その腕のなかで
- 作者: カミーユロランス
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
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離婚目前の作家の「わたし」が一目惚れした美しい男は、精神分析医だった。男は力の源泉、そう考えてきたわたしは、彼の気を引くため、患者を装い、人生に登場したあらゆる男たちについて告白していく…103もの断章によって、繊細かつ野蛮に描写される男たちと、次第に明らかになる女の人生。絶賛を浴びたフェミナ賞受賞作。
これも読み始めてしばらくは、こ、これはだめかも、理解できないかも、やめたほうがいいかもと思っていたんだけど、徐々に引き込まれていき、これは案外すごい小説だったのかも?と納得した作品。
まぁいかにもフランス的ではあるなぁと思ったけど。(←お前にフランスの何がわかる?すみませんわかりません。)
精神分析医に一目ぼれした「わたし」が、患者を装って診察に通い、自分の人生に登場した男たちについて語っていく。
自分は男にしか興味がないと言い切り、女が出てくる小説は興味がないとか、あの男が私を見たとか、この男と寝たときにどうだったとか…ああ、あなたは男が好きなのね、はいはいよかったね、はい、と最初のうちは冷ややかに読んでいたんだけど、読みすすめるうちに、この人は男好きなわけじゃなくて、男のことがどうにも理解できないから知りたいだけなのかもしれない、と思い出した。
だって出てくる男が(父親をはじめ)、どれも酷くて彼女にむごいことばかりするのだ。彼女はそのたびに我慢したり耐えたり時には怒り狂ったり時には赦したり。
性についてセキララに語りながら、読んでいる側に、「実はこの人はそのことについては本当はどうでもいいと思っているのでは?」と思わせるというのは、結構凄いような気がする。