りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

白墨人形

 

白墨人形

白墨人形

 

 ★★★★★

スティーヴン・キング強力推薦。
少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。
最終ページに待ち受けるおそるべき真相。
世界36か国で刊行決定、叙情とたくらみに満ちた新鋭の傑作サスペンス。


あの日。僕たちが見つけた死体。そのはじまりは何だったのか。僕たちにもわからない。みんなで遊園地に出かけ、あの悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりをはじめたときか――

あの夏。僕には四人の友達がいた。太り気味のギャヴ、不良を兄に持つミッキー、シングルマザーの息子ホッポ、そして牧師の娘ニッキー。不良たちに襲撃されることも、僕がニッキーへの恋に胸を焦がすこともあったが、この日々が終わるなんて考えたこともなかった。でも町では悲劇に至る不和が広がりはじめていたのだ。僕の母の診療所への反対運動をニッキーの父が煽り、ミッキーの兄に悲劇が降りかかり、少女の妊娠騒ぎが起こり、大人たちのあいだにも僕たちのあいだにもヒビが入りはじめた。そして、あの事件が起きた。あの子が殺された。森で。バラバラになって。見つけたのは僕たちだった。頭部はいまも見つかっていない。

そして現在。白墨人形の絵とともに、あの事件が甦る。あの人が死んだことで、事件は解決したはずなのに。僕はかつての友人たちとともに、あの夏の秘密を探りはじめる……

光に満ちた少年の物語と、痛ましい犯罪悲劇とが交錯し、最終ページに待ち受ける最後の一撃。

ホラーなのかミステリーなのかわからなかったので、不可思議なことが起きるのを受け入れていいのか疑うところなのか、ドキドキしながら読んだ。

子どものころ、世界はわからないことだらけで自分は無力で…でも危険や善悪は本能的に察知はできて、でもそれがはずれることもあるし自分が悪に傾くこともある。現在と過去が交差して謎が次々明らかになっていき、最後であっと息を飲む。
見事!と思ったんだけど、一晩経って考えると、あれは結局誰が?あの謎は?んん?とはてなマークが残る。勢いよく読みすぎたのか、ミステリーとしての緻密さは欠けるのか。

自分が求めているのは答えだと思いがちだ。たが、本当に求めているのは都合のいい考えでしかない。それが人間というものだ。望み通りの真実を得ることを期待しながら問いを発する。問題は、真実は選べないということだ。真実は真実でしかない。人が選べるのは、それを信じるかどうかだけだ。

ミステリーとしての面白さだけではなく、きちんと人間を描いている。そこがとても好き。
文句なく面白かった。