りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

シッピング・ニュース

 

港湾ニュース

港湾ニュース

 

 

シッピング・ニュース (集英社文庫)

シッピング・ニュース (集英社文庫)

 

★★★★★

クオイルは無器用な三十男。大学を中退、三流新聞に拾われるが解雇されてしまう。初めて出会った女に夢中になり結婚するが、浮気をし放題の性悪女で挙句に事故で死んでしまう。父と母も借金を抱え自殺。残されたのは二人の娘だけ。彼は人生をやり直すために娘達と唯一の血縁の叔母を伴い、父祖の地ニューファンドランドへ渡る。そこには一族の名前が付いた岬があり、叔母が数十年前に捨てた家があった。クオイルは地元の新聞に船の情報―港湾ニュースを書く記者として雇われ、島の生活を始める…。全米図書賞&ピュリッツァー賞をW受賞。ハートランド賞、アイリッシュタイムズ賞など各賞を総ナメし、PW誌1位に輝いた感動の小説。

最近本当に本が読めなくなってきているので、以前読んで好きだった本を少しずつ再読することに。

虐待されて育った主人公のクオイルはコンプレックスの塊のような男。
妻に裏切られた彼は二人の娘と叔母と一緒に父祖の地へ渡り、地元の新聞社に港湾ニュースを書く記者として雇われる。

茫然自失のような状態で生きてきたクオイルが、記事を書く中で島の人たちと心を通わせ、徐々に自分の人生を生き始めていく。

過酷な出来事も悲惨な事件も全て生活の一部で、日々の暮らしを生きることが人生そのものなのかもしれない。
地味な物語なんだけど、読み終わった時ほんの少し元気をもらえる。
現実がディストピア小説のようになってきた今こそ読むべき物語だったのかもしれない。

よかった。