りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

殴られた話

殴られた話

殴られた話

★★★

こんなに痛いのは、殴られたからじゃない! ピアニストの椎名と不倫関係にある「わたし」だが、彼には他にも女がいる・・。息が詰まるほどのディテール。一人称ならでは効果が、作品の完成度を高めている。

最近積極的に日本の新しい作家の小説を読んでいる。
いやぁほんとにいろんな作家がいていろんな小説があるんだねぇ…。

これは、いきなり女が女に殴られるところから物語が始まる。
いやもうびっくりである。タイトルに驚かされ冒頭でまた驚かされる。「なんだ?」と手にとって数行読んだらもう途中でやめることは難しいんじゃないだろうか。

ダメ男に惚れた女がその男を取り合う話。
って書くと身も蓋もないんだけど。
殴られたことで受けたダメージとそれによって自分の中から湧き上がってくる暴力的な衝動がとてもリアル。読んでいるこちら側もなんか殴られたようないや〜な気持ちになってくる。

あーーーそんな電話しちゃだめーとか、そもそもなんでこんな男を?とか思うんだけど、でもわかるなぁ…って妙に身につまされる部分もあり。
自分でもちょっと意外なんだけど、嫌いじゃなかった、これ。