りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小三治独演会 板橋区立文化会館大ホール

6/3(月)、板橋区立文化会館大ホールで行われた小三治独演会に行ってきた。
実は今回はチケットをオークションでゲット。ついにオークションに手を出してしまった…。1円でも上がったらあきらめようと思って入札したのだが、ラッキーにも値段が上がらなかったので定価+1000円ほどで良席を手に入れることができた。
出品者は他にも人気の落語会のチケットを出品していたけど、いったいどういう手を使って入手しているんだろうか…。絶対何らかのプロだよねぇ。と思うと買った私も後ろ暗い気分…。でもチケットサイトで買うと絶対15列目より後ろになっちゃうからなー。たまにはオークションもありかなー。むーん。

・〆治「看板のピン」
小三治「小言念仏」
〜仲入り〜
小三治「百川」

もう何回目かになるけれど、出囃子の「二上りかっこ」が流れると胸がどきどきしてうれしくて顔がニコニコしてしまう。
「待ってました!」って声をかけるのはなんか聞いていていつも恥ずかしいなぁーと思ってしまうのだが、心の中では「待ってました!!」。

この年になって花粉症になっちゃって、という話から始まって、今まで自分は花粉症なんてかっこ悪い、粋じゃないからそんなもんにかかるんだ、なんて思っていたんだけど、この辛さはなってみないとわからない。
なんたって花粉症の薬っていうのが飲んでも全然効かない。
医者を変えたり、医者も症状を聞きながらあれこれ薬を変えたりしてくれるんだけど、どれもこれも効かないし、飲むとなんだかぼわん〜となる。なんかもうここらへんがね(顔全体をさして)ぼわんとしちゃうんだ。ただでさえボケてきてぼわんとしてるのが、薬を飲むとますますぼわんとしちゃう。
ボケっていいますけどね、いやほんと。昔は自分がそんな風になるとは思ってもいなかった。

落語だとおなじみなのが、くまさんがご隠居のところに行って「こんちわーご隠居さん」「ああ、誰かと思えばくまさんじゃないか」。
ところがこれの名前が出てこない。ご隠居とくまさんっていう名前が出てこないとどうなるかっていうと、「こんちわーー」「ああ…(誰だっけ…ええと…)こんちわ」…これじゃ誰が誰と話してるのかわかりゃしない。
わからないまま「こんちわー」「こんちわ」やって30分。こんなの聞かされてどうですか、みなさんも。

いやぁ小三治師匠のこういうところが本当に大好きだ。これでこそ小三治師匠って気がする。辛辣でひねくれてて正直で。
そして「世の中はすべて陰と陽でできていて」で始まったのが大好きな「小言念仏」。

念仏を唱えながら、やれお線香が曲がってるだ、たまにはお仏壇の掃除をしろだ、お花の水を変えろと奥さんに説教する主人。
そろそろ子どもを起せ、遅刻するぞ。
赤ん坊が入ってきたよ、気が散るから連れて行け。
そう言いながらハイハイしてきた赤ん坊に思わず「ばぁ」と親の顔。
赤ん坊が何か企んでるから注意しろ。ほらやっぱりおもらししちゃってる。
御付けの実はどうしましょう?今頃になってそんなことを聞いてくるな。
どじょうやが通るからどじょうにしろ。声をかけないと行っちゃうよ。ほらもっと大きな声で言わないと聞こえないだろう。「どじょーーやーーー」

主人の小言の細かさにげんなりしつつもなんだかそれが憎めない。
「この噺でずいぶん稼がせてもらいました」と以前小三治師匠が語っていたけれど、この噺をこんなにもおかしくかわいくできるのは小三治師匠だけだと思う。 素晴らしい。

仲入りの後はこれまた大好きな「百川」。
小三治師匠の「百川」大好きなんだー。
田舎者を笑う話だから、やり方によったらバカにした感じになってしまって後味が悪くなる。
小三治師匠の百兵衛さんはのんびりしていて人が好くてかわいらしい。
聞き間違えて勝手に一人悦に入る源兵衛さんと、「ええ?そうかい?」と怪しむほかの若い衆がおかしい。

70過ぎて若いときに比べたら言いよどんだりすることもあるのだけれど、それでもこのとぼけた味と聞き終わった時に「ああ、人間ってかわいいなぁ」としみじみ感じさせてくれる。大好きだ。

小三治師匠の「小言念仏」