りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

日本橋とん馬落語会

2/28(金)、お江戸日本橋亭で行われた「日本橋とん馬落語会」に行ってきた。

 

・とん馬 ご挨拶
・あら馬「動物園」
・晴太「八問答」
・と太郎「悪魔のパピプペポ」
・サンバ「死神JK」
・小すみ 粋曲
~仲入り~
・貞友「徂徠豆腐」
・とん馬「御神酒徳利」

 

・とん馬師匠 ご挨拶
赤い頭巾に赤い羽織?で登場のとん馬師匠。
この度めでたく還暦を迎えられ、落語教室の生徒さんたちからそのお祝いに贈られた衣装なのだそう。
そうなのだ。何も考えず「とん馬師匠の会がある!」とかわら版で見て飛びついたのだが、この日来ているお客さん、とん馬師匠の落語教室の生徒さんが多数。
さらにその生徒さんの中で新作を作ってる人がいてその二人の高座もあると…。
そそそそそうだったのか。もしかしてアウェイ?と心配になるも、受付でも優しく迎えてもらったし大丈夫大丈夫、きっと大丈夫(笑)。

 

あら馬さん「動物園」
上野広小路の寄席で何回か見たことがあるあら馬さん。とん馬師匠のお弟子さん。
男前な女性という印象があったけど、実生活でもPTA会長をやったりされているらしく、かなり心臓の強いタイプとお見受けした。

 

晴太さん「八問答」
わーい、晴太さん。
なんでも晴太さんが二ツ目になって初めて呼んでいただいたのがとん馬師匠のこの会だったそうでまた呼んでいただいて本当に嬉しい、と。
前座を4年やった中で一番印象が強かった出来事として、浅草演芸ホールで蝠丸師匠が舞台から落ちた時の話を。ぬおおお。
晴太さんによれば、また今年も怪談の会があるらしい。さらにぬおおおお。

そんなまくらから「おめでたい噺を」と「八問答」。
私が晴太さんを初めて見たのは国立演芸場で「八問答」だった。こんな珍しい噺をする前座さんって…?!とハートを射抜かれたんだった。
次から次へと展開していく噺で結構難しいと思うんだけど、よどみがないというか実力を見せつけてきたというか凄かった。

 

と太郎さん「悪魔のパピプペポ」
落語教室の生徒さん。
素人さんの落語かぁ…という気持ちは話し出した瞬間に吹き飛んだ。
なんだなんだ、凄いな、この人。まくらも面白いし、なによりも噺がめちゃくちゃ面白い!これよりよっぽど面白くない新作作ってる噺家さんたっくさんいるよ!

一人部屋の中で藁人形を打ち付けてる男性。どうやら自分の会社の部長に恨みがあってめちゃくちゃ呪いたいらしい。
あれこれ試した後で最後に何かマニュアルを読みながら悪魔を召喚する呪文。すると本当に悪魔が出現!
「部長を呪ってくれ」と悪魔に頼むと「やってもいいが悪魔との取引だからお前も無傷ではいられないぞ」と悪魔。
「お前の寿命の半分をいただく」と言われて男が「え?半分?それはやだ。それの半分は?」と言うと「それの半分にしてやってもいいがそうすると呪いの内容がしょぼくなる」
「しょぼくてもいいや」
というわけで悪魔との取引が成立。

次の日悪魔が会社に行ってみると部下を呼びつけては「馬鹿野郎」呼ばわりしている部長が。
「ああ、あいつだな、ターゲットは。よし、じゃ呪いをかけてやる!」

それまで部下に罵詈雑言を投げつけていた部長の言葉がいきなり「パピプペポ言葉」に変わってしまう!
悪魔のかけたしょぼい呪いのせいだ。

それから悪魔と取引をした男が部長を呪ってる驚愕の理由(笑)が明らかになり…。

…噺も面白いし、話し方もわざとらしくないというかちゃんと落語になっていて、もうびっくり。
最初から最後までゲラゲラ笑いどおしだった。すごいな、なんだこの人。面白かった。

 

サンバさん「死神JK」
「死神」の改作。出てくる死神がおじいさんではなくイケてるJK。まさかこんなかわいこちゃんが死神のわけないやろ!と出会った男は言うのだがこれが本当に死神で。
呪文を教わって病人のもとへ行くと、そこにはやはりJKの死神が座ってる…。

基本的には「死神」の流れなんだけど、ところどころ独自のストーリー。
サゲも死神がJKだという設定が生きていて、すごい。

と太郎さんがめちゃウケした後だったのでやりづらかったんじゃないかと思うけど、たいした度胸だなー。すごいわ。

 

小すみさん 音曲
お囃子時代の小すみさんが高座に上がるのを小助六師匠や夏丸師匠の会で何回か見ていたけど、音曲師となってからの高座を見るのはこれが初めて。嬉しい~。
いやもう三味線は超絶うまいし伸びのある歌声は気持ちいいし、最高だ。
あとお話も結構上手だなぁ。なんていうか本当に楽器と歌が大好き!っていうのが伝わってくるし、この楽しさをお客さんにも!という意気込みも素敵。
「やっこさん」の手拍子と合いの手をお客さんも一緒に!という流れだったんだけど、小すみさんに乗せられてどんどんノリノリになってきてほんとに楽しかった。

 

貞友先生「徂徠豆腐」
貞友先生は貞寿先生の真打披露目の時に一度見たことがあったんだけど、活躍されている声優さんだとは知らなかった。
七色に変わる声を存分に発揮するサービス精神満点の「徂徠豆腐」ですごく面白かった。
まくらで「とん馬師匠の会に呼んでいただきたくていつも隙を伺っていた」とおっしゃっていたけど、本気が伝わってくる高座でよかったー。

 

とん馬師匠「御神酒徳利」
この日はとん馬師匠の同級生の方たちもいらしていたらしく、その中の一人がとん馬師匠のオウムや猿の小噺が大好き、とのこと。リクエストにお応えして…とオウムの小噺パート2と猿の小噺をされたんだけど、何度聞いてもほんとに面白い!!軽さと明るさがたまらない。

「この小噺から噺に入りづらいよ」と言いながら「御神酒徳利」。
おっちょこちょいの二番番頭・善七(だったかな。自信なし)。自分で水がめの中に徳利を隠しておいたことをすっかり忘れて家に帰ってきて自分で水を入れようと水がめの蓋を開けて初めて思い出す。
話しを聞いたおかみさんの強心臓ぶりがなんとも楽しくて好きだな。
最初は「そんなこと俺はできないよ」と言っていたんだけどおかみさんに説得されて練習して旦那のもとへ。
半信半疑だった旦那も実際に徳利が出てくると大喜び。善七もすっかりいい気になって「あたしの占いはすごい」と喜んでいると、泊まっていた鴻池善右衛門の支配人に頼まれてしまう。
女房に相談してきますと家に帰ると「いいじゃない。やってくれば」とここでも強気の女房。
仕方なく支配人と二人で旅に出て、神奈川の宿場に泊まると…。

神奈川の宿場で終わらず、鴻池まで行くパターン。
善七もここまできたらどうにかしたいと本気を出して神頼みをするのも、そこで出てくるのが神奈川の宿屋のお稲荷様で「お前に罪を擦り付けられた稲荷だ」と名乗るのも落語らしくて好きだなー。

テンポがよくて軽くて楽しい「御神酒徳利」。よかった!