りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

フランボヤン寄席 隅田川馬石 独演会8

12/23(金)、内幸町ホールで行われた「フランボヤン寄席 隅田川馬石 独演会8」に行ってきた。


・ひしもち「真田小僧
・馬石「安兵衛狐」
・小ゑん「鉄の男」
~仲入り~
・馬石「鰍沢

ひしもちさん「真田小僧
面白い!
前は滑舌悪いなぁ…大丈夫かなぁと思っていたんだけど、最近滑舌の悪さも気にならないし、噺に白酒師匠のお弟子さんらしいちょこっとした改変を加えていてそれがめちゃくちゃ面白くてセンスを感じる。
二ツ目になったらきっと新作もやるようになるんだろうな。楽しみ。


馬石師匠「安兵衛狐」
ゲストの小ゑん師匠の思い出をあれこれ。
それほど接点はなかったけれど真打ちになりたての頃に小ゑん師匠が企画する会のメンバーに誘ってもらった。
第一回目の打ち合わせに行くと、小ゑん師匠から会のコンセプトとして「香盤は関係なく順繰りで番頭をやる」と発表され、それはいいな!と思った。しかしその後すぐに「で、番頭とは別に会計がいるんだけど、それを誰かやってくれないかな」と言って馬石師匠の方を見た。
その瞬間に他の噺家たちも一斉に馬石師匠の方を振り向いた。
メンバーの中では馬石師匠が一番の下っ端。香盤は関係ないと言われても上下関係が身に沁みついているので自分もその瞬間に手をあげて「やらせていただきます」。

そんなまくらから「安兵衛狐」。寄席で何度も聴いている十八番だけど何度見ても面白い。
墓見に今度安兵衛さんも誘ってみよう。きっと安兵衛さんなら喜んで来てくれるよ。「墓見、いかねぇか?」「行く行く!」。この間髪入れず「行く行く」の笑顔がたまらなくかわいくておかしい。
寄席よりたっぷりバージョンの「安兵衛狐」、堪能。

小ゑん師匠「鉄の男」
馬石師匠は先代の馬生師匠に似てる。と言って、馬生師匠の思い出。もう何度聞いても楽しい、馬生師匠の黒豹のエピソード。
こうやって思い出を楽しく語ることで亡くなった師匠の人柄が伝わって行くのってほんとに素敵だ。
寄席でネタをメモするお客さんや録音するお客さんのまくらから「鉄の男」。
鉄オタネタが全開のこの噺。もちろんまったくわからないんだけど、無駄に思えるほどの深ーい薀蓄と家庭にそれを持ち込むバカバカしさの対比がおかしくて笑いっぱなし。
攻める小ゑん師匠、かっこいい。


馬石師匠「鰍沢
ネタ出しされていたこの噺。
この間扇見た辰師匠の「鰍沢」ではお熊はかなり凄みがあって怖かった。
馬石師匠のお熊は悪女というよりは心中しそこなってにっちもさっちもいかなくなって追い詰められた悲哀がにじみ出ていて、怖いというよりはむしろ可愛そうな印象。
演者によって全然印象が変わるのが落語の面白いところだなぁ。だから同じ噺を何度も聴けるんだと思う。

そして筏に乗ってから芝居調になるところは、前に雲助師匠でみたのと同じ形。
ああ、こうやって師匠のかたちを継いでいくのね。そんなところも素敵だな、と思ったのだった。