2012年・年間ベスト
2012年に読んだ本は205冊。ここ数年コンスタントに読んでいるけれど特にたくさん読んだ年だった。
私の場合リア充なときは本を読まなくなるという傾向にあるので、それだけリア貧だった(とほほ…)とも言えるが、精神的に元気がなくなってくると本も読めなくなってしまうので、それだけ結構元気に過ごせたと言うこともできる。
なんにしても読んでる本に励まされ目を開かされ元気をもらえた一年だった。
さらに読書を通じてもう少し外に出たいという気持ちも芽生え、読書会や講演会、文芸漫談などにも行ったことも楽しい経験だった。
憧れの翻訳家の方や作家さん、ブログを書いている方に会うことができたのはうれしかったなぁ!
というわけでまずは国内。ベスト10言いながら10冊に絞りきれず15冊。
1位:「漁港の肉子ちゃん」(西加奈子)
- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/09
- メディア: 単行本
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底抜けに明るくて優しくて善意のかたまりの肉子ちゃん。
私の好きな海外の小説にあるようなスケールの大きなフィクションではないけれど、このおおらかさあたたかさはもう文句なしに大好きなのである。
西加奈子さんはエッセイも面白かったし、これからもどんどん読んでいきたいと思っている作家さんだ。
2位:「雲をつかむ話」(多和田葉子)
- 作者: 多和田葉子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/04/21
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この「雲をつかむ話」は読み始めてすぐに「やばい。好きだ。やばい。」とやばやば状態になるほど好みだった。
物語自体もそうだけれど、文体がとても好き。これはやはり母国語の小説でしか味わえない部分だと思うので、日本の作家をこれからも大事に読んでいきたいと思うのであった。
3位:「本にだって雄と雌があります」(小田雅久仁)
- 作者: 小田雅久仁
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/10/22
- メディア: 単行本
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海外のトンデモ小説に負けずとも劣らないスケールの大きさとゲラゲラ笑えるくすぐりの連発がたまらない。
4位:「双頭のバビロン」(皆川博子)
- 作者: 皆川博子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/04/21
- メディア: 単行本
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- 作者: 水村美苗
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/03
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これを読んだあとしばらく「一人で箱根に長期滞在したい」熱が冷めず、「あたしにゃ遺産は入ってないんだから無理だよ」と何度も自分に言い聞かせたな…。
6位:「楽園のカンヴァス」(原田マハ)
- 作者: 原田マハ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/01
- メディア: ハードカバー
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7位:「無菌病棟より愛をこめて」(加納朋子)
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/03
- メディア: 単行本
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壮絶な闘病記なのだがまわりを見る温かな視線とユーモアが素晴らしかった。
8位:「奇貨」(松浦理英子)
- 作者: 松浦理英子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/08
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これから次々読んでいきたい作家さんだ。
9位:「誰かが足りない」(宮下奈都)
- 作者: 宮下奈都
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2011/10/19
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10位:「もういちど生まれる」(朝井リョウ)
- 作者: 朝井リョウ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/12/09
- メディア: 単行本
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11位:「とにかく散歩いたしましょう」(小川洋子)
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2012/07/21
- メディア: 単行本
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来年もエッセイ、随筆を読んでいきたい。
12位:「ラブレス」(桜木紫乃)
- 作者: 桜木紫乃
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/08
- メディア: 単行本
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自分の価値観とは異なっているのに受け入れられるのが不思議だった。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/09/07
- メディア: 単行本
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川上さんの書評はそれはもう絶妙で、その本のエッセンスを短い言葉で表現しながらも決してネタバレになるようなことは書かず、読んだことがない本はもちろんのこと、一度読んで「ビミョー」と思った本もまた読み直したくなる。
こういうプロの作家さんによる素晴らしい書評を読むと、私のこのブログなんてほとんど誰も読んでないんだから好き勝手に書いてもええやん!と開き直った気持ちになるときもあるのだけれど、きちんと読めてもいないくせにエラソーに書くのだけはやめよう…と思うのだった。
14位:「21世紀の世界文学30冊を読む」(都甲幸治)
- 作者: 都甲幸治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05
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都甲さんの講演会は何回か続けて行ってサインもいただいてちょっと特別な思い入れがある。 「世界」って言うけど全部英語で書かれた本じゃないか、という声もあるようだが、まだまだ自分が知らない海外のすんげー本があるんじゃないかという気持ちを逆撫でするような(!)素晴らしい一冊だった。
ここで紹介されている本が翻訳されますように…。なーむー。
15位:「はじめての落語。 春風亭昇太ひとり会」(糸井重里,春風亭昇太)
はじめての落語。 春風亭昇太ひとり会 (ほぼ日CDブックス)
- 作者: 糸井重里,春風亭昇太
- 出版社/メーカー: 東京糸井重里事務所
- 発売日: 2005/05/16
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落語に偏見のある人にはまず春風亭昇太師匠を聞いてみるといいかも。 なんて言いながら、ちょっと落語に興味のある人にこれを貸したら、愛犬チャッピーの話があまりにひどい!とたたき返されてしまった…。愛犬家にこの噺はいかんかった…。
お次は海外。こちらも15冊。
1位:「ブルックリン・フォリーズ」(ポールオースター)
- 作者: ポールオースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05
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こういう小さな物語が私は一番好きなのだと思う。
八方塞に思えてもたったひとつの出会いで人生が動き出すことがある。取るに足りないように思えた人生の中にも輝きだすことがある。 しかしその一方でそんな大切な人生がいきなり壊されることもある。
喪失と再生が描かれているこの作品が大好きだ。
2位:「第七階層からの眺め」(ケヴィンブロックマイヤー)
- 作者: ケヴィンブロックマイヤー,金子ゆき子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2011/11/17
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長編もよかったし、もっともっと翻訳されてほしい作家だ。
3位:「悪い娘の悪戯」(マリオバルガスリョサ)
- 作者: マリオ・バルガス=リョサ,八重樫克彦,八重樫由貴子
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2011/12/23
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4位:「残念な日々」(ディミトリフェルフルスト)
- 作者: ディミトリフェルフルスト,Dimitri Verhulst,長山さき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02
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大酒飲みの父と叔父たち、祖母と過ごしたド貧乏で不潔で悪癖だらけの家での日々。この残念な日々を思い出す主人公は今はその家を逃れ作家になっている。
残念な日々をただ懐かしく描くだけでないところがとても良かった。
5位:「あの川のほとりで」(ジョンアーヴィング)
- 作者: ジョンアーヴィング
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/12
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- 作者: ジョンアーヴィング,John Irving,小竹由美子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/12
- メディア: 単行本
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6位:「青い脂」(ウラジーミルソローキン)
- 作者: ウラジーミル・ソローキン,望月哲男,松下隆志
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/08/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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SF風味もあり大胆な歴史改変もあり、すさまじくお下品で破壊的な楽しい小説だ。
7位:「よくできた女」(バーバラピム)
- 作者: バーバラ・ピム,芦津かおり
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2010/11/26
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テンション高くこれでもかこれでもかと事件が起きなくても充分面白い小説は書けるのだなぁと思う。もっと翻訳されてほしいいなぁ。バーバラピム。
8位:「悪童日記」(アゴタクリストフ)
- 作者: アゴタクリストフ,Agota Kristof,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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思っていたのとは全く違う後味だったのだが、凄かった。続編も読もうと思いながらなかなか手が出ない…。
9位:「ブエノスアイレス食堂」(カルロスバルマセーダ)
- 作者: カルロスバルマセーダ,柳原孝敦
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2011/10/08
- メディア: 単行本
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10位:「ブルックリン」(コルムトビーン)
- 作者: コルムトビーン,栩木伸明
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2012/06/02
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11位:「酒国―特捜検事丁鈎児の冒険」(莫言)
- 作者: 莫言,藤井省三
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1996/10/25
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中国という強烈な国の中にいてさまざまな規制がある中で、幻想とユーモアのベールに包んで物語を描き続ける莫言の切実な思いが伝わってくる作品で、今まで読んだほかの作品とは少し趣が違っていた。
これを機にもっと読まれるようになるといいと思う。
12位:「ロスト・シティ・レディオ」(ダニエルアラルコン)
- 作者: ダニエルアラルコン,Daniel Alarc´on,藤井光
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/01
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独特な雰囲気がいつまでも心に残る作品。
13位:「わたしの名は赤」(オルハンパムク)
- 作者: オルハンパムク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/25
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- 作者: オルハンパムク,宮下遼
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/25
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イスラムの歴史や宗教について言及しながら、ミステリーと恋愛というエンタメ要素もたっぷり。フツウの小説の3倍ぐらいの濃さのある作品。
14位:「女が嘘をつくとき」(リュドミラウリツカヤ)
- 作者: リュドミラウリツカヤ,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05
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嘘をつく女を描いた連作短編なのだが、全編通じて出てくる女性の物語が最後を飾るというつくりも見事だし、この最終章がとても素晴らしくて物語をきゅっとひきしめている。
15位:「犯罪」(フェルディナントフォンシーラッハ)
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2011/06/11
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やはり最終的には「人間」をきちんと描いている作品が印象に残るのだと思う。