坊を譲るために待ち合わせ場所にいるところから物語は始まる。
最初に生んだ子供も同じように他人に譲ったキャシーだったが、もう同じ過ちは犯したくないと待ち合わせ場所から家に帰ってくる。
家族は「お前に育てられるわけがない」と喧々諤々なのだが、母親のマーサの「分担して赤ん坊を育てることにしよう」という一言で、この赤ん坊は他人に譲らずに自分たちで育てていくことに決まる。
フランクと名付けられたこの赤ん坊は、マーサと姉妹たちの家を渡り歩きながら成長していく。
世界幻想文学大賞受賞の作品らしいが、SFでも幻想文学でもなく家族の物語に魔法の要素がちりばめられている。
第二次世界大戦の傷跡が残るコヴェントリーの町で、死や破壊の影に脅かされながらも、一家はマーサを中心にかたく結束し、さまざまな出来事を乗り越えていく。
戦争で破壊されたコヴェントリーが復興し生まれ変わるように、さまざまな出来事で傷ついた心や人間関係も家族で団結して修復させていく。
死さえも味方につけて生きる人たち。
年越しで読んだ本がこれで「当たり」な気分。
とてもよかった。
末廣亭初席夜の部
1/5(木)、末廣亭初席夜の部に行ってきた。
・遊馬「牛ほめ」
・茶楽「紙入れ」
・扇鶴 粋曲
・談幸「かつぎや」
・栄馬「茄子娘」
~仲入り~
・寿獅子
・笑遊「魚根問」&百面相
・ニュースペーパー
・南なん「狸札」
・小文治 小噺
・北見伸 マジック
・文治「親子酒」
遊馬師匠「牛ほめ」
遊馬師匠の与太郎さんは声が大きくてにこにこしていてかわいい。
いいなぁと思ったのは、家をほめにおじさんの家に行って「ああ、
教えられた通りに褒めるっていうだけじゃなくて、
大きくて明るい声を生かした牛ほめ、とてもよかった。
あ!牛はほめなかったから「家ほめ」か。
茶楽師匠「紙入れ」
茶楽師匠で「紙入れ」以外のネタを見たことがない。
と思ったんだけど検索してみたらまだ二回しか見たことがなかった
二回だけで「紙入れしかやってない」と言い切るのは失礼だな。
そして茶楽師匠の「紙入れ」は無駄にエロい。
無駄にって言い切るのも失礼か。
扇鶴先生 粋曲
いいわぁ…。
この日のお客さんは反応が薄いというか遅いというか…
もう好きよ、ほんと。愛おしさしかない。
ちらりと横を見て「終わっていいそうです」って言うの、
談幸師匠「かつぎや」
わーい、談幸師匠!
さん助師匠のは縁起の悪いことばかり言ってて、市馬師匠のは縁起のいいことばかり言う「かつぎや」。どう考えても縁起のいい方が本筋だろうとは思っていたんだけど、私の長年の(といってもたいした長年じゃない。2年位)疑問が解消された「かつぎや」だった。
年始の訪問客の読み合わせをしてる時に奉公人が縁起の悪いことばかり言うんだけど、さん助師匠はここで終わりにしていたのか。
「これはいかん」と番頭が舩屋を呼び入れて、その船屋が縁起のいいことばかりを言うんだけど、市馬師匠がやられていた時には読み合わせの場面がなかったから、縁起のいいこと尽くしで終わっていたんだな。
「かつぎや」なんだから、切るなら明らかに前半だろうに、後半を切るところが、いかにもさん助師匠らしい。(ほめてます?)
談幸師匠は流れるように全編通してやってくれて、しかももううきうきと楽しくなるような高座で素敵だった~。絶対的安定感。
栄馬師匠「茄子娘」
この師匠も「茄子娘」以外見たことがないんだけど、
茄子娘が一人で寝起きしてると聞いて「危ないよ。
寿獅子
昨日鈴本で見た獅子に比べると動きがかなりもっさりしている獅子
お年寄りの人が入ってるのかなと思っていたら、小助くんだった。わはははは。
笑遊師匠「魚根問」&百面相
笑遊師匠の「魚根問」、
「するめいか」の隊をなして「進め!いか!」には吹き出したし、
そしてお正月らしく百面相。恵比須様と花咲かじいさん。
ニュースペーパー いつもの政治家のやつ
無理。
南なん師匠「狸札」
わーい!今年初南なん師匠。
まくらなしでショートバージョンの「狸札」。
なんか狸がとってもかわいい!
あと小僧に化けた狸が最初おかみさんに化けようとしたけど「
「札が札をもってきちゃいけねぇ」っていうのなし。
「長短」もそうだけど、
文治師匠「親子酒」
文治師匠らしい遊びがいっぱい入った「親子酒」。
塩辛の食べ方がとってもリアルだったのと、
鈴本演芸場 正月初席第三部
1/4(水)、鈴本演芸場 正月初席第三部に行ってきた。
・紋之助 曲独楽
・さん助「雑俳」
・ホンキートンク 漫才
・琴柳「海賊退治」
・夢葉 マジック
・一朝「初天神」
・雲助「子だけほめ」
・白酒「新版三十石」
・小菊 粋曲
・権太楼「代書屋」
~仲入り~
・太神楽社中 寿獅子
・市馬「かつぎ屋」
・小猫 ものまね
・喬太郎「コロッケそば」
・正楽 紙切り
・三三「元犬」
紋之助先生 曲独楽
ああ、正月だなぁという華やかさとめでたさ。素晴らしい。
さん助師匠「雑排」
ビミョーなまくらとは裏腹に噺に入るとのびやかになるところがい
「ねこのこのぅーー」もおかしいんだけど、普通のところ(「
ほんと頭おかしくて好き。(
琴柳先生「海賊退治」
前に池袋で聞いたことがあったんだけど、後半が聞きたいようー。
一朝師匠「初天神」
おとうさんも子どもっぽいところがあるけどいかにも江戸っ子って
だんごをなめるしぐさも全然下品じゃないんだなー。大好き。
雲助師匠「子だけほめ」
おお、これは前にらくご街道で聞いた子どもだけ褒めるやつだ。
この八っつぁん、とんでもなく口が悪いんだけど、
そしてこれだけよくやられている噺のちょっと違ったバージョンを
白酒師匠「新版三十石」
もう最高におかしくって死ぬほど笑った。
雲助師匠の「新版三十石」も大好きだけど、
なまりのきっつい浪曲だけでもおかしいのに、
やっぱりいいなぁ、白酒師匠の落語は。べらぼうに面白い。
小菊先生 粋曲
かっこいい~。小菊先生を聴いちゃうと、
都々逸でちょっと泣きそうになっちゃった。弱ってるのかな、
太神楽社中 寿獅子
この元気な獅子はもしかして…と思っていたら、仙成くん!
成長著しいったらありゃしない。もうかーさん涙が止まらない。
市馬師匠「かつぎ屋」
必ずこういう時に季節に合った落語をする市馬師匠が大好きだ。
さん助師匠の「かつぎ屋」
東洋館で見た時は気が付かなかったけど、すごい鼻声。
小猫先生 ものまね
構成が素晴らしくてトークも上手だからものまねが引き立つんだな
小猫先生もお正月らしい華やかさとめでたさがあって素敵。
喬太郎師匠「コロッケそば」
ノリノリでキレキレの「コロッケそば」
本当に面白かったんだけど、今その場で楽しくてウケてるというよりはyoutubeで見ていたアレを見られて笑ってるっていう感じのお客さんがかなりの数いたみたいで(それはそれで別にいいんだけど)、
正楽先生 紙切り
「尾長鳥」という注文に、鳥だけじゃなくそれを見ている親子、
私もいつかリクエストを言ってみたい…。
三三師匠「元犬」
時そばに入ると見せかけてまくらだけで終わった喬太郎師匠のこと
毒を吐きながらの「元犬」。ええ?三三師匠がトリで「元犬」?
上総屋がシロの扱いに困っているのがなんか妙におかしい。
ついついくるくる回ったりするシロだけど、
ご隠居がシロの犬っぷりに惚れ惚れして面白がるのも楽しい。
その前に出た噺を取り入れたり、遊びたっぷりの「元犬」だった。楽しかった!
東洋館 29年初席 第二部
1/4(水)、東洋館 29年初席 第二部に行ってきた。
正月明け初出勤のこの日。17:30からの鈴本演芸場のチケットは取っていたんだけど、
南なん師匠の交互出演の出番が当たっていれば上野広小路亭に行き
悩んだ末、メンツを見て東洋館の二部へ。
初めての東洋館!
・甚語楼 漫談
・歌之介 漫談
・三平 いつもの
・ロケット団 漫才
・市馬「親子酒」
・木久蔵「金明竹」
・小朝 いつもの
・正楽 紙切り
・一之輔「看板の一」
・菊志ん 漫談
・小円歌 三味線漫談
・権太郎「つる」
甚語楼師匠 漫談
この日、
ロケット団 漫才
ようやくちゃんと笑えてほっ…。
それでなくとも浅草演芸ホール以上にベタなお客さんで、テレビに出てる噺家さんやベタな漫談に大喜び。
みんなが笑っているとき私はちーっとも笑えない。
それはまぁいいとしても、
心折れそうになっているときにロケット団が出てきてフツーに笑え
ありがとう、ロケット団。
市馬師匠「親子酒」
ようやく落語が聞けた…。
市馬師匠が「親子酒」って珍しい。
なんかあんまり酔っぱらってるようには見えなかったけど、
高座の最中に携帯が大音量で鳴ってしかも全然止めてくれなかった
木久蔵師匠「金明竹」
最近落語やるようになったんだねー。この間見たのと同じ「
小朝師匠 いつもの
いつ見てもほんとに同じ漫談ばかり…。
私は全然面白くないけど、
落語がうまいとかすごいとかって聞くけど、
寄席には力を入れてない?大きなホールで高い入場料をとったときだけ本気を出すタイプなのかな。
一之輔師匠「看板の一」
短い時間でスピーディーに「看板の一」。やっぱりいいなぁ、
説得力。
地方の落語会で高座の作り方がわかってなかったりお客さんがどう
そこまで言うならよっぽど落語がうまいんだろう!
小円歌先生 三味線漫談
浅草が似合うなぁ。
きれいだし楽しいし明るいしおめでたいし最高。毛羽立つ心を静めてくれた。すてき。
権太郎師匠「つる」
権太郎師匠がトリで「つる」!って驚いたけど、
このつまんねぇー噺でも権太郎師匠がやるとこんなに面白いんだな
私はもうあの繰り返しのところで焦れてきちゃうんだけど、
だけど笑わせるところはくっきりと。
さすが。
というわけでココジャナイ感でいっぱいの私の東洋館デビューであ
こんなことなら連雀亭に行けばよかった。上野広小路亭でもよかった。
でもまぁ2時間だったからそれほど疲れなくてよかったか。
2016年・年間ベスト
2016年に読んだ本が89冊、行った落語が213回。
213回て…。ばかでしょう?
好きになるとキチガイみたいになるという自覚はあったけど、この回数にはわれながら引くわー。
そして89冊は少ない。ついに100冊を切ってしまった…。なにせ落語とポコポコ(ゲーム)に時間をとられて…。反省。今年はもう少し読みたいなぁ。
まずは海外から。全15冊。
こうして挙げてみると、新潮クレスト・ブックスとエクス・リブリスがほとんどで、読書不調の時でもクレストとエクス・リブリスを選んでいれば間違いないということを実感。
1位:異国の出来事(ウィリアム・トレヴァー)
トレヴァーの短編集が良くないはずがないのだが、期待を裏切らない素晴らしい作品だった。
誰にも気づかれることのなかった恋が生まれた瞬間と、それを一生引きずって生きていくことの甘やかさと苦さを描いた「版画家」。この作品が一番好き。
苦い物語が多いけれど、静かに慰められる。
トレヴァーが亡くなってしまったことが本当に悲しい。
2位:「キャロル」
- 作者: パトリシアハイスミス,Patricia Highsmith,柿沼瑛子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/12/08
- メディア: 文庫
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ハイスミス=イヤミスの女王という私のイメージを見事に覆す作品だった。
キャロルという美しい人妻に一目ぼれしたテレーズ。恋が始まった時の高揚感、想いが実った時の無敵感、でもそれは永遠には続かなくて、何もかもを失って裸になった時に初めて見えてくる相手の本当の姿と自分自身。
むき出しの恋愛が丁寧に描かれるが、これはテレーズという一人の女性の成長物語でもある。素晴らしかった。
3位:「つつましい英雄」(マリオバルガス=リョサ)
- 作者: マリオバルガス=リョサ,Mario Vargas Llosa,田村さと子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2015/12/21
- メディア: 単行本
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二つの物語が交互に語られ、過去の出来事や会話が現在の物語と同時に展開する。
ストーリーはかなり不穏なのだが、片方は揺るがない信念、もう片方はユーモア精神のある主人公なので、ハラハラしながらも楽しく読める。
タイトルにあるとおり、リョサらしくなく?物語がどこかつつましくて(笑)そこがまた面白かった。
4位:「優しい鬼」
苦手なテーマだったので内容を知っていたら恐れをなして読まなかったかもしれない。
かなりヘヴィな内容だったけれど、語りが静かで優しくそこに救われた。
独特な味わいがあった作品。
5位:「誰もいないホテルで」(ペーター・シュタム)
何の前知識もなく読んだのだが、ことのほか良かった。
圧倒的な孤独が際立つような作品が多かったが、今の自分の心情にマッチしていたのかやけに胸に染み入った。
6位:「ジュリエット」(アリス・マンロー)
今まで読んだマンロー作品の中で一番好きだった。短編集。
ほんの一瞬の決断や出会いが人生を変えていく。
出会いがあって想いが実ったとしても人生はそこで終わりではない。人生にハッピーエンドなんてなくて、誰もが最後は一人ぼっちになってしまう。
相変わらず苦い物語が多いけれど、静かな諦めの境地に不思議と励まされる。
アリス・マンロー、年齢を重ねるごとに好きになる予感がする。
7位:「レモンケーキの独特なさびしさ」(エイミー・ベンダー)
食べたもので作ってる人の感情がわかってしまうローズ。
9歳の時に母の作ったレモンケーキを食べて母の心の中の空虚を知ってしまう。
繊細でありすぎることは時に生きることを苦しみに変える。
寂しいけれど優しい物語。いままで読んだエイミーベンダー作品のなかで一番好きだった。
8位:「邪眼: うまくいかない愛をめぐる4つの中篇」(ジョイス・キャロルオーツ)
- 作者: ジョイス・キャロルオーツ,Joyce Carol Oates,栩木玲子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 単行本
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容赦ない悪意に満ちた短編集。ひぇーーと引くほどの残酷さなのだけれど、げらげら笑いたくなるような爽快感もある。
面白かった!
9位:「軋む心 」(ドナル・ライアン)
21人それぞれが自らの境遇と心情を語る。
失業したり悲運に見舞われて絶望する人たちは攻撃的になったり他人の不幸を喜んだり自暴自棄になったり。
その不穏な空気がリアルでヒリヒリするが、人を見る目がある人もちゃんといてその確かさがこの暗い物語に少しだけ光を与えてくれている。
10位:「黄昏の彼女たち」(サラ・ウォーターズ)
上巻では主人公フランシスの暗い過去や閉じ込められているように暮らしている現在と、彼女の心の動きが丁寧に描かれる。
下巻で事件が起こり、その均衡が破られる。
ミステリーの枠に収まりきらないような人間ドラマで、人間そのものが大きな謎であるということを思い知らされた作品。
11位:「ムシェ 小さな英雄の物語」(キルメン・ウリベ)
ノンフィクションをもとにしたフィクション。
ムシェという魅力的な人物が生き生きと描かれていて、そこには確かに時代や国を越える普遍的なものがあって、それこそが物語の力、文学の力だと思う。
最後まで読んで、大切なものを全て根こそぎ奪っていく戦争への憎しみが残る。
12位:「あの素晴らしき七年」(エトガル・ケレット)
「突然ノックの音が」の作者による自伝的エッセイ。
戦闘の絶えない国で生きていくこと、守らなければならない家族を持つこと、それはもう他人事とは思えなくて読んでいて苦しくなってくる。
しかしどんな状況であってもこの人はユーモアを忘れない。何事も笑い飛ばす。戦争さえも。
国が戦争に向かって行ってしまったら、私たちはもうなすすべもなく受け入れて生き延びることだけを考えるしかないのだろうか。その時私はこの人のように生きられるのだろうか。
13位:「ミニチュアの妻」(マヌエル・ゴンザレス)
奇想短編はかなりの数を読んできていて読み慣れている方だと自負(?)しているけれど、また一味違っていてとても面白かった。
不条理な出来事を感情を排した文章で淡々と描写しているのだが、なにか不思議な懐かしさが漂う。
人間の感情や行動の摩訶不思議。なんじゃそりゃ?という展開でも、それに向かっていく人の感情は身近で理解できるものだから、それが恐ろしくもありおかしくもある。
物語に引きずり込まれメタメタにされ放り出される楽しさを堪能した。
14位:「未成年」(イアン・マキューアン)
宗教上の理由から輸血を拒む少年の裁判という極めて難しい判決を行わなければならなくなった裁判官のフィオーナが主人公。
難しい案件に頭を悩ませるフィオーナに長年連れ添った夫が「夫婦関係はこのまま続けながら若い女性との不倫を認めてほしい」という信じられないような言葉を投げつけられる。
難しい裁判に真っ向から取り組みながらも、一方私生活では夫のことが赦せず感情的な行動に走ってしまうフィオーナ。
人間が人間に与えてしまう影響の大きさ。一歩踏み出してしまったために生まれる悲劇が描かれる。
15位:「夜、僕らは輪になって歩く」(ダニエル・アラルコン)
主人公であるネルソンに何かが起きたことが示唆されているので、いつ何が起きるのかと不安な気持ちで読み進めることになる。
ここではない何処かに行くこと、偉大な何者かになること、若者ならではの選択がこんな悲劇を生むとは…。
語り手が当事者になるともう安全ではない。
読んでいる自分自身もその輪の中に巻き込まれていくようで、ぞくぞくと不安になるような読後感。
次は国内編。こちらも全15冊。
2016年に読んだ本の中で圧倒的に面白かったのがこれ。
谷崎=お耽美というイメージがあったのと、「細雪」は映画にもなっているので、美人姉妹がきれいな着物を着てお上品に暮らしてる話なんでしょ、興味ないわーと思っていた。
ところがこれが読んでみるとものすごく面白かった。
今では没落してしまったのだが格式正しい旧家の4姉妹。
時代は昭和初期。戦争が始まる気配もあるのだが、
三女の雪子の縁談が主なテーマなのだが、お見合いの時にはお互いに身辺を調査したり、
旧時代的なようでいて案外さばさばとドライなところがまた楽しいのだが、なによりも文章が素晴らしくて今読んでもまったく古びていない。
素晴らしかった。圧倒的な一位。
組合に入りたくなくて会社を辞めた達夫が出会ったのが、バラックに住む姉弟。
底辺で虐げられながら生きてきた人間のあきらめや恨みの感情をのぞかせながらも、なににも汚されない純粋さや頑なさを持つ二人と親しくなるうちに、それまで傍観者でしかなかった達夫が変わっていく。
身動きできないような閉塞感に満ちているのだが、少しだけ希望の光も感じさせる作品。
3位:「流」(東山彰良)
満場一致の直木賞というのも納得。
莫言の作品といわれても、へ?そうなんだ!と納得してしまいそう。それぐらい日本人っぽくない中国とか台湾の香りのする作品だった。
戦争を描きながらもからっとしたユーモアがあってそこが好き。
4位:「戦場のコックたち」(深緑野分)
戦場で現実から目をそらすために…あるいは正気を保つために、「日常の謎」を解いて探偵ごっこをするティムとコック仲間のエド。
物語が進むにつれて、戦場の過酷さがどんどん増し、彼らのささやかなユーモアや日常を奪っていく。
日常の謎系の話かなと思いきや、そんな日常が圧倒的な暴力で奪われていく物語だった。
読んでいる間中、戦争は嫌だ、絶対戦争はしちゃいけない。そんな思いでいっぱいになった。
5位:「貝がらと海の音」(庄野潤三)
何年か前に知り、それ以来、自分が精神的に弱ってきたなぁと思うと読むようにしている作家さん。
一家の穏やかな日常が淡々と日記風に綴られる。
こんな風に毎日を穏やかに感謝して過ごせたら本当に素敵だと思う。
淡々とつづられた日常に不思議と心が慰められる。
6位:「鯉のぼりの御利益」(瀧川鯉昇)
鯉昇師匠の自伝エッセイ。
面白かった。まくらでおっしゃってたのは全てほんとのことだったのねという驚きと高座で見る師匠そのままがここに!という安堵と。
波乱万丈の前半も面白かったけど、落語について真面目に語った後半も素敵だった。
7位:「わたしの容れもの」(角田光代)
「自分の容れもの」である身体にまつわるあれこれを書いたエッセイ。
ほぼ同年代の角田さん。腰痛の苦しみ、どんなに頑張っても減らない体重なのに一度増えるとぴくりとも動かなくなる体重、更年期への恐れ、加齢の実感など、どれもこれも思い当たることばかりで、わかるわかる!というのと、そういう面白がり方もできるのか!という発見。
8位:「メタモルフォシス」(羽田圭介)
これでもかとSMのプレイを描きながら、性的な嗜好を越えて、働くこと生きていくことの意味さえも歌い上げる。
笑ったり呆れたり嫌になったりしながら最後まで読むとなんとなく腑に落ちてしまう。
表題作もすごいけど「トウキョーの調教」の方も面白い。
この作家の描く何か方向が間違った努力や我慢や鍛え方、癖になる。
9位:「坂の途中の家」(角田光代)
刑事裁判の補充裁判員になった里沙子が、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうちに、自分の境遇を重ね、精神の均衡を崩していく。
子育ての経験のない角田さんがなぜこんなにも孤立した母親の気持ちをリアルに描けるのだろう。
読んでいる私も里沙子に共感しすぎておかしくなりそうだった。読んでて、うあーーーっ!と頭をかきむしりたくなるような追い詰められ感。
共感しまくりのエッセイとは裏腹に角田さんの小説は辛い物語が多いが、でもやっぱりいい。これからも読んでいきたい作家さんだ。
10位:「職業としての小説家」(村上春樹)
作家がどのように小説を書き上げているのか、どんなきっかけで初めての小説を書いたのかなど興味深いハナシが満載でワクワクしながら読んだ。
ここで語られていることは小説家だけではなくどんな職業にも通じることだし、仕事だけじゃなく生き方とか自分のあり方についてもヒントになると思う。
分かるなぁ…!と腑に落ちるエピソードも多かったし、いいなぁ!となんか励まされる話も多かった。
11位:「独居45」(吉村萬壱)
坂下宙ぅ吉という作家が繰り返す自傷行為と奇行に巻き込まれていくフツウの人たち。
見たくないものをこれでもかと見せられたような感じなのだが嫌悪感は不思議となく、かなりおもしろかった。
12位:「大きな鳥にさらわれないよう」(川上弘美)
滅びゆく世界で生きながらえるために小さな集団を作ってひそやかに暮らす人々。
最近こういう小説が多いなぁと思いつつ、読み終わってみればやっぱり川上弘美なのだよなぁ、という読後感。
最近の作品はちょっと読んでいてしんどいと感じるものが多かったのだが、これは好きだった。
13位:「彼女に関する十二章」(中島京子)
子育てを終えた主婦・聖子が主人公。
ジャスト同世代なんだけど「わかるわかる」という部分と「いやでもそこはちょっと違うわ」という部分があって、それがまたゆるりと楽しかった。
14位:「『罪と罰』を読まない」(岸本佐知子,三浦しをん,吉田篤弘,吉田浩美)
ドストエフスキーの「罪と罰」を読んだことがない4人が集まって読書会。
最初と最後のページだけ読んで物語を推理するというスタート地点から、このページ数でいうとここらあたりで事件が起きそう!という当てずっぽうのページ読みだけで、こういう小説なんじゃないかと4人で推理する。
面白かった! しをんさんの妄想力、岸本さんの絶妙な語呂合わせ、篤弘さんの冷静さ、そして浩美さんの影絵アドバイス。もう読んでいておかしくておかしくて何度も吹き出した。
文学作品を読む時にこういう面白がり方をしてもいいんだな、と励まされた。
15位:「赤へ」(井上荒野)
「死」を巡る短編集なのだがとても面白かった。
井上荒野さんの作品は時に何を伝えたかったの?と思うものもあるのだけれど、これはなんかわかるなーと思うものが多かった。
誰もいないホテルで
★★★★★
湖と丘陵の土地に暮らす人々に訪れる、日常を揺るがす出来事。研ぎ澄まされた文章、巧みな構成、温かな眼差し。世界で愛読されるスイス人作家による10の物語。
とてもよかった。
カップルは一緒にいながらも相手の気持ちや二人の関係がいつまで続くかという不安に苛まれ、男は仕事や配偶者からそっぽを向かれて途方に暮れ、女は誰のことも必要としていないかのように猛々しい。
荒涼とした風景と圧倒的な孤独が際立つような作品ばかりだったが、今の自分の心情にマッチしていたのかやけに胸に染み入った。
寂しさを感じずに生きている人などいないのかもしれない。でも寂しさを誰かに埋めてもらうことなどできないんだな。
フランボヤン寄席 隅田川馬石 独演会8
12/23(金)、内幸町ホールで行われた「フランボヤン寄席 隅田川馬石 独演会8」に行ってきた。
・ひしもち「真田小僧」
・馬石「安兵衛狐」
・小ゑん「鉄の男」
~仲入り~
・馬石「鰍沢」
ひしもちさん「真田小僧」
面白い!
前は滑舌悪いなぁ…大丈夫かなぁと思っていたんだけど、最近滑舌の悪さも気にならないし、噺に白酒師匠のお弟子さんらしいちょこっとした改変を加えていてそれがめちゃくちゃ面白くてセンスを感じる。
二ツ目になったらきっと新作もやるようになるんだろうな。楽しみ。
馬石師匠「安兵衛狐」
ゲストの小ゑん師匠の思い出をあれこれ。
それほど接点はなかったけれど真打ちになりたての頃に小ゑん師匠が企画する会のメンバーに誘ってもらった。
第一回目の打ち合わせに行くと、小ゑん師匠から会のコンセプトとして「香盤は関係なく順繰りで番頭をやる」と発表され、それはいいな!と思った。しかしその後すぐに「で、番頭とは別に会計がいるんだけど、それを誰かやってくれないかな」と言って馬石師匠の方を見た。
その瞬間に他の噺家たちも一斉に馬石師匠の方を振り向いた。
メンバーの中では馬石師匠が一番の下っ端。香盤は関係ないと言われても上下関係が身に沁みついているので自分もその瞬間に手をあげて「やらせていただきます」。
そんなまくらから「安兵衛狐」。寄席で何度も聴いている十八番だけど何度見ても面白い。
墓見に今度安兵衛さんも誘ってみよう。きっと安兵衛さんなら喜んで来てくれるよ。「墓見、いかねぇか?」「行く行く!」。この間髪入れず「行く行く」の笑顔がたまらなくかわいくておかしい。
寄席よりたっぷりバージョンの「安兵衛狐」、堪能。
小ゑん師匠「鉄の男」
馬石師匠は先代の馬生師匠に似てる。と言って、馬生師匠の思い出。もう何度聞いても楽しい、馬生師匠の黒豹のエピソード。
こうやって思い出を楽しく語ることで亡くなった師匠の人柄が伝わって行くのってほんとに素敵だ。
寄席でネタをメモするお客さんや録音するお客さんのまくらから「鉄の男」。
鉄オタネタが全開のこの噺。もちろんまったくわからないんだけど、無駄に思えるほどの深ーい薀蓄と家庭にそれを持ち込むバカバカしさの対比がおかしくて笑いっぱなし。
攻める小ゑん師匠、かっこいい。
馬石師匠「鰍沢」
ネタ出しされていたこの噺。
この間扇見た辰師匠の「鰍沢」ではお熊はかなり凄みがあって怖かった。
馬石師匠のお熊は悪女というよりは心中しそこなってにっちもさっちもいかなくなって追い詰められた悲哀がにじみ出ていて、怖いというよりはむしろ可愛そうな印象。
演者によって全然印象が変わるのが落語の面白いところだなぁ。だから同じ噺を何度も聴けるんだと思う。
そして筏に乗ってから芝居調になるところは、前に雲助師匠でみたのと同じ形。
ああ、こうやって師匠のかたちを継いでいくのね。そんなところも素敵だな、と思ったのだった。
池袋演芸場12月下席昼の部(3日目)
12/23(土)、池袋演芸場12月下席昼の部に行ってきた。
小かじさん「真田小僧」
二ツ目になってからの小かじさんを見るのは初めて。ま、まくらを振ってる!って驚いちゃう。
前座時代はなんかつまらなそうっていうか無表情っていう印象だったけど、実は結構ぐいぐい系?
なんとなく面白くしようとするあまり言葉がはっきりしないところがあったような…。がんばれ~。
窓輝師匠「ぞろぞろ」
この日は満員のお客さんでお子さんもいてノリがよかったから、出てくる人がみな気合が入っていてすごくいい雰囲気。
そんな中の「ぞろぞろ」、めちゃくちゃ面白かった。この噺が好きっていうのもあるけど、なんかこう今まで聞いた「ぞろぞろ」とまたちょっと雰囲気が違っていてそこがすごく面白かった。
この師匠、好きだな。
禽大夫師匠「くしゃみ講釈」
ノリノリの高座は続いて「くしゃみ講釈」。すごく楽しかった。明るくて好き好き。
ストレート松浦先生 ジャグリング
やりながら「あれ、今気づいちゃったんですど。どうやら今日は腰の調子がよくないみたいです」。
確かになんかちょっと調子が良くなさそうで気の毒だった。
でもいつ見ても見事だし楽しいし色物にストレート松浦先生が入っているとそれだけでその芝居に行こうという気持ちになる。
歌武蔵師匠「後生鰻」
ノリノリの客席だからきっとまたいつもの恫喝漫談だろうと思っていたらまくらなしで「後生鰻」。
わーーい。この師匠、いつもの漫談をやらずに落語やってくれたら嫌いじゃなくなるんだけどな。
こういうちょっとダークな噺を、子どもがいるときにやるの、好き。
市馬師匠「掛取り」
年末には必ずこの「掛取り」で自慢ののどを聞かせてくれる。いいなぁ。
私の嫌いな借金を踏み倒すところも市馬師匠だと明るくバカバカしくて嫌な感じがしない。
私の隣に親子連れが座っていたんだけど小学生2年生ぐらいの男の子が落語にずっと笑っていてほんとにかわいかった。市馬師匠の「掛取り」でも大笑いしていて、帰る時に「あの、永谷園の幕を持ってぐるぐる回ってるっていうところが一番面白かった」とお父さんに向かって言っていて、ぎゅうってしたくなった。
そういえば前に末廣亭に来ていたお子さん(やっぱり小学校低学年ぐらい)が市馬師匠の「二人旅」でキャッキャ笑っていてかわいかったのを思い出した。
白酒師匠「粗忽長屋」
粗忽長屋も白酒師匠がやるとまた一味変わっていて楽しい!!
気の短い男が気の長い男を「お前の死体を引き取りに行こう」と言って二人で行って、気の長い男が死体を見ながら「やっぱりおれじゃないよ。これ、兄ぃじゃない?」というと気の短い方が「あーーーこれ、おれだーー」って。
すごいスピード感で駆け抜けてこれだけ爆笑をとるんだからほんとにすごいなぁ。
小のぶ師匠「時そば」
このノリノリの雰囲気の中で小のぶ師匠の「時そば」を見られる贅沢さよ…。
分かりやすく笑っていたお客さんたちが「なんだろ、この師匠?」と固唾をのんで見守っているのがすごい緊張感でぞくぞくする。
それが二番目の男のべとべとのそばで大爆笑になる、このスリルがたまらない。
はん治師匠「妻の旅行」
開場前に並んでいる時から「この人数だと…今日は丁寧な鯛かな…」と思っていたら「妻の旅行」だった。
もうこの日のお客さんにはぴったりはまってドッカンドッカン。
私ももう何十回見たかわからないけど笑った笑った。
三遊亭天どん&宮田陽・昇 落語漫才落語会 天にどんと陽が昇る(第二回)
12/22(木)、日暮里サニーホールで行われた「三遊亭天どん&宮田陽・昇 落語漫才落語会 天にどんと陽が昇る(第二回) 」に行ってきた。
この会、ずいぶん前からtwitterで宮田陽・昇先生が漫才落語「芝浜」をやると流れてきて、漫才で芝浜って?!とすごく興味を惹かれたのだ。フツウにやっても面白い宮田陽・昇先生、こういうチャレンジもするところがほんとに素晴らしい!
・希光「時うどん」
・天どん「引っ越しの夢」
・宮田陽・昇 漫才
~仲入り~
・トークコーナー(宮田陽・昇&天どん)
・宮田陽・昇 漫才落語「芝浜」
・天どん「公園の悪いおじさん」
希光さん「時うどん」
まくらも面白いし噺も面白い。私の好きな上方落語の要素がたっぷり。好き。
天どん師匠「引っ越しの夢」
いつものようにネガティヴなことを言ったかと思うとポジティヴに変えてみたり、「私はいったいどっちの方向を目指しているんでしょう」と天どん師匠。
なんとなくトーンを決めかねているような?でもこれっていつものことだっけ?
そんなまくらから「引っ越しの夢」
腕が長いから吊戸棚を抱えるしぐさが映えるんだー。
宮田陽・昇先生 漫才
わーい。寄席以外で宮田陽・昇先生を見るのは初めてだからときめく!
いつもの日本地図や最近やってる差別語を使わない表現や武士、ネガポジ表現なんかの漫才。何度見てもおかしいんだけど、この日は昇先生の脇のにおいを陽先生が嗅いで「グッド!」と言うのが入っていて、それがちゃんと落語漫才「芝浜」につながって行ったのがすごかった!ってこんな説明じゃまるで伝わらないぜ。(笑)
陽先生が消臭スプレーのCMのガイジンさんっぽいからすごくはまってておかしかったなぁ。
トークコーナー(宮田陽・昇先生&天どん師匠)
サンタ帽をかぶった希光さんが出てきていきなりバイオリンを弾きだしたのでびっくり。しかもとてもうまい。バイオリンってほんとに難しい楽器だから素人が弾くと音が安定しなくて苦笑いしか出ないんだけど、すごく音がきれいで伸びやかなのにびっくり。
無言のまま二曲目を弾きだしたのもシュールだった。
トークコーナーはとてもぐだぐだで、これ必要だったのかな…。天どん師匠に物ボケを無茶ぶりされた陽・昇先生が気の毒だったわ。
宮田陽・昇先生 落語漫才「芝浜」
「芝浜」の筋を追いながら、陽先生がひたすらボケて昇先生が突っ込むというスタイル。
もういちいちバカバカしくて笑った笑った。
陽先生のボケが突き抜けてて昇先生のツッコミの間が抜群にいいから、無理のある企画でも無理を感じさせないのがすごい。
天どん師匠「公園の悪いおじさん」
こういう噺だったんだ。タイトルだけは聞いたことがあったから何となく想像はしてたんだけど。
あの漫才の後だとちょっと分が悪かったかなぁ。いつも以上に陰気でちょっとストーリーにのりきれなかった。
末廣亭12月下席夜の部(1日目)
まだ私が一生懸命働いていたころ(←
ということは、落語の疲れは落語でしか癒せないのだ!末廣亭の疲れは末廣亭でしか癒せない!
とおかしなテンションで末廣亭へ向かう。
・扇辰「雪とん」
・歌之介 漫談
~仲入り~
・菊千代「雑排」
・ペペ桜井 ギター漫談
・朝馬「蜘蛛駕籠」
・南喬「粗忽の釘」
・勝丸 太神楽
・今松「三井の大黒」
扇辰師匠「雪とん」
仲入り後からでいいかなと思っていたのだが、
長いこと苦手だったのに不思議なもんだなぁ。
浅めの出番だからショートバージョンだったんだけど物足りなさは
それぞれの人物がくっきり。
佐七がお糸の袖をつっと引っ張って、
一回も…くすりとも笑えなかった。
さん助師匠の「雑排」
ペペ桜井先生 ギター漫談
好き好き。毎回同じでも全然いい。
朝馬師匠「蜘蛛駕籠」
浅草で見た時はいつも漫談だけだったので今日もきっと同じでしょ
やりながら「この噺疲れるな…そのわりにウケないし。
…ぶわははは。
でもあの浅草でウケる漫談より私はこっちの方がうれしい。
南喬師匠「粗忽の釘」
南喬師匠は小三治師匠のトリの時に通って見ていて毎回面白くて大
八っつぁんの粗忽ぶりがわざとらしくなくて、
「落ち着かせていただきます」と上がり込んでからの「ええ。
そしてサゲも違ってるんだよな。
もっと見たいな、南喬師匠。
勝丸さん 太神楽
なんだろう、このインチキ感(笑)。
今松師匠「三井の大黒」
職人の地位が低くなっている。
京にいる甚五郎のもとに「大黒様を彫ってください」
引き受けたもののその気になれないのか毎日酒を飲んでぶらぶらし
京にも飽きたから江戸へでも行くかと金を手に江戸へ向かう。
そこで江戸の大工が仕事をしているところを見ながら「
江戸へ来る前の場面が扇辰師匠や扇遊師匠にはなかったんだけど、
また甚五郎もそんなに天然って感じではない。ぽんしゅーというあだ名もつかない。
甚五郎が名前を聞かれてごまかしたとき、政五郎は「
初日に現場に行って「木を切れ」と言われて、
おかみさんが文句を言い始めたので政五郎は甚五郎を呼んで「
この腕前なら大丈夫だろうと他の現場に行かせてしばらくすると、客から苦情が来る。
政五郎が甚五郎を呼んで言う。
京都と江戸では仕事の仕方が違うのだ、と。
京都では丁寧な仕事をするが江戸は火事が多いこともあって丁寧よ
お前の仕事は丁寧で見事だが江戸では歓迎されない。
腕を磨こうと思って江戸に来たのだったらそれは無理だ。
でも今すぐ帰ることはない。
なるほどーーー。
なんか今までこの噺に感じていた疑問というか違和感がすべて払拭
初日に見事に木を切って帰って来てそれ以降二階でぶらぶらするよ
あといきなり大黒を作り始めるのではなく、
猫の手も借りたいぐらいだったのにいきなり彫り物をするっていう
甚五郎が風呂へ出かけていき政五郎が仕事を見てみようと二階へ上
客が訪ねてきてあいつが甚五郎と分かっても、
ああっ、いいなぁ今松師匠の落語って。
ごくあっさりしているんだけど何も不足がないし、
やっぱり私はこういう落語が好きだなー。
その語りの中にすべてが入っていてその世界がしっかりしているから、安心して身をゆだねられる。
素敵だ。今松師匠。
末廣亭12月中席昼の部(10日目)
12/20(火)、末廣亭12月中席昼の部に行って来た。
千秋楽なので気合を入れて有休とって。
・竹もん「味噌豆」
・吉幸「家見舞」
・一矢 相撲漫談
・圓満「道灌」
・笑好「動物園」
・チャーリーカンパニー コント
・夢丸「ろくろ首」
・歌蔵「代書屋」
・章司 江戸売り声
・柳好「子ほめ」
・小南治「いかけや」
・東京ボーイズ 歌謡漫談
・松鯉「赤穂義士伝より殿中松の廊下」
~仲入り~
・くま八「雑俳」
・京太・ゆめ子 漫才
・遊雀「堪忍袋(前半)」
・金太郎「たらちね」
・ボンボンブラザーズ 曲芸
・南なん「ねずみ」
夢丸師匠「ろくろ首」
この浅めの出番で「ろくろ首」をやってしまう夢丸師匠が好きだー。さすがに駆け足だったけど、その心意気がほんとに素敵。ほんとに夢丸師匠っていくつ噺を持ってるんだろう。すばらしいな。
小南治師匠「いかけや」
やっぱりちょっと珍しい噺をしてくれる小南治師匠。それだけでポイントアップだなー。
いやしかし全然芸風が違う一門だなぁ。南なん師匠、小南治師匠、金太郎師匠。師匠の小南師匠ってどんな落語をされる方だったんだろう。聞いてみたくなってきた。
東京ボーイズ 歌謡漫談
いつもと違うパターンで、菅 六郎先生が歌を踊るというのでもううれしくなっちゃった。私、好きなんだよねぇ、六郎先生。
楽しかった~。ウクレレと三味線のコードが合ってないのだけ気になる(笑)!
遊雀師匠「堪忍袋(前半)」
前半の夫婦喧嘩のところまでだったんだけど、めちゃくちゃ面白い!
弁当の梅干しに飽きたから梅干しをたくあんに変えてくれと亭主が言うと、女房が「なにぉー(野太い声)」とすごんだ、と聞いた大家さん。二人の間に入るのだが、二人ともそれぞれに言い分がある。
女房が「この人(旦那)が嫌味っぽく、梅干しばかりだなって言うんです」と言うと、旦那が「梅干しばかりだなっていうのは事実を述べただけだ。嫌味じゃない。嫌味って言うのは、梅干しか珍しいじゃねぇかっていうのが嫌味」っていうのに笑った~。
寄席のこれぐらいの出番の遊雀師匠ってまたいいねぇ…。最高。
南なん師匠「ねずみ」
おお、これは鯉昇師匠の「ねずみ」。間違いない。そういえば前にも一度聞いたことがあったな、南なん師匠の「ねずみ」。
甚五郎と客引きの子どもの会話がかわいい。
「お客さん、夜は布団で寝たいですか?」をあの独特の口調で言われるとそれだけでなんかほのぼのおかしい。
またお客がどんどん来るようになって、一階と二階合わせて100人近く泊まってるとかっていうばかばかしさ。
地味な噺だけど、なんかこのちょっと童話っぽいところが南なん師匠の語りとあってて楽しかった。
千秋楽を「ねずみ」で締めるって南なん師匠らしいな。
ほんとに楽しい10日だった。そして私は10日中8日行ってしまった。南なん師匠の落語を毎日見られるの、幸せだったなぁ。