りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会

5/14(火)サンパール荒川で行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。

・小ごと「道灌」
小三治 お話
~仲入り~
小三治「死神」

小ごとさん「道灌」
淡々と普通にやってる「道灌」なんだけど、なんかかわいい。体が大きいのにかわいい。

小三治師匠 お話
「みなさん、心配してますね。今日は大丈夫なんだろうか、と。…普段ならこういうことは言わないんですが…今日はダメです。とっても具合が悪いです。」
頸椎のこともあり、またインプラントの最中でもあり、熱もある、と。

「歯といえば…円楽さんと談志さんと私の3人で正月旅の仕事に行ってました。ああ、円楽って先代ですよ。そのたびに円楽さんは”あたしは今日はだめだ…歯が悪くなっていて…”と言ってました。そのころは私、若かったのでわからなかった。歯が悪いと落語に影響があるのかい?関係ないだろ?なんて思ってた。でもわかりました。この年になって。歯が悪いとちゃんと喋られない。私、ようやくちょっとよくなりました。治療の甲斐あって。私を追いかけてる人がいたらわかるはずです。」

…追いかけてる…み、みぃ?そう言われてみると聞こえやすくなってる気がする。
小三治師匠って大きな声で喋るわけじゃないし声も少しかすれてるけど、聞き取りにくいということがない。きっとそれってすごい技術なんだろうな…。
かみ合わせとかも大事なんだな。すごくデリケートな芸だな。

以前は近所の町の歯医者に通っていたという小三治師匠。
そこは保険の範囲内でやってくれるということで、噺家連中がずいぶん通ってました。その筆頭が扇橋でね。あいつが先頭切って「無料の歯医者がある」って言いふらしてた。
ずいぶん通ってインプラントもしてもらったけど、ついにこの医者に匙を投げられちゃった。
それで違う歯医者の所に行って…今そこに通ってる。
その先生が言うには…ずいぶんめちゃくちゃな治療をしてる?なんか1本だめになると連鎖してぐずぐずぐず…とダメになるような…。
まぁでもインプラントを前の先生にしてもらって助かりました。ずいぶん助けられた。それは確かです。
あと2本…でもインプラントは値段が高い。ここで募金を集めたいぐらい(にやり)。

それから西田佐智子の大ファンだったという話に。
ほんとにきれいだった。大好きだった。コンサートにも行った。コンサートでは他のお客さんに交じって「さっちゃーん」って声をかけた。なんで関口宏なんかと…。
でも憧れられるより憧れる方がずっと幸せ。一度自分の番組にゲストで来てもらったことがあったけど、だめでした。好きな人を前にするともう何もしゃべれなくなっちゃって。あれはだめだった。
そう言って好きな曲を歌ってくれたけど、知らない曲だった。でも声がほんとにいいんだなぁ。
それから春日八郎、三橋美智也…自分は歌謡曲が好きでフォークはちょっと…でも五輪真弓は好き…と言ってまた歌い…。
歌い終わってから「考えてみたら好きな曲は失恋の曲ばかり」と。

自分の原動力は失恋と母親との確執だった、という話にもなり。
中学の時からずっと好きだった女性の話に。前にも聞いたことがあったけど、ほんとに今でも大事な思い出なんだなぁ…。
それから、歌ったりして少し元気が出てきた、でも…一席三之助にやってもらおうか…と言って袖に声をかけたけどマネージャーさんから「着替えちゃってます」と言われて「なんだよ。じゃいいや」と言って…仲入りに。仲入り後は落語をやります、と言い残し(笑)。

小三治師匠「死神」
座布団に座るなりまくらなしで「死神」へ。
小三治師匠の「死神」久しぶりで嬉しい。
とても丁寧な「死神」だった。1席目で「今日は落語と討ち死にするつもりで来たけどそれはやめました。誤魔化しながらやります」とおっしゃっていて、その言葉が頭にあったせいもあるかもしれないけど、お話として丁寧に語った、という印象。
だから逆にドキドキするようなことはなく、ゆったりと楽しんだ感じ。
でもお客ってほんとに勝手なもので、そうなってみると、どこに連れて行かれるかわからない…そういう落語が聴きたくなる。
と言いながら、私は小三治師匠という人がとにかく大好きなので、見られればもうなんでもいいんである。

具合が悪いと言いながらまくらはたっぷりだったのでまだ大丈夫かなと思いつつ少し心配。