苦役列車
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/04/19
- メディア: 文庫
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劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。解説・石原慎太郎。
なにを読んでもクソのような男の恨み言が書かれているのだが、なんでか笑ってしまい、読後感も決して悪くないのがつくづく不思議だ。
好き嫌いがわかれる作家だと思うが私は好きだ。
劣等感のかたまりで小心で卑屈で激情しやすくてお付き合いしたくないタイプだけど、見捨てられた子どものようなところがあって、愛すべきろくでなしっていう言葉が浮かぶ。
これを映画にしたというのがちょっと信じがたいのだが(どうやって見るに堪える絵にできたのだろう?)、主人公がまだ19歳ということでほんの少しでも希望の持てる物語にできたのだろうか?
いまさらだけど、映画も見てみたいなという気持ちになった。
石原慎太郎の解説が思いの外いいのがミスマッチで面白い。