りつこの読書と落語メモ

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三遊亭天どん落語会『どこまで続くか!? 100勝負 第42番勝負』

5/26(金)、道楽亭で行われた「三遊亭天どん落語会『どこまで続くか!? 100勝負 第42番勝負』」に行ってきた。


・天どん「授業参観」
・さん助「黄金餅
~仲入り~
・天どん「小間物屋政談」

 

天どん師匠「授業参観」
寄席に入ってないと暇、という天どん師匠。
最近結構暇で気が付くと家でテレビを見てる。別に見るとはなしに見ているんだけど、昼間やってる「昼顔」っていうドラマを毎日見ていて、何かしながら見てるからストーリーとかは全然わからないんだけど、とにかく上戸彩がかわいい。そんで相手役の男、妙齢の女性なら多分みんな好きなんだろ?みたいなやつ、〇〇って言いましたっけ(←絶対間違ってる名前)。男の方はどうでもいいんだけど上戸彩がかわいい。

で、この間、学校公開に呼ばれて落語をやってきた。
昔は授業参観だったけど今は学校公開?なんかよくわからないけど、授業参観の時は先生がいろいろ準備して授業してたけど、学校公開っていうのはとりあえずこの日はいつ学校に来てもいいですよーってことになっていて、その時に1時間落語をしゃべってくれって言う。

考えてみたらそれって先生が楽してるんじゃない?
しかも学校寄席なら子どもに向けてわかりやすい落語やればいいけど、親が出入りしてるから100%子ども向けってわけにもいかないし、でも本腰入れて聴いてくれるわけでもないから…すごいやりづらい。

実際やってみたら、一番前に足広げて座ってえらそーーにしてるおやじとか、落語やってる間中スマホをばーんと持ってなんかずっと入力しているおかあさんとか…そのおかあさんだってもちろん上戸彩みたいにかわいくなんかない。
なんかすごいイライラした。

…それはしんどそうな状況だけど怒りポイントが「上戸彩じゃねぇし」っていうのがなんか笑えるわー。

あとゲストのさん助師匠のこと。
自分がたて前座の頃にさん助は前座で入ってきたけど、とにかくありえないようなしくじりの数々。
浅草に出てた時、そこのやかんがすごい大きいっていうのがあったんだけど、さん助が「兄さん、ちょっと困ったことが…」というので何かと見たら、やかんに着物の袖が当たって溶けちゃってる。
前座ってアクリルの安い着物を着てるから焦げるんじゃなくて溶けるんだけど、さん助の着てたのはアクリルじゃなくてちゃんとした着物。でもそれを溶かすんだからいったいどんな当て方をしたんだか。
そのせいで天どん師匠が怒られていまだに根に持ってるっていうのも笑ってしまう。

そんなまくらから「授業参観」。
定時制高校で授業参観があって張り切る先生。
でも実は見に来てるのは先生のお母さんで、生徒も先生のお父さんに弟…。めちゃくちゃアットホームなへんてこな授業参観。

なんかシュールでばかばかしくて面白かった。


さん助師匠「黄金餅
自分の前座時代、すごく怖い師匠がいて楽屋はいつもぴりぴりしていた。だから寄席が終わるとほんとにぐったり。たて前座の兄さんが飲みにつれて行ってくれるのだけが楽しみだった。
そんな時、飲みに行かずにとっとと帰りたがるたて前座がいて、それを引き止める方法っていうのがあった。
できるだけ哀れっぽく「あれ?あにさん、行かないんですか?なんで?ぼくらを置いて帰るんですか?」そういって迫るとたいていの兄さんは「しょうがねぇな」と連れて行ってくれた。
天どんあにさんは、そういう帰りたがる兄さんでした。

そんなまくらから「黄金餅」。
小さい会場で緊張したのか、最初名前があべこべになっていて、それに気が付いて「違うよ。金兵衛は自分だ」と言いなおしたり…。
なかなかちょっとアウェイだったけど、私は好きよ、さん助師匠の「黄金餅」。気持ち悪くてエモーショナルで。でもおかし悲しくて。
すごくさん助師匠らしいな、と思ったのだった。


天どん師匠「小間物屋政談」
さん助師匠の高座を「なんでああいうねちっこい喋り方なのか」「ああいう噺ってなんなんでしょう。何が言いたいのか。落語らしいと言えば落語らしいけど。」「どういう気持ちであれをやるのか。たいていはおれはうまいだろっていう自信があったり一言あるやつがやる」とぶつぶつ。
「でも…うーん…こういうの聞けるから、いろんな人と会やると面白い。勉強になる」とぽつり。
結構酷いこと言ってるけど、あんまりひどい感じがしなかったのは、天どん師匠がさん助師匠の落語を「なんか気持ち悪いけど面白いな」って思ってる風だったからかな。

そんなまくらから「小間物屋政談」。
これもねぇ…な噺だよねぇ。やっぱり昔は女の地位が低かったんだなぁというのを感じざるを得ない。男の道具でしかないのか、みたいな。


そしてほんとにこうして聞いてみると、さん助師匠と天どん師匠の落語って対極にあるなぁという感じ。天どん師匠にはエモーショナルなところが全然なくて、すごく引いたところから冷めた視線で見ている感じで、だから私にはちょっとこう…シニカルに思えるっていうか、ただ筋を話してるように思えてしまって、あんまり入りこめないんだな。でも確かに引いた面白さっていうのもあってそこを楽しめるかどうかなのかなんだと思う。
だから天どんファンから見たらさん助師匠の落語って嫌だろうなって…相いれないんだろうなと思ったんだけど、それはまあ逆に言えばお互い様だからしょうがないのかな、と。

でも相いれない二人の会、面白かった。
打ち上げでもお互いが興味深そうに喋っていて私たちお客はほったらかしだったけど(笑)、二人の会話を聞いてるだけで楽しかった。