りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

楽屋半帖 第2回

6/10(月)、駒込落語会で行われた「楽屋半帖 第2回」に行ってきた。

・さん助 ご挨拶&お題取り
・さん助「狸賽」
・さん助「まんじゅうこわい
~仲入り~
・さん助「徳ちゃん」「三題噺(パンダ、いちご大福、金魚)」

さん助師匠 ご挨拶&お題取り
前回は私、まくらなしで噺に入りましてその後みなさんを驚かせてやろうと思ってこの会では三題噺をやります!と発表したんですが、話してみたらお客様より自分が一番驚いちゃったという…。
もうほんとに「なんで三題噺をやるなんて言っちゃったんだろう」という後悔でいっぱいで、仲入りの時に逃げ出したい気持ちでした。

…ぶわははは。
いやほんとにびっくりしたよー。心配もしたし。

で、前回は仲入りの前にお題を決めて仲入りで噺を作りましたけど、今回は変えます。さすがに時間が足りないので…。
最初にお題を決めて、それから二席やって、仲入りをいただいて、それからやります。

…いやいやいや…。最初にお題決めてもその後高座があって、噺を考えるのは仲入りの時なんだから、今お題を決めても仲入り前に決めても同じですからー。
気付いてないさん助師匠って…むしろすごい(笑)。

さん助師匠「狸賽」
この間鈴本で聞いた時とは打って変わって、小噺をたっぷり丁寧に。
狐と狸が博打をやりたいなぁーと喋っていて、狐が出て来た人間に化けて入って行って成功。
それを見ていた狸が俺も早くやりたい!と待っていると、また出て来た人間が。喜び勇んで入って行くと「狸が入って来た」とぼこぼこに。
なんでだろうと考えたら、化けるのを忘れて入って行ってた。

…そうそう。これぐらいちゃんとやればこの間のお客さんもちゃんと噺に付いて行けたのよ。(←何様。)
そんなまくらから「狸賽」。
鈴本で聞いたのよりずっとずっと面白い。
狸がサイコロに化けた時、ものすごーく大きいのを、目の動きで。こういうの、とっても楽しい。
サイコロを振る時に「たーちゃん」と呼びかけるおかしさ。目の説明もゆっくりと丁寧。
楽しい~。すごく面白かった!

さん助師匠「まんじゅうこわい
自分の家に友だちを大勢呼んだ男。なぜか電気をつけず真っ暗な中にいる。
「何で電気をつけないんだ?」と聞くと、「電気なんかつけなくていいんだよ。つけなくてもそのうち近所の電気が漏れてくるからそれで明るくなるよ」。
「あとしばらく目をつぶってから開けてごらん。暗闇に慣れて見えてくるから」
「それじゃ術だよ」。
それから実は今日は俺の誕生日なんだから始まって、蛇が怖いと言う金ちゃんの話から、お互いに怖いものを言い合おう、という流れに。

…おおお。「まんじゅうこわい」だ!
部屋を真っ暗にしている、っていうのは初めて聞いたな。どこで仕込んできたんだろう。
わからないけど、こういうところがいかにもさん助師匠!って気がして好きだなぁ。
買って来たまんじゅうがいちいち有名どころのまんじゅうなのも楽しい。「これは御門屋の揚げまんじゅうじゃねぇか」とか1か月分の手間賃を全部つぎ込んで高級なまんじゅうを買ってきちゃうやつとか。
動きが大きかったり反応が激しかったり…こんな聞き飽きた噺もこんなに楽しいのかー。
やっぱりさん助師匠の落語はピカーっと明るい時が最高だなぁ。

さん助「徳ちゃん」~「三題噺(パンダ、いちご大福、金魚)」
まくらなしでいきなり落語に入った。
お、おおお。これは徳ちゃん!
早口でどんどん進んでいくんだけど、これがとっても面白い。若い衆に声をかけられて「どうする徳ちゃん?」と振り向くだけでおかしいのはなんなんだ。
お店の女の子のお見立てをするのに、「真ん中の白いの」と言ったらそれは柱で「その両隣の黒くてうずくまってるのがうちの女の子たちです」。
なんだよ黒いのがうずくまってるって。ぶわはははは!
「離れ」に入った客がかっぽれを踊って下に落ちてうめき声が聞こえてきて「うめき声が聞こえてくるというのは生きてる証拠ですから」もおかしいけど、1時間かけて釣り上げたっていうのもばかばかしくて楽しい。
芋をかじりながら入って来た女の子もニコニコ笑顔でやる気満々なのがすごくおかしい。
「ちゅうするべ」「同衾するべ。ほら、同衾同衾!」って。わはははは。

で、サゲまでいったと思ったら「うるせーーーーー!!!」と大声。「うるせぇ!!益子!!(さん助師匠の本名)」にはひっくり返るほど笑った。
「あれよ、隣の売れない噺家。売れないもんだからずっと家で稽古してるの。昨日なんか文七元結をたっぷり聞かされちゃった」
「お前、詳しくなってるじゃないか」
「文七のあとは芝浜をたっぷり。お前は談春か!」に大爆笑。

そして、「ここは駒込ソープランド太閤」にびっくり&大笑い!
この会場に向かって歩いている時、線路の向こう側に確かにあった。ソープランド太閤。
なんだあれ?なんでこんなところに?と不思議に思いながら歩いてきたので、おかしくておかしくて。

ソープ嬢のひとみとマネージャーの哲(だったかな)。2人はこっそり付き合っているのだが隠しているのが辛くなったのでオーナーに話そうという哲。まだ心の準備ができてないと言うひとみ。
「あたしここをクビになったら…大宮のソープランドに行くしかなくなっちゃう。埼玉は嫌!」。
…ぶわはははは!!!
そんなひとみはパンダが大好き。一緒に見に行ってくれる?とひとみが言うと「いいよ」と哲。
日曜日、田町で待ち合わせた二人が上野で降りて鈴本の前を通り過ぎるとそこには「にゃんこ金魚」の名前が!「ここで金魚…」とつぶやくさん助師匠に笑う。
パンダを見るのには大行列に並ばなければいけない。2時間待ちと聞いてうんざりするひとみに哲が差し出すのがいちご大福。
それを食べながらひとみが語りだす。
「お客さんが指名するときに入る待合室に水槽があってそこに金魚が泳いでいるでしょ。なぜかああいう場所の待合室には水槽があって金魚が泳いでるのよね…。」
ひとみがそう言った後に、「なんでそんなことを知ってるんだ」。ぼそっというのがおかしい。
「あたしあれを見てるとなんか…元気が出るの」。そう言った後に「ここで使うならにゃん子金魚は余計だったな」。ぶわはははは。
そしてようやくパンダを見てひとみは二人のことをオーナーに言ってもいいと決心。
なんでパンダを見たら決心で来たの?と聞かれ「だってパンダは白黒はっきりしてるから」がサゲ。

おおおお。ちゃんと面白い!
前回と同じ流れだったのもなんかいい感じ。でもなんで三題噺に入る前に一席やるんだろう?やりながら整理してるのかな?おもしろーい。
「うるせー益子!」と叫んだ時はほんとに意表を突かれて笑ったー。
まさかソープランド太閤が出てくるとは思わなかったし、待合所の金魚っていうのがなんかこう…昭和っぽい裏寂しさが伝わってきてちょっと文学的(笑)なのもさん助師匠らしい。

仲入りの時、さん助師匠が楽屋で苦しんでいる姿がちらっと見えてドキドキしたけどすごく面白かった。
楽しいなぁ。さん助師匠は会ごとにカラーを出してくれるから、会が増えるのはファンとしては嬉しい。