りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場8月下席夜の部(2日目)

8/22(木)、鈴本演芸場8月下席夜の部(2日目)に行ってきた。

・琴調「宇喜多秀家 八丈島物語」
・扇辰「麻のれん」
~仲入り~
・扇遊「家見舞い」
翁家社中 太神楽
・さん助「子別れ」


琴調先生「宇喜多秀家 八丈島物語」
福島正則の家臣、大金金衛門が江戸の将軍へ広島の名酒百樽を携えて船で江戸へ渡ろうとするのだが、嵐に遭い立ち往生し、風向きが変わるのを待つことになる。あの島はなんだ?と船頭に訪ねると「あれは八丈島無人島です」という返事。それは面白そうだと足軽を従えて八丈島へ降りて見物していると、向こうからボロボロの身なりの男が魚を手に現れる。
金衛門が勝手に上陸したことを男にわびると、自分はこの島の島民ではないから謝ることはない、と男。
金衛門が自分は福島正則の家臣であることを名乗ると、男は驚きまた懐かしがり、自分は島流しになった秀家であると名乗る。
それを聞いて慌ててひれ伏す金衛門と足軽たち。
秀家は金衛門が酒を江戸へ届けるところだと聞くと、それを飲みたいと言う。
金衛門は本来であれば贈り物なので手を付けることはいけないということを承知で、酒だるを運ばせて秀家へ好きなだけ飲んでくださいと言う。
秀家が酒樽を覗き込むとそこを月が照らし自分のやつれはてた姿を目にする。そして…。

…初めて聴く話だったので必死にくらいつく(笑)。
酒樽を月が照らすシーンがとてもドラマチック。その光景が頭に浮かんできてじーん…。
素敵だった。


扇遊師匠「家見舞い」
楽しい~。
兄貴のところに祝いを持って行かなきゃ!という江戸っ子二人も気がいいけど、道具屋の主人も気のいいざっかけない人物。
食べ物を出されるたびに考え込む弟分がおかしくて笑った笑った。


さん助師匠「子別れ」
朝帰りのまくらで「うおおお、子別れだ」とすぐにわかった。
さん助師匠の「子別れ」が本当に大好きなんだけど、この日の「子別れ」は今までとはまた一味違う…今までよりも太い「子別れ」だったように思う。

お弔いから5日帰って来なかったくまさん。
女房のおふくに今まで何をしてたんだと聞かれ、お弔いの後に紙くず屋のたつ公と一緒に「お通夜」に行ったと言う。
女房にたつ公から全部知ってると言われると、やけになって遊郭でなじみの女に再会した、と。
女がどんなに自分に惚れてると言って引き止めたかをのろけ、「胸の所にぎゅーって抱き着いてきて…こっちだったかな…いや、こっちだったか」。
おふくが「女郎を買ったのろけを女房に聞かせるなんて」と怒ると、最初は謝ったりご機嫌をとったりするんだけど、女房が「離縁状を書いてくれ」と言ってくるので終いには怒り出す。
このくまさんのどうしようもなさ。
離縁状をもらったおふくがかめちゃんを起こして「出て行くよ」と言うと、かめちゃんはくまさんに向かって「とうちゃんはいつもそうやってお酒を飲んでかあちゃんとあたいにだけえばる」「謝っちゃいなよ。いまならまだ間に合うよ」という生意気な物言い。
しかしもう出て行くとなるとおふくに言われるがままお礼を言うかめちゃんが悲しい。

3年経って番頭さんがくまさんを迎えに来て二人で出かけるシーン。
再会した女郎を家に招き入れて…のくだりはなし。
二人で歩いていると番頭さんがかめちゃんを見つける。かめだとわかると「ああ、かめだ。大きくなったなぁ」とくまさん。
ここで登場するろくちゃんが「かめちゃん、さっきからあそこで知らないおじさんがかめちゃんの方を見て泣いたり笑ったりしてるけど、あのおじちゃん知ってる人?」
そこからの父と息子の会話も、いちいちまぜっかえすろくちゃんが出てきたり、二人から目が離せなくなって聞き耳を立てる八百屋が出てきたり。
随所にしめっぽくならない、弾けたおかしさ。

家に帰ってからのおふくさんとかめちゃんのシーンも無駄なところがそり落としてあってあっさりしているけど、かめちゃんが追及されてもうどうしていいかわからなくなるところがとてもリアルで…ああ、こどもってこうだよなぁ…と思ったら涙腺崩壊。

親子3人再会のシーン。
それまでメンツを守ろうとしていたくまさんが自分をさらけ出すところもいいし、なによりそう言われたおふくさんの反応がとっても好き。

ああ、面白いなぁ、さん助師匠の落語は。
そしてなんか今席のさん助師匠は腹をくくってるっていうか肝が据わってるっていうか…そういう太さを少し感じる。
寄席でトリをとるというのはすごい経験。その機会を与えてくれた鈴本演芸場には感謝しかないなぁ。ありがとうありがとう。親類でもないけどありがとう。