りつこの読書と落語メモ

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死に山: 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

 

 ★★★★★

一九五九年、冷戦下のソ連ウラル山脈で起きた遭難事故。登山チーム九名はテントから一キロ半ほども離れた場所で、この世のものとは思えない凄惨な死に様で発見された。氷点下の中で衣服をろくに着けておらず、全員が靴を履いていない。三人は頭蓋骨折などの重傷、女性メンバーの一人は舌を喪失。遺体の着衣からは異常な濃度の放射線が検出された。最終報告書は「未知の不可抗力によって死亡」と語るのみ―。地元住民に「死に山」と名づけられ、事件から五〇年を経てもなおインターネットを席巻、われわれを翻弄しつづけるこの事件に、アメリカ人ドキュメンタリー映画作家が挑む。彼が到達した驚くべき結末とは…! 

 ディアトロフ峠事件の謎を追うノンフィクション。取材から明らかになった当時の出来事と、著者がロシアに出向いて取材を行う現在が交互に語られる。

残された写真で見るメンバーたちが若者らしく生き生きとしているだけに、こんなにも経験豊かでパワーのあった人たちがこんな悲劇に見舞われた理由は何だったんだろうと真相を知りたくなる。

著者が出した結論は説得力があるように感じるけれど、しかし真相は分からない。
個人的には政治的な陰謀に巻き込まれたのではないか?という気がしつつ、でもUFO説も捨てきれない思い…。

実際に起こってしまったことは悲劇以外の何物でもないが、読み物としてとても面白かった。