りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場5月下席昼の部

5/21(日)、鈴本演芸場5月下席昼の部に行ってきた。

・たま平「牛ほめ」
・小んぶ「幇間腹
ひびきわたる 漫談
・辰乃助「初天神
・圓太郎「強情灸」
ホンキートンク 漫才
・小燕枝「長短」
・勢朝「紀州
・のだゆき 音楽パフォーマンス
・さん助「へっつい泥」
~仲入り~
・楽一 紙切り
・小ゑん「鉄の男(序)」
・喬之助「堪忍袋」
・世津子 曲独楽
・さん喬「百川」

たま平さん「牛ほめ」
隣に座ったきれいなお姉さんは大ウケだったけど私は全く笑えず。確かにギャグは面白いんだけどそれで流れがぷつっと切れてしまって楽しめない。変に手慣れた感じの語り口調も苦手。

小んぶさん「幇間腹
前にも聞いたことがあったっけ。小んぶさんの「幇間腹」。
なんかすごくばかばかしくてバカみたいに笑ってしまった。
一八が若旦那が最近「凝ってるもの」を挙げるときに、病気の症状を読み上げてその病名を当てる「カルテ取り」って…。
「スラッシュスラッシュドット汗」って…。なんじゃそりゃ!ばかだなー(←ほめてます)。

ひびきわたる先生 漫談
キセルやめちゃってほとんどが立ち話、それもどうということのない…。

辰乃助さん「初天神
祝ニツ目昇進!
新しい羽織を着て「初天神」。ニツ目にあがった時ってよく「初天神」をやるよね。羽織が着られるようになるから、なのかな。
初々しかったけど、結構難しい噺なんだな、という印象。

小燕枝師匠「長短」
初めて小燕枝師匠を見た時が「長短」で、なんてチャーミングなんだ!!とハートを射抜かれたのだが、ほんとに素敵な「長短」。
もうかわいいかわいい。たまらない。

さん助師匠「へっつい泥」
へっついの説明を一生懸命しているので、「へっつい幽霊」かなと思ったんだけど、やたらとその形状や重さについて説明してるので、あれ違うのかな、と。
それにしてもなんて説明が下手なんだ!
本人も「私ほんとに説明が下手で…もごもご…すみません。落語に入ったら落ち着きますんで」。

…ぶわはははは!!自覚してる?!最高!
いやほんとに、さん助師匠ってまくらの最中は声も小さいし暗いし変な間が空くしひやひやするんだけど、落語に入ると声がぱーーっと明るくなって安心するんだよ。…いや、落語に入って余計に心配になるときもたまにあるけど…ぐわははは。

そんなまくらから「へっつい泥」。
友だちの引っ越しの祝いにへっついを送ろうと友だちに言いに来た男。
しかし二人とも懐が非常に寂しい。
だったら道具屋の店先にへっついが置いてあるから、あれを盗んじゃおうということに。
道具屋の近くまで来たら、さぞ重いものを持って運んでいるように二人で声を合わせ、「ちょっと休もう」と荷物をおろすふりをしてから、今度はへっついを縄で縛って盗み出そうという、ばかばかしい作戦。

荒縄に通そうとするんだけどなかなか通せない男と、一人でへっついを持ち上げていてもうどうにもこうにも持っていられなくなった兄貴分…。汗やら鼻水やら流しながらの熱演(笑)。ばかばかしくて楽しかった。

小ゑん師匠「鉄の男(序)」
ICレコーダーやIpod秋葉原のいつものまくら。
大好きなんだけど、でも落語ファンが作ったホームページ「落語好きの部屋」(仮)への攻撃的な言葉に毎回どきっとする。
いいじゃん…素人が落語の感想を書いたって…そんなにきつく言わなくてもいいじゃん…。
実際お会いしてお話したこともあるから全然悪気がなくてすっごく面白くていい人って知ってるけど、多分そういうことがなくあのまくらだけだとちょっと苦手だったかもしれない。

そんなまくらから「鉄の男(序)」。
あーこのマニアックさとめんどくさいこだわり…。大好き!(ころっ)

喬之助師匠「堪忍袋」
喬太郎師匠がよく一門会の時、「楽屋では喬之助がキャーキャー言ってる」っておっしゃってるんだけど、ほんとにそんな感じ。明るくて軽くて大好きな師匠。

女房が亭主を口汚くののしりながら袋を縫ってるときのしぐさがとっても好き。こういう奥さんなら毎日喧嘩が絶えなくても楽しそうだな。

世津子先生 曲独楽
もともと紋之助先生が入っていたところの代演だったので、プログラムを見て「え?世津子 曲独楽?誤植?」と思っていたんだけど、ほんとに独楽を持って登場。え、ええええええ?

しかも!なんちゃってじゃなくて本格的。
刃渡りもあれば風車もあれば板の上に複数独楽を並べて「これ」という独楽だけ回すという、難易度の高いものまで。
紋之助先生のようにキレッキレではないんだけど、こ、これは…最近始めましたという芸ではないよね?!
何者?!世津子先生、もともと大好きなんだけど(って実は最初の頃はぱっとしないマジックだと思っていたのだ。でもあるとき小三治師匠の一門会でイリュージョンをやられて度肝を抜かれたのだ。それからはいつもの寄席の紐のマジックも大好きに。)計り知れないね。いったいどんな過去が!
と思ったら、twitterに世津子先生は「三増紋子」という生で曲独楽もやられているとリプをくださった方がいてびっくり。すごし!

さん喬師匠「百川」
百兵衛さんがかわいい。
今協会でやられている「百川」はさん喬師匠のが元祖なのかな。
文句なく面白かった。

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隣に座った方二人がさん喬師匠の大ファンのようだったんだけど、最後の方で隣の女性が「うまいわぁ」と言って連れのおじさんも激しく同意していて、私、落語を聞いていて「うまい」って褒める人ってちょっと苦手だなと思った。
確かにあんまり滑舌が悪かったりしぐさがおかしかったりすると「えええ?」と思うけど、うまいかへたかって私は見ていてそんなに大事じゃなくて、むしろその人の作り出す世界が好きかどうかということのほうが大事。

うまいなぁと思っても全然面白くないって思うこともあるし、へただなぁと思ってもひっくり返るほど面白いこともあるし。
あとそんなに面白いっていうわけじゃないけどすごく好きだなーって思うこともあるんだよね。

でもうまいから好きっていう見方ももちろんありだと思うし、面白くなきゃだめ!っていう見方もありだと思う。
いろんな見方ができるから落語って楽しい。