りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

らく兵落語おろし

8/9(木)、宮益坂10間スタジオで行われた「らく兵落語おろし」に行ってきた。

・かしめ「ん廻し」
・らく兵「狸札」
・らく兵「人情八百屋」
~仲入り~
・らく兵「金明竹

 

かしめさん「ん廻し」
今日はこのビルの地下でライブがあるみたいですね、とかしめさん。
会場がわかりにくいので毎回入口のところに立ってご案内するんですけど…落語会のお客様は見ればわかるんです。これ悪口じゃなくて…私を見て「あ!」ってわかってくださったり、雰囲気でも…(もごもご)。
それで今日は立っていると明らかに落語じゃないなっていうお客さんがすでに6人ぐらい溜まってまして。なんていうかEXILEみたいな感じの人たちで、そこにやっぱりライブを見に来た友だちがやってくる「ウェーイ」「ウェイ!」みたいなこう…テレビでしか見たことなかった挨拶をしあってて、「こわいこわいこわい」と思って気づかれないように立ってたんです。
そうしたらまた仲間が来た時にもともといた人たちの方を指さして「あれ、マイメン!」って言った男がいたんです。
マイメン…おれのダチってことですかね?初めて聞きましたけど。
そう言った男が、私に気づいたんですね、あ、なんか見た、こっち…ひぃーと思っていると、その人私を指して言いました。「あれ、マイ着物メン!」

…ぶわはははは!!おかしい~!!
案内に立ってただけでこれだけおいしいまくらを仕込めるかしめさん、すごい。さすがこしら師匠のお弟子さん。

そして「ん廻し」もちゃんと面白い。フツウにやったところもフツウじゃないところも。
後半になって「北風小僧のかんたろう」歌ったりするのは教わったまんまなのか、かしめさんオリジナルなのかわからないけど、なんともいえないおかしさがあって笑った笑った。
かしめさん、初めて見たのは「こしらの集い」で、その時はもうほんとにめっちゃたどたどしくて落語の間になってなくて、こここれを毎回こしらの集いに来るたびに見なければならないのか、しんどい…と失礼なことを思ったものだが、見るたびに面白くなって…しかもなんか明るくてのびのびした人柄も透けて見えて素敵!

 

らく兵さん「狸札」
東京でも私の住んでる練馬なんかでは狸出ますね、今も、とらく兵さん。(ほほほんと?)
夜道を歩いていて時々見ますよ。あれ?なんか犬にしたら毛がもこもこしすぎてるな、鼻のところもにゅっと長くて…ああ、狸かーっていうことがあります。
実家は宮崎の田舎の方なんで狸は出てましたね。
私が実家を出て行ったあと、1か月に何回か母親からはがきが来てましたけどそこにいつも書いてありました。
「狸が庭に来るようになりました」って。
そのうち「ポンタは…」って名前も付いてました。ポンタとの触れ合いを通して、息子が家を出たことなんかもうどうでもよくなったみたいです。

…ぶわははは。おかしい。リアル狸の思い出。

「狸札」は素人の時に師匠に教えてもらいました。うちの師匠、素人の落語教室の講師をやったりしていたので。
入門してから「あれは素人向きのやつだから」って言われて、もう一度習いました。

そんなまくらから「狸札」。
ロングバージョンで動きもたくさん入ってなんかめちゃくちゃ面白い「狸札」。
フツウのところとフツウじゃないところのバランスが絶妙なのは立川流の若い噺家さんによくある感じなんだけど、らく兵さんの場合フツウのところがすごくしゅっとしていてきれいっていうかキビキビしてるっていうか気持ちいい。
それがいいリズムになっていてとても楽しい。

はばかりに行きたくなった狸との攻防が激しくて大笑い。
楽しかった~。

 

らく兵さん「人情八百屋」
1席目の「狸札」について。
自分が初めて聞いた落語は先代小さん師匠の「狸賽」。
父親が落語を好きで、父と兄と自分の3人で川の字で寝るときに、父の持っていた落語のテープを聞きながら寝ていた。
そこできいたのが「狸賽」で、サイコロの1の目がお尻の穴というところで転げまわった覚えが。
女性のお客さんもいるのにすみません。なにせ小学生ですからうん〇やち〇ち〇という単語だけで大爆笑する、そういうレベルだったので。

…わはははは。なんか素敵エピソード。
そしてらく兵さんってなんかコワモテなイメージを勝手に持ってたけど、決してそんなことなくて、素朴な心優しい青年なのですね…。

「人情八百屋」は初めて聴く噺。
「唐茄子屋政談」の若旦那要素を全部省いたような噺。
八百屋の平助が貧乏そうな長屋のおかみさんに呼ばれて茄子を売ろうとすると、子どもが出てきて生のままかじってしまう。
驚いていると、亭主がこの2年ほど病で床に就き米を買うこともできず子どもたちに3日何も食べさせてない、とおかみさん。
それを聞いて平助が気の毒に思い、六百文と自分の弁当と茄子をおかみさんにあげて帰ってくる。
帰ってその話を平助が自分の女房にすると「心配だから様子を見ておいで」と女房。
行ってみると、亭主もおかみさんも自殺し、子ども二人が残されて火消しの親分の家に預けられている。
平助が置いていったお金をすべて大家に奪われた夫婦は絶望して死んでしまったのだという。
自分が余計なことをしたばっかりにかえってあだとなってしまったと落ち込む平助に親分は「そんなことはない。これからは自分の兄弟分になってくれ」と頼み…。

うーん…なんかこってりした噺…と思ったら談志師匠がやられていた噺みたい。
途中結構ギャグも入れていたけど、ちょっと私には噺自体がうーん…でしたわ。


らく兵さん「金明竹
松鶴師匠が飼っていたオウムと訪ねてきた御用聞きとの小噺。何回か聞いたことがあるけどすごくおかしかった。
私以外のお客さんも大爆笑で、「こういう小噺を作られるってほんとに…」と真顔になって感心しているらく兵さんがおかしい。
そんなまくらから「金明竹」。
これがものすごく面白かった。

上方からの刺客の早口がものすごく速いんだけど、すごい説得力がある。
確かにこの部分を聞き取れないぐらい速く言う噺家さんはいるけど、説得力があるっていう部分がすごい。
そして聞き間違いの内容がとても独自でばかばかしい。それが与太郎だけじゃなくおかみさんもっていうおかしさ。

金明竹」でこんなに笑ったの初めてかも。そして
今回のテーマが「嘘の大阪弁の改善と逆の創造」だったから、見事にクリアーしてる!すごい。

いやぁ楽しかった。
なんか自分がらく兵さんを見に行くようになるとは思わなかった。なんとなく勝手に苦手と思い込んでたから。
お客さんの要望で撮影タイムもあったりしてサービス精神も満点。ぶっちゃけトークもあったりして楽しかった。
また行こう。
それにしても自分の好みの噺家さんを見つけ出す嗅覚の鋭さよ(笑)。しかもまたニッチなところに行くよねぇ、我ながら。