りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

オルガ

 

 ★★★★★

19世紀末、貧しい家庭に生まれたオルガは、誰にも媚びないまっすぐな性格を気に入られて農園主の息子ヘルベルトと恋仲になる。だが結婚は許されず、行き場のないヘルベルトは北極圏への無謀な冒険に出たまま、消息を絶った。その哀しみを乗り越えて半世紀あまり、オルガは途方もない行動に出る―。激動の20世紀ドイツを毅然と生きた女性を描く人気作家の最新長篇。

本が読めなくなっている今日この頃だけど、夢中になって読んだ。

幼いころに両親を亡くし心の通わない祖母に育てられたオルガは自立心と向学心に富み、自分の手で進路を切り開いていく。
金持ちの農場主の長男ヘルベルトとの愛を育みながらも彼の両親や妹の反対にあって二人は一緒になることができない。
一方ヘルベルトの方も自分の中にある情熱や虚栄心に踊らされるようにして北極を目指す。

幸せな家庭に恵まれることなく生きてきたオルガ。
戦争で着の身着のまま逃げ出し、家を失い財産を失っても、自分のできることを必死にやって食いつなぎ人との間にできた絆を大切にし生きていく。
さまざまな困難に出会いながらも自分で道を切り開いていくオルガの逞しさと純粋さ。

強さと優しさと柔らかさに励まされる想い。とてもよかった。