りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アンダー、サンダー、テンダー

 

アンダー、サンダー、テンダー (新しい韓国の文学)
 

 ★★★★★

映画美術に携わる「私」は、友人や家族の動画を撮りためている。未熟で無防備だった十代。恋し、挫折し、傷つきながら、進む方向を模索していた日々。「私」の初恋の記憶は、ある事件によって色彩を失っている。高校時代を共にした個性豊かな男女六人は、互いに離れたり、支え合いながら三十代を迎えた。一つのファイルにまとめた動画は、その記憶をたどるものであり、「私」に次のステップを踏み出すきっかけを与えた。 

家庭環境やキャラクターは全く違うけれど同じバスを使って高校に通った6人の仲間たち。
お互いの苦しい状況は分かっていても何ができるでもない。
時に見たくない物は見ないようにしながら、助けられない自分に無力感を感じながらも、離れずに一緒にいる。

胸が痛くなるようなひどい出来事も一緒にいて見守っていてくれる人がいるから少しずつ傷が癒えていく。

切り取って残しておきたいようなシーンが沢山あって、その多感な時期を「アンダー、サンダー、テンダー」と名付けたのも素晴らしい。
「ともだちっていいもんだ」。最後まで読むとそんな言葉をつぶやきたくなる。

良かったー。好きだなー、チョン・セラン。