りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

地球にちりばめられて

 

地球にちりばめられて

地球にちりばめられて

 

★★★★★

留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、ヨーロッパ大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。

誰もが移民になりえる時代に、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。

とても面白かった。

留学してる間に祖国がなくなってしまったHirukoの元にたまたま集まってきた人たち。国も違えば言語も違う。グローバル化、右傾化する世界の中で迷子になる人たち。「本当の日本人」なんて言ってえばってる私たちだっていつ移民になるかもしれないのだ。

さまざまな背景を持ったさまざなま国の人たちが言語で結び付いてゆく。
Hirukoの話すパンスカという不思議な言語には頑なな心を弛める力を感じるし、文学の力、希望も感じさせる。

支配欲や独占欲のある人たちがそれぞれ自分の主張を始めて不穏になりかけても、言葉のおかげで静められて、寄り添いあう。
不思議だけど納得感もあった。