りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アメリカン・スクール

アメリカン・スクール (新潮文庫)

アメリカン・スクール (新潮文庫)

★★★★★

アメリカン・スクールの見学に訪れた日本人英語教師たちの不条理で滑稽な体験を通して、終戦後の日米関係を鋭利に諷刺する、芥川賞受賞の表題作のほか、若き兵士の揺れ動く心情を鮮烈に抉り取った文壇デビュー作「小銃」や、ユーモアと不安が共存する執拗なドタバタ劇「汽車の中」など全八編を収録。一見無造作な文体から底知れぬ闇を感じさせる、特異な魅力を放つ鬼才の初期作品集。

小島信夫の初期の作品を集めた短編集。
面白い!
以前「抱擁家族」を読んだときは、気持ち悪い!なにこれ?無理!とまるで受け付けなかったのだが、多分今読んだら全然違う感想を持つと思う。

出てくる男たちのうじうじ加減と振り回され加減がたまらなくおかしい。
嫉妬、コンプレックス、虚栄心、保身。汽車の中でも戦場でも家庭でも、男たちは安らぐことができない。常に居心地悪く恐怖にかられ嫉妬に苛まれ泣き出す寸前のような追い詰められようだ。

切実なのだが妙におかしい。ユーモアたっぷりだがなんだか悲しい。
昔はこのじっとりしたユーモアが気持ち悪く思えたのだが今は面白くて仕方ない。
文芸漫談、行きたかったなあ!奥泉&せいこうがどんな風にこの作品に突っ込んだのかとても気になる。

ところでこの本、図書館で借りたのだが、なつかしいものがついていた。

そして昔の文庫は文字が小さい!