りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

アルジェリア、シャラ通りの小さな書店

 

アルジェリア、シャラ通りの小さな書店

アルジェリア、シャラ通りの小さな書店

 

 ★★★★

1936年、アルジェ。21歳の若さで書店“真の富”を開業し、自らの名を冠した出版社を起こしてアルベール・カミュを世に送り出した男、エドモン・シャルロ。第二次大戦とアルジェリア独立戦争のうねりに翻弄された、実在の出版人の実り豊かな人生と苦難の経営を叙情豊かに描き出す、傑作長編小説。ゴンクール賞、ルノドー賞候補、“高校生のルノドー賞”受賞! 

フランス統治下のアルジェリアで書店兼出版社「真の富」を開いた伝説の出版人エドモン・シャルロの章と、書店の解体整理を行うリヤドの章が交互に語られる。

カミュ、ジッドらの本を出版し文学賞受賞の喜びを味わいながらもレジスタンスの一員と見なされ投獄されインクや紙不足に苦しみ破産してしまうシャルロ。
書店はその後国立図書館となるが国が実業家に売ってしまったため貴重な本や手紙類が全てゴミの山と化す。

自由な思想が弾圧され本や書店が破壊される。どの国も同じ過ちを何度も繰り返すのかと思うと辛いが、読後感は不思議と爽やかだった。