鈴本演芸場5月下席昼の部
5/27(土)、鈴本演芸場5月下席昼の部に行ってきた。
・市坊「子ほめ」
・小んぶ「浮世床・本」
・仙三郎社中 太神楽
・辰乃助「狸札」
・玉の輔「お菊の皿」
・ニックス 漫才
・小燕枝「あくび指南」
・正朝「宗論」
・のだゆき 音楽
・さん助「しゃっくり政談」
~仲入り~
・正楽 紙切り
・小ゑん「ぐつぐつ」
・喬之助「締め込み」
・紋之助 曲独楽
・さん喬「船徳」
市坊さん「子ほめ」
ギャグを入れてきたりしてるわけじゃないのになんか面白い。テンポがいいし声もいいし抑揚が気持ちいい。すごいな、この子。
小んぶ「浮世床・本」
「まつこうー」って読むと、松公が「あいよっ!」と威勢よく返事をするのがおかしい。
あと「立て板に水なんてもんじゃねぇよ。俺のは、立て板に鉄砲だよ。もはや立て板の意味がないよ」って…ばかばかしい。なんだそりゃ。
笑った。
仙三郎社中 太神楽
太神楽で歓声が起きると、ああ、今日は初めてのお客さんが多いんだな、って思う。
この日はほんとに陽気なお客さんで、太神楽も落語も一生懸命見ていて楽しんでいるっていう雰囲気があってよかった。居心地がいい~。
五階茶碗で歓声が起きたりすると、ああ…私はずいぶんすれちゃったなぁ(何度も見すぎているので何も感じない…)と寂しくなるけれど、仙成くんが傘の芸を!という驚き&喜びがあるので、それはそれで楽しい。
小燕枝師匠「あくび指南」
師匠のあくびがあまりにも素敵で風流で思わずお客さんが拍手したのがおかしい~。
なにかこうゆったりした空気が流れていてすごく素敵だった。初めて見に来たお客さんがこの噺がどういう方向に転がって行くのかわからなくて固唾をのんで見守っている、その雰囲気もよかった。
さん助師匠「しゃっくり政談」
奇声の上げ方が前と変わっていて、より大きくて長い奇声になっていて、より気持ち悪くなってる(笑)!
へんてこりんなんだけど、地の部分が結構ちゃんとしているから、その緩急が面白いなぁと思う。
もしかして怖い話なんだろうか、とお客さんが見守る中、結局あのへんてこな叫びで終わるっていうのが、ほんとにさん助師匠にぴったり合ってるなぁ。
小ゑん師匠「ぐつぐつ」
やはりこのお客さんにはこの噺、だよね。遭遇率が高いからちょっと残念にも感じてしまうんだけど、でもこの終わり方…何回聞いても素晴らしいなって思う。絵が浮かんでくる。名作。
喬之助師匠「締め込み」
楽しかった!
泥棒がまったく悪びれずぱーぱーしているのがおかしい。
時間調整があったのか、結構たっぷりだった。
さん喬師匠「船徳」
最高に面白かった。
船宿の主人に呼ばれた女中のやる気のない気だるい感じ。若旦那のいかにも若旦那っぽい言動。船に乗ろうと誘う男と蝙蝠傘をさした男。
人物がくっきりしているから、やたらと声を張り上げたり大げさなことをしなくても、十分楽しい。
漕ぎ出す時に顔から決める若旦那がおかしいおかしい。
川に出てからも橋の上に女の姿を見つけると気取った横顔を見せたり、きつくなってくるとどんどん表情がうつろになってきて客に当たりだすのもおかしくて、大笑い。
特に後半になってからのおかしさは抜群で笑った笑った。
あとから、さん喬師匠が独演会で4席やってからすっ飛んできてトリをつとめたことを知って驚愕。
すごすぎる…。
三遊亭天どん落語会『どこまで続くか!? 100勝負 第42番勝負』
5/26(金)、道楽亭で行われた「三遊亭天どん落語会『どこまで続くか!? 100勝負 第42番勝負』」に行ってきた。
・天どん「授業参観」
・さん助「黄金餅」
~仲入り~
・天どん「小間物屋政談」
天どん師匠「授業参観」
寄席に入ってないと暇、という天どん師匠。
最近結構暇で気が付くと家でテレビを見てる。別に見るとはなしに見ているんだけど、昼間やってる「昼顔」っていうドラマを毎日見ていて、何かしながら見てるからストーリーとかは全然わからないんだけど、とにかく上戸彩がかわいい。そんで相手役の男、妙齢の女性なら多分みんな好きなんだろ?みたいなやつ、〇〇って言いましたっけ(←絶対間違ってる名前)。男の方はどうでもいいんだけど上戸彩がかわいい。
で、この間、学校公開に呼ばれて落語をやってきた。
昔は授業参観だったけど今は学校公開?なんかよくわからないけど、授業参観の時は先生がいろいろ準備して授業してたけど、学校公開っていうのはとりあえずこの日はいつ学校に来てもいいですよーってことになっていて、その時に1時間落語をしゃべってくれって言う。
考えてみたらそれって先生が楽してるんじゃない?
しかも学校寄席なら子どもに向けてわかりやすい落語やればいいけど、親が出入りしてるから100%子ども向けってわけにもいかないし、でも本腰入れて聴いてくれるわけでもないから…すごいやりづらい。
実際やってみたら、一番前に足広げて座ってえらそーーにしてるおやじとか、落語やってる間中スマホをばーんと持ってなんかずっと入力しているおかあさんとか…そのおかあさんだってもちろん上戸彩みたいにかわいくなんかない。
なんかすごいイライラした。
…それはしんどそうな状況だけど怒りポイントが「上戸彩じゃねぇし」っていうのがなんか笑えるわー。
あとゲストのさん助師匠のこと。
自分がたて前座の頃にさん助は前座で入ってきたけど、とにかくありえないようなしくじりの数々。
浅草に出てた時、そこのやかんがすごい大きいっていうのがあったんだけど、さん助が「兄さん、ちょっと困ったことが…」というので何かと見たら、やかんに着物の袖が当たって溶けちゃってる。
前座ってアクリルの安い着物を着てるから焦げるんじゃなくて溶けるんだけど、さん助の着てたのはアクリルじゃなくてちゃんとした着物。でもそれを溶かすんだからいったいどんな当て方をしたんだか。
そのせいで天どん師匠が怒られていまだに根に持ってるっていうのも笑ってしまう。
そんなまくらから「授業参観」。
定時制高校で授業参観があって張り切る先生。
でも実は見に来てるのは先生のお母さんで、生徒も先生のお父さんに弟…。めちゃくちゃアットホームなへんてこな授業参観。
なんかシュールでばかばかしくて面白かった。
さん助師匠「黄金餅」
自分の前座時代、すごく怖い師匠がいて楽屋はいつもぴりぴりしていた。だから寄席が終わるとほんとにぐったり。たて前座の兄さんが飲みにつれて行ってくれるのだけが楽しみだった。
そんな時、飲みに行かずにとっとと帰りたがるたて前座がいて、それを引き止める方法っていうのがあった。
できるだけ哀れっぽく「あれ?あにさん、行かないんですか?なんで?ぼくらを置いて帰るんですか?」そういって迫るとたいていの兄さんは「しょうがねぇな」と連れて行ってくれた。
天どんあにさんは、そういう帰りたがる兄さんでした。
そんなまくらから「黄金餅」。
小さい会場で緊張したのか、最初名前があべこべになっていて、それに気が付いて「違うよ。金兵衛は自分だ」と言いなおしたり…。
なかなかちょっとアウェイだったけど、私は好きよ、さん助師匠の「黄金餅」。気持ち悪くてエモーショナルで。でもおかし悲しくて。
すごくさん助師匠らしいな、と思ったのだった。
天どん師匠「小間物屋政談」
さん助師匠の高座を「なんでああいうねちっこい喋り方なのか」「ああいう噺ってなんなんでしょう。何が言いたいのか。落語らしいと言えば落語らしいけど。」「どういう気持ちであれをやるのか。たいていはおれはうまいだろっていう自信があったり一言あるやつがやる」とぶつぶつ。
「でも…うーん…こういうの聞けるから、いろんな人と会やると面白い。勉強になる」とぽつり。
結構酷いこと言ってるけど、あんまりひどい感じがしなかったのは、天どん師匠がさん助師匠の落語を「なんか気持ち悪いけど面白いな」って思ってる風だったからかな。
そんなまくらから「小間物屋政談」。
これもねぇ…な噺だよねぇ。やっぱり昔は女の地位が低かったんだなぁというのを感じざるを得ない。男の道具でしかないのか、みたいな。
そしてほんとにこうして聞いてみると、さん助師匠と天どん師匠の落語って対極にあるなぁという感じ。天どん師匠にはエモーショナルなところが全然なくて、すごく引いたところから冷めた視線で見ている感じで、だから私にはちょっとこう…シニカルに思えるっていうか、ただ筋を話してるように思えてしまって、あんまり入りこめないんだな。でも確かに引いた面白さっていうのもあってそこを楽しめるかどうかなのかなんだと思う。
だから天どんファンから見たらさん助師匠の落語って嫌だろうなって…相いれないんだろうなと思ったんだけど、それはまあ逆に言えばお互い様だからしょうがないのかな、と。
でも相いれない二人の会、面白かった。
打ち上げでもお互いが興味深そうに喋っていて私たちお客はほったらかしだったけど(笑)、二人の会話を聞いてるだけで楽しかった。
末廣亭5月下席夜の部
ある婦人の肖像
★★★★★
舞台は19世紀。アメリカ生まれの美しい娘イザベルは両親を亡くし、イギリスの親戚で裕福なタチェット家に身を寄せていた。利発なイザベルは周囲の人々に愛され、貴族の求婚者も現れた。アメリカ時代の恋人である青年実業家キャスパーも、海を越えてイザベルを追って来た。だが、夫に従属するだけの古風な結婚を嫌うイザベルは、一生独身でも構わないと言い放つ。
面白かった!
主人公のイザベルを最初のうちはあまり好きになれなかった。
出てくる登場人物たちも一癖もふた癖もあるような人物ばかりで、ストーリー自体にも特に魅力を感じることもなく、上巻は少し退屈に感じるくらいだった。
でも中巻から俄然面白くなってきて、もう夢中になって読んだ。
最初は好きになれなかった主人公のイザベルも、彼女の成長とともにその生真面目さや頑なさも含めて愛しく思えてきたし、最初はただの皮肉屋にしか思えなかった従弟のラルフも、ハンサムな貴族だけれどなにかこう決め手に欠けるウォーバトン卿も、頭でっかちでおせっかいなだけに思えた親友のヘンリエッタも読んでいるうちに大好きになっていた。
そして…前途有望な彼女を変えてしまったオズモンドと胡散臭い!と思っていたマール夫人さえも(この二人の食えないことといったら…!)、もうほんとに自分の古くからの知り合いのように生き生きと身近に感じられた。
これが1881年の作品だというのだから驚いてしまう。
時代背景や倫理観など明らかに異質に感じる部分もあるが、それでもなんというかとても生々しく人間が描かれていて躍動していてそこにたまらない魅力を感じる。
これが文学の力なのだなぁ。普遍的なものが描かれているから決して古びない。
読めてよかった。満足。
大江戸悪人物語2017-18 episode 2
5/24(水)、日本橋公会堂で行われた「大江戸悪人物語2017-18 episode 2」に行ってきた。
・みのり「熱湯風呂」
・松之丞「慶安太平記ー楠木不伝闇討ち」
久しぶりに見たけどうまくなってるし、とっても面白い!
前は何か「大丈夫か、この子」と思ったけど、ちゃんと緩急もつけられるようになってるし、間がよくなってるから安心して聞いていられるし笑える。
鯉栄先生に似てきた?
みのりさんのことを「面白いね」と珍しく?褒める松之丞さん。
講談ファンの人の中には気に入らない人もいるかもしれないですけど、いいじゃないですか、面白くて。自分が講談を客で見に行ってた頃、ああいう面白い講談ってきいたことがない。うまい人や名人は見たけど、面白いってなかった。
だからいいんじゃないですか。って無責任だから言うんですけど。
紀州の城を出た正雪が今度は昔世話になった軍学者楠不伝と再会し、その道場で「若先生」と呼ばれるほどになる。
見た目も麗しく教え方もうまい正雪はたちまち人気者に。
世話になった不伝を殺してその娘を愛人にしようと企んだ正雪が娘といい仲だった村上をそそのかして不伝を殺させ道場を乗っ取るところまで。
さん助師匠のやってる「西海屋騒動」もそうだけど、ほんとにこの悪人というやつは、人の親切に付け込んで簡単にまわりの人をだましたり殺したりするんだよなぁ…。
「生まれついての悪性で」っていう決まり文句があるけれど、でも今のようになんでもかんでも原因を探って、親とか育ちのせいにするより、ましかもしれない。そういうこともあるよな、って…。
村上をそそのかして嘘八百(これがまたいやらしい嘘なんだ)を並べるところ、多分聞いてる私も「悪い顔」になってた気がする。
まくらなしで噺へ。深見新左衛門の長男、新五郎。父親の悪行に嫌気がさして家を出ていたのだが久しぶりに戻ってみると、父親が乱心し母を殺し隣の家へ暴れ込み殺されたことを知る。
なんという恥辱だ、これではもう自分に武士として出世する道はないと思い、死のうとしているところを、親切な小間物屋の旦那に助けられる。
店で働き始めた新五郎はまじめで評判もよかったのだが、同じ店子のお園に夢中になる。実はこのお園は新左衛門が殺した宗悦の娘。もちろんお互いにそんなことは知らないのだが、お園の方は何か感じるところがあったのか新五郎のことを嫌っている。
ある時お園が病に倒れると、それを献身的に看病した新五郎。その甲斐があってお園は全快する。
飲めない酒を飲んで酔っ払った新五郎、二人きりでいるのをあまりにお園が嫌がるので意固地になり「一晩だけでいいから同じ布団で寝てくれ」と頼み込む。
…この頼み込むところがね…龍玉師匠のあの淡々とした口調で、でも何度も何度も執拗に同じことを言うところが、かわいそうなような…でもちょっと怖いようなぞっとするような…ぞわぞわぞわ~。わーーなんだこれー。
結局無理やり押し倒したその藁の下に刃物があってお園は死んでしまう。
新五郎はとてもここにはいられないと店の金を懐に入れ江戸を出て地方に行き武芸を磨き、そろそろほとぼりが冷めたかと江戸に戻り、昔世話をしたことがある家を訪ねるのだが、そこでだまし討ちに遭い、ついにはお縄になる。
まただよ、またこいつも、助けてもらったのに人殺ししてお金盗むんだよ。
ほんとにあれだ、下手な親切心を起こしちゃいけないんだ。むーん。
なんかでもほんとに龍玉師匠がこざっぱりしてるから、陰惨な噺だったり濡れ場があっても、不潔感がないんだな。
いやぁ、面白い。この会、ちゃんと毎回通って見届けたい。
柳家小満んの会
楽しかった。
楽しかった!
大旦那が八百屋さんの占いを信じ切って「先生」とまで呼ぶのがおかしい。人がいいから宿屋の紛失物と聞いて「だったら占ってもらえばいい」と本気で勧めるおかしさ。
八百屋さんが宿屋で占いを乞われてやけくそになるのが面白かった~。
鈴本演芸場5月下席昼の部
・さん若「権助提灯」
伸びやかな声に伸び伸びした素直な落語。好き好き。
鈴本演芸場5月下席昼の部
5/21(日)、鈴本演芸場5月下席昼の部に行ってきた。
・たま平「牛ほめ」
・小んぶ「幇間腹」
・ひびきわたる 漫談
・辰乃助「初天神」
・圓太郎「強情灸」
・ホンキートンク 漫才
・小燕枝「長短」
・勢朝「紀州」
・のだゆき 音楽パフォーマンス
・さん助「へっつい泥」
~仲入り~
・楽一 紙切り
・小ゑん「鉄の男(序)」
・喬之助「堪忍袋」
・世津子 曲独楽
・さん喬「百川」
たま平さん「牛ほめ」
隣に座ったきれいなお姉さんは大ウケだったけど私は全く笑えず。確かにギャグは面白いんだけどそれで流れがぷつっと切れてしまって楽しめない。変に手慣れた感じの語り口調も苦手。
小んぶさん「幇間腹」
前にも聞いたことがあったっけ。小んぶさんの「幇間腹」。
なんかすごくばかばかしくてバカみたいに笑ってしまった。
一八が若旦那が最近「凝ってるもの」を挙げるときに、病気の症状を読み上げてその病名を当てる「カルテ取り」って…。
「スラッシュスラッシュドット汗」って…。なんじゃそりゃ!ばかだなー(←ほめてます)。
ひびきわたる先生 漫談
キセルやめちゃってほとんどが立ち話、それもどうということのない…。
辰乃助さん「初天神」
祝ニツ目昇進!
新しい羽織を着て「初天神」。ニツ目にあがった時ってよく「初天神」をやるよね。羽織が着られるようになるから、なのかな。
初々しかったけど、結構難しい噺なんだな、という印象。
小燕枝師匠「長短」
初めて小燕枝師匠を見た時が「長短」で、なんてチャーミングなんだ!!とハートを射抜かれたのだが、ほんとに素敵な「長短」。
もうかわいいかわいい。たまらない。
さん助師匠「へっつい泥」
へっついの説明を一生懸命しているので、「へっつい幽霊」かなと思ったんだけど、やたらとその形状や重さについて説明してるので、あれ違うのかな、と。
それにしてもなんて説明が下手なんだ!
本人も「私ほんとに説明が下手で…もごもご…すみません。落語に入ったら落ち着きますんで」。
…ぶわはははは!!自覚してる?!最高!
いやほんとに、さん助師匠ってまくらの最中は声も小さいし暗いし変な間が空くしひやひやするんだけど、落語に入ると声がぱーーっと明るくなって安心するんだよ。…いや、落語に入って余計に心配になるときもたまにあるけど…ぐわははは。
そんなまくらから「へっつい泥」。
友だちの引っ越しの祝いにへっついを送ろうと友だちに言いに来た男。
しかし二人とも懐が非常に寂しい。
だったら道具屋の店先にへっついが置いてあるから、あれを盗んじゃおうということに。
道具屋の近くまで来たら、さぞ重いものを持って運んでいるように二人で声を合わせ、「ちょっと休もう」と荷物をおろすふりをしてから、今度はへっついを縄で縛って盗み出そうという、ばかばかしい作戦。
荒縄に通そうとするんだけどなかなか通せない男と、一人でへっついを持ち上げていてもうどうにもこうにも持っていられなくなった兄貴分…。汗やら鼻水やら流しながらの熱演(笑)。ばかばかしくて楽しかった。
小ゑん師匠「鉄の男(序)」
ICレコーダーやIpodや秋葉原のいつものまくら。
大好きなんだけど、でも落語ファンが作ったホームページ「落語好きの部屋」(仮)への攻撃的な言葉に毎回どきっとする。
いいじゃん…素人が落語の感想を書いたって…そんなにきつく言わなくてもいいじゃん…。
実際お会いしてお話したこともあるから全然悪気がなくてすっごく面白くていい人って知ってるけど、多分そういうことがなくあのまくらだけだとちょっと苦手だったかもしれない。
そんなまくらから「鉄の男(序)」。
あーこのマニアックさとめんどくさいこだわり…。大好き!(ころっ)
喬之助師匠「堪忍袋」
喬太郎師匠がよく一門会の時、「楽屋では喬之助がキャーキャー言ってる」っておっしゃってるんだけど、ほんとにそんな感じ。明るくて軽くて大好きな師匠。
女房が亭主を口汚くののしりながら袋を縫ってるときのしぐさがとっても好き。こういう奥さんなら毎日喧嘩が絶えなくても楽しそうだな。
世津子先生 曲独楽
もともと紋之助先生が入っていたところの代演だったので、プログラムを見て「え?世津子 曲独楽?誤植?」と思っていたんだけど、ほんとに独楽を持って登場。え、ええええええ?
しかも!なんちゃってじゃなくて本格的。
刃渡りもあれば風車もあれば板の上に複数独楽を並べて「これ」という独楽だけ回すという、難易度の高いものまで。
紋之助先生のようにキレッキレではないんだけど、こ、これは…最近始めましたという芸ではないよね?!
何者?!世津子先生、もともと大好きなんだけど(って実は最初の頃はぱっとしないマジックだと思っていたのだ。でもあるとき小三治師匠の一門会でイリュージョンをやられて度肝を抜かれたのだ。それからはいつもの寄席の紐のマジックも大好きに。)計り知れないね。いったいどんな過去が!
と思ったら、twitterに世津子先生は「三増紋子」という生で曲独楽もやられているとリプをくださった方がいてびっくり。すごし!
さん喬師匠「百川」
百兵衛さんがかわいい。
今協会でやられている「百川」はさん喬師匠のが元祖なのかな。
文句なく面白かった。
*******
隣に座った方二人がさん喬師匠の大ファンのようだったんだけど、最後の方で隣の女性が「うまいわぁ」と言って連れのおじさんも激しく同意していて、私、落語を聞いていて「うまい」って褒める人ってちょっと苦手だなと思った。
確かにあんまり滑舌が悪かったりしぐさがおかしかったりすると「えええ?」と思うけど、うまいかへたかって私は見ていてそんなに大事じゃなくて、むしろその人の作り出す世界が好きかどうかということのほうが大事。
うまいなぁと思っても全然面白くないって思うこともあるし、へただなぁと思ってもひっくり返るほど面白いこともあるし。
あとそんなに面白いっていうわけじゃないけどすごく好きだなーって思うこともあるんだよね。
でもうまいから好きっていう見方ももちろんありだと思うし、面白くなきゃだめ!っていう見方もありだと思う。
いろんな見方ができるから落語って楽しい。
柳家小三治独演会 調布グリーンホール
夢のなかの魚屋の地図
★★★★
書けないときに思い出す、小説家だった父の「とにかく二時間、机の前に座ってみろ」という言葉。「誰よりも美しい妻」だった母。古本屋である夫との、驚きと嘆息に満ちた結婚生活。友人たち、食べることへの情熱、家事をしながら聞く音楽、ストーリーを考えながらする家事、仕事部屋に忍び込んでくる愛する猫。そして、書きつづけることへの決意…。直木賞作家・井上荒野の軌跡を知る、初のエッセイ集。
面白かった。井上光晴のドキュメンタリーを見たことがあったので、余計に面白かった。
あんな強烈な人が父親だったら家族はどんなに大変だっただろうと思っていたが、案外冷静に?作家としての「父」と家庭におさまりきらなかった「父」を受け入れてるように見えた。きっとそれはお母様に依る所が大きいように感じた。
あのドキュメンタリーで、井上氏の文学教室に通う元文学少女の頭いいけれどあまり色気がないような(失礼!)女性たちが、井上氏に「女性」として認められてみな夢中になっているように見えたが、奥様もまさにそういう方だったんだな。貪るように本を読み献身的に尽くした奥様は、井上氏の才能に惚れ込んで彼の欠損も全て受け入れていたような印象を持った。実際はきっとそんな生易しいものではなかったかもしれないが。
お母様の影響なのだろう、荒野さんの食べることへの意欲が凄くて、その食い意地の張りように何度か吹きだした。読んでいていろんなものを飲み食いしたくなった。
浅草演芸ホール5月中席夜の部
まんじゅうをほおばるときのうれしそうな顔とうきうき弾む(ほん
遠山の金さんはね、二つの顔を持ってるんですよね。遊び人の顔とお奉行様の顔。それで前半はまず遊び人で悪いやつが集まってるところに行くんですよね。そこでね、肩のところから背中にかけて桜吹雪のね、彫り物があってね、それをちらっちらっと見せるんですね。で、後半になって悪者をお白州に呼び出してね、悪者たちは最初しらばっくれるんですよね。そこで「遊び人の金さんが知ってるぞ」って脅すと「誰でしたっけそれは」って悪者がすっとぼけるんですよね。
******
連雀亭日替わり夜席
・小はぜ「やかん泥」
・志獅丸「青菜」
なんだろう。親分と一緒に仕事に行けるっていうので子分が喜んでウキウキしてるのがもうすごくかわいくて。
はしゃぎっぷりがまたすごく楽しくて。
小はぜさんがどんどんのってきて、お客さんとの波長もあって…楽しかった!
浅草演芸ホール5月中席夜の部
圓馬師匠 漫談
漫修学旅行生がいたからかなぁ、漫談だけだった。残念…。
修学旅行生にロックインして、何かと固まって座っていることや席
ゼロヴィル
★★★★
「映画自閉症」の青年ヴィカーは、映画『陽のあたる場所』のモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーを、自分のスキンヘッドに刺青している。フィルム編集の才能が買われ、ハリウッドで監督作品を撮ることになるが…。『裁かるゝジャンヌ』、『めまい』、『ロング・グッドバイ』…映画と現実が錯綜する傑作長篇!
映画自閉症の青年が主人公のこの物語は前半はエリクソンらしくもなく?時空間がぐにゃぐにゃになったりしない普通の展開なので、戸惑った。
短めのセンテンスで印象的なシーンを重ねていくのは映像的で、ヴィカーと一緒に次々映画を見ているような感覚。
ここに出てくる映画の内容を知らなくても小説自体は楽しめるけど、知っていたらより楽しめることは間違いない。
わかりあえそうでわかりあえない人との出会いと別れを繰り返してきたヴィカー。
彼の本当の気持ちを私は理解できた気がしないのだが、最後モンゴメリーと対話できたヴィッカーはしあわせになれたのだろうか。
桃月庵白酒 25周年記念落語会 銀座2DAYS 2日目
5/9(火)、博品館劇場で行われた「桃月庵白酒 25周年記念落語会 銀座2DAYS 2日目」に行ってきた。
・はまぐり「つる」
・白酒「突き落とし~アニマルハウス発端~」
「くまの野郎には日ごろからバカにされてなんか仕返しをしてやりたかったんだよ」
「決めたことだから頭を剃られるのは仕方ないけど、何も置いて行くことはないじゃねぇか。」
この台詞に先達さんに内緒でこっそり頭を剃って置いてけぼりにした二人の男の気持ちと、あれほどまでに怒ったくまの気持ちが出ていると思った。
集められたおかみさんたちが実にかわいらしくておかしくてぱーーっと場面が明るくなる。
こういうところが白酒師匠の強味だなぁ。ただただおかしいもの。