りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小銭を数える

小銭をかぞえる (文春文庫)

小銭をかぞえる (文春文庫)

★★★★

女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」を併録。新しい私小説の誕生。

うおっ。面白い。
最低な男で、最低な暮らしで、最低なシチュエーションなんだけど、なぜか笑える。なぜか許せる。それはなぜ?
この圧倒的な惨めさと人でなしさが、なぜか不愉快ではなく愉快。

とにかく文章が美しくて、酷い話なんだけどそこはかとなくユーモアが漂っていて、妙に高尚。
まずい。好きになっちゃったかも。