りつこの読書と落語メモ

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愛なき世界

 

愛なき世界 (単行本)

愛なき世界 (単行本)

 

 ★★★★

恋のライバルは草でした(マジ)。洋食屋の見習い・藤丸陽太は、植物学研究者をめざす本村紗英に恋をした。しかし本村は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。見た目が殺し屋のような教授、イモに惚れ込む老教授、サボテンを巨大化させる後輩男子など、愛おしい変わり者たちに支えられ、地道な研究に情熱を燃やす日々…人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!?道端の草も人間も、必死に生きている。世界の隅っこが輝きだす傑作長篇。 

植物学の研究をしている大学院生と大学の近くの洋食屋の見習い。植物の魅力にとりつかれ研究に没頭する本村に恋をした料理人見習いの藤丸。勇気を出して告白するも、自分は植物たちの愛なき世界に生きるため恋愛は捨てた、と見事にフラれる。

傷心ながらも彼らの研究に敬意を払い植物の生態に興味を持ち自分のできることで彼らを支えようとする藤丸がとても素敵だ。

そして生物学の研究という自分とは全く縁のない世界ではあったけれどとても興味深く面白かった。

しをんさんの取材力…すごいな。
植物には「愛」はわからない。でもその植物の魅力にとりつかれて謎を解明したいと他のことを犠牲にして研究に没頭する人たち。それを見守る周りの人たち。
「愛なき」と言いながら、愛にあふれた世界だった。よかった。