りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ザリガニの鳴くところ

 

 

ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

 

 ★★★★★

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。

置き去りにされたカイアがあまりにも可哀そうで前半は読むのが辛かった。

湿地の自然、鳥たちを唯一の友だちとして知恵を絞ってどうにかして生き延びようとする少女カイア。
彼女に手を差し伸べてくれたジャンピン夫婦、そして彼女に文字を…学ぶことを教えてくれたテイト。

彼女がどれだけ助けを必要としていたか、友だちを、自分に寄り添ってくれる人を求めていたかと思うと胸がつぶれる想い。
それでも圧倒的に不利な裁判の時に駆けつけてくれた人たち。それは彼女が何も求めず崇高に生きたことの証だったのかもしれない。

「ミステリー」の範疇には収まりきらない感情や知識が詰め込まれた作品。
とても面白かった。