りつこの読書と落語メモ

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檀 (新潮文庫)

檀 (新潮文庫)

 

 ★★★★★

愛人との暮しを綴って逝った檀一雄。その17回忌も過ぎた頃、妻である私のもとを訪ねる人があった。その方に私は、私の見てきた檀のことをぽつぽつと語り始めた。けれど、それを切掛けに初めて遺作『火宅の人』を通読した私は、作中で描かれた自分の姿に、思わず胸の中で声を上げた。「それは違います、そんなことを思っていたのですか」と――。「作家の妻」30年の愛の痛みと真実。 

「火宅の人」を読んで、妻の側からの物語も読んでみたいと思ったら本当にあったのだった。

妻ヨソ子さんが檀一雄が亡くなって17年経ってから檀一雄のことや結婚生活について語るという内容。
ノンフィクションといっても語る人の想いや作者の解釈が入ることは否めないから、これも小説としてよむべきなのかもしれない。

「火宅の人」を読んでよくここまで書ききったなと思ったが、最終章を病院で口述筆記したとは。作家としての覚悟や生きざまを見せつけられた思いだ。

あれだけのことをされても離婚しなかった理由。「事を起こした」という言葉を聞いて感じた怒りと清々しさ。

ヨソ子さんも天晴れな作家の妻だったのだなと思う。めそめそしていないところがいいなぁ。

「火宅の人」の小説の世界がそのまま続いているような雰囲気で、物語の世界を全く壊してなくて素晴らしかった。