りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第二回 una cafe(さん助師匠のオンライン落語会)

5/9(土)、「第二回 una cafe(さん助師匠のオンライン落語会)」に参加した。


・さん助師匠「銀嶺のコロナ」

第一回はさん助師匠とunaさんが並んでトークだったけど、今回はそういう始まり方ではなく。
unaさんが一人で開演前の注意事項などを話し終わると「じゃそろそろ…始めます」。

そのちょっと前からなんかバンバン叩くような?音がしていて、え?誰か気づかずになんか音を出しちゃってる?落語聞いてる後ろで奥さんがたたき作ってるとか?んん?

ちょっとするとカメラが切り替わり高座。
そこに映ったのはさん助師匠。着物じゃなくて白いTシャツ姿。ん?
しかも高座の上で扇子をバンバン打ち付けながら悶えてる…。さっきからのバンバンいう音はこの音だったのか。


「あーーくっそー。すごい吹雪だ。ピレネー(コメントで教えていただきました。ありがとうございます!)はさすがに…ぜいぜい…」「落語協会からの依頼で、ピレネーの…銀嶺に…コロナ菌の総本山があるからそこで落語をやってきてくれっていう仕事だったけど…交通費別で三万円…俺…なんでこんな仕事を…ぜいぜい…受けちゃったんだろう…」。
「銀嶺に…コロナの親玉がいるって…そいつを倒すには…時そばを聞かせればいいって言われたんだけど…時そば…なんでその大役が俺に…」
「さっきから銀嶺銀嶺って…ただその単語を使いたかっただけじゃねぇかって噂もあるけど…説明しないと場所も状況も伝わらないから連呼するけど…この吹雪の中…銀嶺を…ぜいぜい…この先にコロナがいるって…ぜいぜい…」
「あ!あそこか!なんか光が…あそこなのか!」

さん助が近づいていくとそこにいたのがまさにコロナの親玉が。
「あーーどうも」
「え?お前がコロナ?なんか噺家っぽいけど…」
「私がコロナ亭ゴールドです」
「コロナ亭ゴールドって…三遊亭なにがしみたいな発音で言うけど…何者だお前は?」

「コロナ亭ゴールドというのは名跡で…私はこの度二代目を名乗ることになっていてその披露興行も始まるところなんですよ」
「なんだとー。そんなことはさせない。今からお前の前で時そばを…やってやる!」
「え?時そば?…時そばといえば五代目小さんが絶品…。あと三代目三木助江戸前の芸で…私はそういう名人の時そばを聞いてきたんだ!」
「え?そんな名人…いや…俺だって負けない」

…というと、たどたどしく(笑)「時そば」をやり始めるさん助。
「そーばーーーうーーー」
「おい、そばやさん。何ができる?花巻にしっぽく?じゃしっぽくを熱くしてもらおうか」
「あ、はい」

…あーーなんか…やりづれぇな。ちくしょー。そうだ。とにかくそばを食うしぐさだ。得意の俺のそばを食う仕草を食らえ!

そういって、ずずーーずずーっとそばを食べる仕草。
「そばだぞ。これはそばだぞ。ずずーー」

するとコロナ亭ゴールドが「うぉーーー」と苦しみだす。
「あ、光が薄れてきてる!ここが踏ん張りどころだ!」
さらにそばを食べる仕草を繰り返すさん助。
「下手…下手すぎるーーーー。こんなのは…見たことがない…!」

さん助のあまりに下手な「時そば」にコロナ亭ゴールドは滅び、この世界に再び平和が訪れたのであった。(完)

 

…ぶわははははは!なんじゃこりゃ!!
前に駒込落語会で似たようなシチュエーションの三題噺を聞いた気がするんだけど、それのコロナ版?!いったい何を見せられたんだ、私たちは。おかしすぎる…。


…しばらくするとカメラが切り替わって、喫茶店のバーチャル背景にさん助師匠一人。「いやあの…なんか…この中で…着物を着て古典をやるのもなんか違うかなとちょっと思いまして…」

…チャレンジャーや(笑)。ほんとに毎回いろいろ試行錯誤して生身のさん助をぶつけてくれてありがとうとしか言いようがない。

それからはunaさんとのトーク

5月末に行われる予定だったuna galleryでの夜の九時落語を中止にすることを発表。

「なにせこちらは三密になっちゃいますから…具体的に三密が何を指してるのかぼんやりとしかわかってないんですが。でもこれで緊急事態宣言が解除されたからといって、すぐに元通りというわけにはいかないですよね。みなさんもあれこれ気にしながら落語に来るのも嫌ですよね…」と。

また、特にお年寄りはこの事態で本当に怯えて外出を全くしなくなっている、と。
「また実はそういう方々が落語家を結構支えてくださっていたんですよね」と。

だからそういう方々が安心して来られるようになるまではなかなか落語会も普通には行うことができないだろうし、そういう人たちに支えられていた自分たちも分岐点に来ているのかもしれない。

落語協会噺家youtubeチャンネルを紹介するページができたことなどにも触れ「落語会の形態も変わってくるかもしれないですね」と。

 

それから前回見ていると言っていた「明日のジョー」。今も見続けているというさん助師匠。
ついに力石とジョーが闘って、力石が死んでしまったところまで見たらしい。
なんでも力石はジョーと闘うために過激な減量をし、そのために死んでしまったのだとか。

力石というのはものすごい人気のキャラクターで亡くなった時にはリアルでお葬式が開かれたんですよ、などというマメ知識も披露。

なんてことを話しながらさん助師匠が明日のジョーの世界に入ってしまったのか「生きてるって言ってみろ…」と言い始め「生きてるって言ってみろ…生きてるって言ってみろ…生きてるって言ってみろ」と大声を出したところで終了。

ぶわはははは。シュールかよ!

 

私は正直、配信で落語を見ても面白いと思えなくてほとんど何も見ていない。
もちろん配信やオンライン落語会をやってる噺家さんを否定する気持ちはないんだけど、見ると「ああ、生で見たいなぁ」という気持ちになってしまうので、見る気がしないのだ。

でもこの間twitterでとある噺家さんが「今オンラインで落語会をやってる噺家でお金のためにやっている人はほとんどいない。噺家は人前で落語をやってこそ噺家だから、みんな噺家であろうとしてやっている」というようなことをつぶやいていて、ああ…そうなんだろうな、と思った。

さん助師匠なんかオンラインと最も遠いところにいる人で、たぶん通常であれば「お客さんがいないところで落語をやるなんて恥ずかしいからありえないよ」と一蹴するところなんだろうけれど、今はこうやってリモートであっても人前で落語をしたり話をする機会を無駄にしたくないと思って、やっているんだろうと思う。

自分で環境を用意したりできないところを、unaさんに「やりましょうよ」と言ってもらってあれこれ試行錯誤しながらチャレンジしてる。
それを他のお客さんと一緒に見届けることができるというのも、幸せなことなのかもしれない。

なんてことを思いつつ…。次回は5/30(土)とのこと。