りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

よそ者たちの愛

 

よそ者たちの愛 (エクス・リブリス)

よそ者たちの愛 (エクス・リブリス)

 

 ★★★★★

孤独や言い知れぬ閉塞感を抱えながら、都市の片隅で不器用に生きる人々。どこにでも、誰のなかにも存在する“よそ者”たちの様々な思いを描く。ハンガリー系ドイツ語作家によるほろ苦くも胸に沁みる十の物語。ブレーメン文学賞受賞作品。ドイツ語文学の最高賞、ビューヒナー賞受賞作家による短篇集。 

 「普通」から外れてしまった人たちが、非力な自分の力でどうにかしようともがいたり、ひと時誰かと番ってみたり、前に進もうとしたり、道に迷ったりしている。
短編集なんだけれど、人物や景色がシンクロして、それがまた自分も物語の中で迷子になってしまっているような感覚で楽しい。

不安になったり自分の足元がぐらつくような物語が多いのに不思議と少し慰められる。

どれも好きだけど「エイリアンたちの愛」「チーターの問題」「賜物 または慈愛の女神は移住する」が特に好き。

久しぶりにガツンときた短編集だった。とてもよかった。