りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

友だち

 

友だち (新潮クレスト・ブックス)

友だち (新潮クレスト・ブックス)

 

 ★★★★

真冬のニューヨーク。かつての恩師であり、誰よりも心を許せる男友だちが自殺したことで、深い喪失感にとらわれている女性作家。そこに、男が飼っていた巨大な老犬が現れる―。ペット禁止の狭いアパートで、心ならずもこの犬と同居することになった彼女は、主を失った犬の哀しみを抱きとめ、世話をするうち、やがて慰めを得るようになる。次第に衰弱する犬との残された時間。愛や友情のかたち、老いること、記憶や書くことの意味…。深い思索が丹念に綴られた、2018年全米図書賞受賞作。 

長い付き合いだった男友達が自殺してそのショックから立ち直れない女性作家が主人公。
彼女にとって彼は明らかに友だち以上の存在で、だからこそ彼の妻との関係は微妙で、鬱状態になり仕事もスランプに陥る。
そんな彼女の元に彼が飼っていた犬・アポロが連れてこられる。
散歩に連れて出ると笑われたり声をかけられるほど大きな犬。彼を失ったことで痛手を負っているアポロと一緒に暮らすうちに、彼女の悲しみも徐々に癒えてくる。

小説を書くことについての思索や、小説の書き方を教えることの困難や仕事としてのきつさなども綴られるので、私小説?と思っていると後半に驚くべき展開が。
フィクションに事実を盛り込むことは書かれた人への冒涜なのか、ということについても考えさせられる。

一筋縄ではいかない作品。面白かった。