りつこの読書と落語メモ

はてなダイアリーからブログに移行しました。

鈴本演芸場8月下席夜の部(1日目)

8/21(水)、鈴本演芸場8月下席夜の部(1日目)に行ってきた。

・琴調「清水次郎長外伝 小政の生い立ち」
・菊之丞「紙入れ」
~仲入り~
・扇遊「狸賽」
翁家社中 太神楽
・さん助「鴻池の犬」

琴調先生「清水次郎長外伝 小政の生い立ち」
うーん、かっこいい。最初の張扇の叩き方からしてかっこいい。
子どもたちが博打をやる姿を苦々しく見ていた清水の次郎長と石松。
酔っ払いが割って入ってきて子どもたちがてんでに逃げる中、一人だけその場に残り散らばった金を集めてむしろを店のおばあさんに返す子ども。
酔っ払いがその金を寄こせと子どもに迫ると、彼は棒きれで酔っ払いを打とうとする。
慌てて止めに入った石松が酔っ払いを追い払うと礼を言う子ども。
礼なら俺じゃなく親分に言いな、と次郎長のところに連れて行くと…。

「博打打ち」になりたいと夢見る小政。
子どものかわいらしさと肝の据わったところ。
まわりの大人がたじたじになるのが小気味いい。
楽しかった。

菊之丞師匠「紙入れ」
聞き慣れた「間男」の小噺から楽しくて思わずぶわはっ!と笑ってしまう。
おかみさんの色っぽさと小悪魔っぷりがたまらない。あんなふうに誘われたら誰だってひとたまりもないだろう。
リズムのよさなのかテンポのよさなのか、菊之丞師匠の落語はノリのいい音楽を聴いているようなグルーブ感があるんだよなぁ。楽しい~。

扇遊師匠「狸賽」
うーん、扇遊師匠もまた弾むような高座で楽しい~。
表情や動きに引き込まれる。
聞いていてウキウキしてくるような「狸賽」だった。

さん助師匠「鴻池の犬」
まくらなしで「鴻池の犬」。
うおおお。初日にいきなり「鴻池の犬」とは。
店の前に三匹の捨て犬を見つけた小僧の定吉。乾物屋に犬など置くことはできないという旦那とのやりとりが楽しい。
三匹のうちの黒犬をもらいたいと店を訪ねてくる男。
最初から「もらいたいと言う人がきたらあげてしまうよ」というのが旦那と定吉との約束だったから、旦那に「黒をあげることになった」と言われた定吉は文句は言わないけれど本当に悲しそう…。
ちゃんと餌ももらえなくなった白とブチ。ブチが轢かれて死んでしまい、もうここにはいられないと思い詰めた白は黒あんちゃんのいる大阪を目指して旅に。
途中でお伊勢参りのお礼に向かうおかげ犬と出会い、一緒に旅をする二人。
この二人の別れの場面では涙が…。うううう。なんで犬が別れるシーンで泣くんだ自分と思うも、優しくしてくれたおかげ犬と別れる心細さ、本当に黒あんちゃんに会えるんだろうかという不安を想うと、うるうる…。
一方、鴻池に引き取られて大事に育てられ、江戸っ子気質を発揮して「親分」になった黒犬。
この親分ぶりがなんともいえずばかばかしくておかしい。

自分の世界に客席をぐいっと引き付ける本当に堂々とした高座で、ぬおおお、さん助師匠どうした!すごいぞ!と嬉しい驚き。
いやぁ…心配してたんだようーほんと言うと。
なんか今席のさん助師匠トリはすごい期待できそう!うわーーーい。

平場の月

 

平場の月

平場の月

 

 ★★★★★

朝霞、新座、志木―。家庭を持ってもこのへんに住む元女子たち。元男子の青砥も、このへんで育ち、働き、老いぼれていく連中のひとりである。須藤とは、病院の売店で再会した。中学時代にコクって振られた、芯の太い元女子だ。50年生きてきた男と女には、老いた家族や過去もあり、危うくて静かな世界が縷々と流れる―。心のすき間を埋めるような感情のうねりを、求めあう熱情を、生きる哀しみを、圧倒的な筆致で描く、大人の恋愛小説。 

 50代になって再会した青砥と須藤。お互いバツイチで中学時代は淡い思いを抱いていた相手。時々会ってどうってことない話をしてお互いの屈託をこっそり逃がす、そんな約束で始まった二人の関係は、須藤が癌にかかったことで変化していく。

青砥の須藤を支えたいという気持ちと二人の未来を夢見る気持ち。
須藤の青砥に甘えたい気持ちと二人の未来を想う青砥に真実を伝えられなかった気持ち。
二人のすれ違いが辛いけれど、甘えなかったということがきっと須藤の最期の日々の支えだったようにも思える。

とてもよかった。久しぶりに本を読んで号泣した。

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29

 

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29

 

 ★★★★★

これが、世界で読まれるニッポンの小説! 日本と西洋、男と女、近代的生活その他のナンセンス、災厄など七つのテーマで選ばれたのは、荷風・芥川・川端・三島、そして星新一中上健次から川上未映子星野智幸・松田青子・佐藤友哉までの二十九の珠玉。村上春樹が収録作品を軸に日本文学を深く論じた、必読の序文七十枚を付す。
 

バラエティ豊かで独自のセレクションでとても面白かった。
近代~若手作家まで網羅されていてしかもとても渋好み(笑)。

好きだったのは津島佑子「焔」、河野多恵子「箱の中」、中上健次「残りの花」、大庭みな子「山姥の微笑」、小川洋子「物理の館物語」、澤西裕典「砂糖で満ちてゆく」、内田百聞「件」、青来有一「虫」。

村上春樹の序文もとても分かりやすくて、これらの短編を読む手助けになる。
今まで読んだことのない作家もたくさん出てきたので、これからまた読んでみようと思う。

さん助ドッポ

8/18(日)、お江戸両国亭で行われた「さん助ドッポ」に行ってきた。

・さん助 ご挨拶
・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第三十回「最後の最後の情婦」
・さん助「青菜」
~仲入り~
・さん助「大山詣り

 

さん助師匠 ご挨拶
この日はなんと柳蔭のサービスがあり、また鈴本の下席にみんな来てねと意味をこめての「うなんぷらりー」(鈴本でUnaさんを見つけたらスタンプを押してもらえてスタンプが4つたまったら粗品のプレゼント!)のお知らせもあり、と盛りだくさん。

それから一門会で福岡に行ったときの話。
「私帰るのを2日遅らせまして数少ない私の友人と会ったんです、何年かぶりに。それでその友人が”お前にものすごくうまい串焼きを食わせてやる”と言ってくれまして。なんでもその店、中心街から1時間ほど離れた場所にあって、とても頑固なおじいさんがやっている店なんだけど、とにかく串焼きの常識を覆すうまさんなんだと。基本的にはうすーい豚肉で野菜などを巻いて揚げるらしいんですが、そんなにうまいの?と期待が高まりまして…」。

行ってみると店主は70歳ぐらいの元気なおじいさん。ここの店メニューが置いてないし値段も書いてなくて、店主がその日のオススメのものを勝手に次々出してくる。店主がおしまいと思うまで次々出されたものを食べる、というシステム。
そしてどれもこだわりの食材で「この豚はどこどこの豚でどうしたこうした」「これはどこどこ農場と直接契約していてその日にとれたものを使ってる」などなど。
で、確かにうまい。今まで食べたことがないようなうまさ。
でも私だんだん心配になってきちゃいまして…。というのは私その店に行く前に「今日は俺がおごるよ!」と見栄はっちゃったんです。
現金で3万円おろしてきてたんですけど、どれもこれもこだわりの食材、生ビールなんかもかなり飲んでしまっている、そしてとてもカードなんかは使えそうにない。
これはことによると足りないのでは…そう思うと気が気でない。
結局会計をしてみたら二人で1万円ちょっと。店主が私に向かって言いました。「そんなにびくついちゃいけねぇよ」。
…見透かされていたんですね…。

…ぶわはははは。おかしい!!
会計が心配で挙動不審になるさん助師匠が目に浮かぶ。

さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第三十回「最後の最後の情婦」
なぜ「最後の最後の情婦」かというと、第27回をやったときに、もうさすがに義松もこれで女は作らないだろうと思って「最後の情婦」とタイトルを付けたんですが、ここにきてまさかの…また女を作りました。それで仕方なく「最後の最後の情婦」です。
「西海屋騒動」残りわずかなんですがさらに女を作ると「最後の最後の最後の」になります。

三蔵の口利きがあったおかげで清水の次郎長の子分になった義松。
しかししばらくは特に何もすることがないというので、水口の方に行って賭場に出入りをしたり遊郭に行ったりして遊ぶ毎日。
水口に阿部四郎治という御家人がいて一刀流の達人だった。水口で遊ぶうちに阿部と懇意になった義松は阿部の家に招かれるようになった。
阿部の女房が元は遊女のお関。たいそうな器量よしで色気がある。
お関も江戸の出身ということで3人で江戸の話をしたりして楽しい時を過ごしていたのだが、そのうちお関が義松に色目を使うようになる。
義松はすぐにお席の気持ちに気が付いたが、さすがに阿部の女房に手を出すのは…としばらくは抑えていたのだが、そのうち二人は深い仲になる。

ある時、お関が芝居見物に行って留守だといって呼び出された義松。何事かと思っていると、「情報筋から聞いたところによると徳川家はもうだめらしい。官軍が勝つというもっぱらの評判だ」という阿部。
そこで自分はここで追剥になり駿河中の金を残らず集めその金を持って官軍に寝返ろうと思う。
自分と一緒に追いはぎをやらないか、という相談であった。

それを聞いた義松はすぐにその話に飛びつく。
そして隙があらば阿部の寝首を掻いてしまおうと考える。

駿河の国には土井正作という豪農がいて、二人は土井を襲い千両奪おうと計画を立てる。
夜中土井の屋敷に忍び込むとすぐにその物音に気付いた正作。臆することなく追いはぎ二人を屋敷に入れ、黒装束で顔を隠している阿部に向かって「お前は阿部四郎治だろう」と言い当てる。
肝の据わった土井に逆に気圧されてしまった二人。
いったいこのあとどうなるのか…。

…おいおい。
なんか前回急に清水の次郎長が出てきてそこで今までの悪事を払うだのなんだのきれいごとを言っていたと思ったらもう追いはぎかい?
で、大きなことを言ったわりにじじいに気圧されちゃう阿部もいったいなんなんだ。
そしてこの間は糞尿にまみれいたくせにまた元遊女に色目を使われちゃう義松。
なんだよー。

さん助師匠「青菜」
おおお、さん助師匠の「青菜」久しぶり。前に鈴本で聞いたことがあったっきりだった。
さん助師匠の「青菜」は旦那がちょっと変(笑)。鷹揚で慈愛に満ちているけどどこか少し変人っぽさを醸し出しているところがおかしい。
植木屋さんの酒の飲みっぷりがいいねぇ~。そして鯉もおいしそう!おいしそうなんだけど食べ方が激しいのが面白い。
帰ってからの女房とのやりとりは完全に女房にやられちゃってるのがおかしい。
「お前、やなぎかげって知ってるか?」
「知ってるよ、直しだろ」
「鯉のあらいって言ってもシャボンで洗ったわけじゃねぇんだぞ」
「知ってるよ、刺身だろ」
「おまえ…何でも知ってるんだな」
声をかけられてあがってくる半ちゃんが「大阪の友人?お前に友人なんかいたの?」にも笑うけど「菜はきれぇだよ!」ときっぱり言うのもおかしい。
押し入れから飛び出してくる女房もド迫力で笑ったー。

さん助師匠「大山詣り
この間、燕弥師匠との会で聞いているけど、あの時と結構内容が変わっていた。
「喧嘩したら髷を落とそう」と言い出すのがなんとくまさん。
確かにそれだとやられた二人が先達さんになだめられても納得しなかった理由もわかる。
あとやっぱりくまさんは髷を落とされたことよりも置いて行かれたことに怒ったんだな、と思う。
坊主になったくまを見つけた女中がすごくおかしかった。

あー楽しかった。
いよいよ8/21(水)から鈴本演芸場のトリが始まる。ドキドキー!



 

第11回 夏丸谷中慕情

8/16(金)、chi_zu2号店「第11回 夏丸谷中慕情」に行ってきた。

・夏丸「茄子娘」
・夏丸「青い鳥」
~仲入り~
・夏丸「馬の田楽」

夏丸師匠「茄子娘」
寄席でもよく見る夏丸師匠の「茄子娘」。
もとは扇橋師匠が協会の事務員さん(元噺家)から教わった噺だったとは知らなかった。
こういう不思議な噺が夏丸師匠にはとっても似合う。
夏らしくていいな。楽しかった。

 

夏丸師匠「青い鳥」
いかにも芸協噺っぽい昭和風味の噺だけど、これもまた夏丸師匠にぴったり。
旦那が歌う桜田淳子の「幸せの青い鳥」に合わせて奥さんがあてぶりの踊りを踊る。このあてぶりのくだらなさ。
笑った笑った。


夏丸師匠「馬の田楽」
夏丸師匠の「馬の田楽」は末廣亭の真打披露興行の時に見ているんだけど、その時とは様変わり。ものすごいふざけてる(笑)。特に後半出てくる耳の遠いおばあちゃんはどこをどう見ても志村けん
小三治師匠の「馬の田楽」を見慣れているので「ムムム」だけど、これはこれであり。馬の田楽爆笑編。

あとは切手を、一枚貼るだけ

 

 ★★★★

かつて愛し合い、今は離ればなれに生きる「私」と「ぼく」。失われた日記、優しいじゃんけん、湖上の会話…そして二人を隔てた、取りかえしのつかない出来事。14通の手紙に編み込まれた哀しい秘密にどこであなたは気づくでしょうか。届くはずのない光を綴る、奇跡のような物語。 

小鳥の羽音に耳をすませるような、暗闇の中で小さな光の粒を見つめるような、とてもひそやかな手紙のやりとり。
読んでる側も二人の男女の人物像や離れてしまった理由など何もわからない手探りの状態で、二人の静かな語りに身を任せるしかない。

まぶた、視力、切手、閉じ込められる人、アンネ、湖、ボート、小鳥…そして幼い人。

二人を分かつことになった出来事に胸が痛むが、そのことも超越した次元に二人がいるような印象も受ける。

お二人の作家がどういうふうにしてこの物語を書き進めていったのかも気になった。 

さん喬・権太楼 特選集

8/14(水)、鈴本演芸場で行われた「さん喬・権太楼 特選集」に行ってきた。

・さん助「黄金の大黒」
・紋之助 曲独楽
・ほたる「真田小僧
・市馬「芋俵」
・一之輔「短命」
・のだゆき 音楽
喬太郎「同棲したい」
・露の新治「鹿政談」
~仲入り~
・ダーク広和 マジック
・権太楼「笠碁」
・正楽 紙切り
・さん喬「ちきり伊勢屋」


さん助師匠「黄金の大黒」
開口一番。
金ちゃんの「ごちそうっていうことは普段食べられないようなものが出ますか?」「白いおまんまにかつおぶしをのっけてその上に醤油をかけて…」の切実さに笑う。
羽織がないとごちそうにありつけないぞとなったときに金ちゃんが「みなさーん、おねがいしまーす。羽織お願いしまーす」「選挙演説かよ」に笑う。
大好きなサゲも聞けて満足。
明るくて軽くてよかった!


一之輔師匠「短命」
「普段寄席は当日券でぼーっとしたお客さんが多い。今日は前売りでこの時間から満員で。前のめりの客は…いやだ!」に笑う。
こちらは本気なんか出しませんよ。だらっとやって帰りますからぼーっと聞いてくださいよ、と言って「短命」。
前半部分はテンション低めでささっと流して中盤からぐわっと面白くなってくる。
もう「短命」がなんでこんなに面白いの?!って驚くほど面白くて笑いどおし。
一之輔師匠らしいクスグリがたくさん入ってて最高だった。


喬太郎師匠「同棲したい」
一門会やさん喬師匠がトリの芝居だと新作で思い切り弾ける喬太郎師匠。
この日も「かんぱーい!」「うまいっ!」「やっぱり発泡酒発泡酒だな!」
と最初からノリノリ。
自由自在で満員のお客さんをぎゅうっと惹きつける。すごい。
笑った笑った。


露の新治師匠「鹿政談」
大好きな師匠。
品があって芸がきれいで明るくて軽くて楽しい。
「鹿政談」も上方弁だとまた違った味わいがあっていいなぁ…。うっとり。
時々ギャグが入るのも楽しい。素敵だったー。


権太楼師匠「笠碁」
今まで見た権太楼師匠の高座の中で一番好きだったかもしれない。
強情なおじいさんもわがままなおじいさんもなんてチャーミングなんだ!
表情が豊かで動きがきゅっとしてるのがとってもかわいい。
喧嘩の激しさとその後の「言わなきゃよかった」の対比が見事で、お互いに「あいつは俺としか打てない碁だ」という確信がおかしい。
とても陽気だけど最後はじんわり。楽しかった!


さん喬師匠「ちきり伊勢屋」
初めて聴く噺。
1時間に渡る長講だったけれど素晴らしかった。物語の中に完全に引き込まれて目の前に苦しむ若旦那とそれを見守る番頭さん、彼が助ける父娘、親しくなった幇間の姿が次々浮かんでくる。
情感たっぷりなんだけどそれを引いて見ている視線もあるからほんとに目の前でお芝居を見ているよう…。
終わったときはしばし呆然。
これも落語なんですね…。長講より圧倒的に短くてばかばかしい噺が好きな私だけど、これはほんとにすごいものを見られた!という気持ちでいっぱいに。
素晴らしかった。

 

小んぶにだっこ

8/13(火)、落語協会で行われた「小んぶにだっこ」に行ってきた。

・小んぶ「持参金」
~仲入り~
・小んぶ「松曳き」


小んぶさん「持参金」
一門で九州に行ってきたときの話。
昼夜公演だったんだけどその中でらくご体操をやることになっていた。
これ、一門の弟子全員がTシャツ、短パン、ソックスを履いて、落語の所作を体操としてやるというもので、東京でやるといつもバカうけ。
今回も「あれやっちゃう?」「ちょっと卑怯だけどな」なんて言いながらやったんだけど…。
やはりあれですね、これってよく落語を知っている人でないと面白くない。
見事にすべりました。
一番ウケたのが、全員がその格好で舞台に登場したとき。
あとは善良なお客様たちが…ええと?どこで笑えば?笑う所教えてくれたら笑うんだけど?みたいな戸惑いの表情。
すっかり心が折れたんですが、プログラムに書いてあるからやらないわけにいかない。
楽屋でみんなであれこれ案を練ったんですが、いまさら何か変えることもできない…。そもそも11人みんなで合わせるような時間もないですし。
「いいんだよ!これはうけるためにやるわけじゃないんだ。体操なんだから。一門全員の顔を見ていただくっていうことが大事なんだ」って…。誰ともなくそんなことを言って…慰めあいました。

…ぶわはははは!!!おかしい~。

それから一門会のあとも九州に残って、やなぎさんと小太郎さんと3人でいくつか会をやってまわった話。
茶番をやるために和助さんのところに教わりに行ったり、本番でやらかしたり、それが思わぬお客さんの感動?につながったり…。
まぁまくらが止まらない止まらない。
そしてなんか急に懺悔を始めたり…それでお客さんが引いてしまった!と思った小んぶさんが少し挙動不審に(笑)。
こんな小んぶさんは初めて見たんだけど、どどどうした?

そんなながーいまくらのあと「持参金」。

もしかしてお客さんに引かれたと思ってやけになってこの噺を?…というわけじゃないだろうけど、女性の容姿の描写が酷いので嫌いという人も多いこの噺。
小んぶさんのはおなべさんの眉毛が太くてつながっていて「はちまき?」。
ひどいけどおかしい。まくらが長かったので噺は刈り込んでショートバージョン。


小んぶさん「松曳き」
「侍」の精神を持っているのにどこまでも粗忽な三太夫
小んぶさんが飄々としているのでそれも相まってめちゃくちゃ面白かった。

小んぶさんのまくらって本当に面白くて毎回爆笑なんだけど、自分をさらけ出し過ぎると落語に入りにくくなっちゃうんだな。
まぁ小んぶさんもこういう自分主催の会でなければそんなにまくらを長くしゃべることもないわけだから、これはこれで全然ありだと思います!

続 横道世之介

 

続 横道世之介

続 横道世之介

 

 ★★★★★

バブルの売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。横道世之介、24歳。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。 

よかった~。やっぱりいいなぁ、横道世之介は。

世之介は決して強い人間ではなく小心なところも優柔不断なところもある普通の人だけど、いざとなったとき…追い詰められたときに本能的にぱっと助けに走り出すところがあって…それが善良さということなんだと思う。

いつもは頼りないけど本当に苦しんでいる時は一緒にいてくれて決して手を離さないでいてくれる。

恋人としては物足りないと思われて別れて疎遠になってしまっても、時々その優しさや温かさが思い出されて忘れられない。そんな人物。

世之介にまた会えてよかった。続々も出るといいな。

第四回 柳家さん助の楽屋半帖

8/12(月)、駒込落語会で行われた「第四回 柳家さん助の楽屋半帖」に行ってきた。


・さん助「迷子パンダの夏」の続編
~仲入り~
・さん助「かぼちゃ屋
・さん助「臆病源兵衛

さん助師匠「迷子パンダの夏」の続編
ちょっと怖い顔で高座に上がったさん助師匠。
出囃子が鳴り始めても主催者がずっとおしゃべりをしていたので怒ってる?と思ったら、いきなり顔をゆがめて「がぉーーーーー」。
ぶわはっ。もももしや前回の「迷子パンダの夏」の続き?!

東京湾に現れた巨大なパンダ。がぉーがぉーと叫びながら時折「シャンシャーン。シャンシゃーン」。
どうやらこのパンダ、シャンシャンのお母さん。シャンシャンに会いにはるばる中国からやってきたらしい。
自衛官が二人で話をしている。
「あのパンダはいったいどうやって…」
「泳いできたんだよ!中国から。こうやって(溺れてるようにしか見えないしぐさ)。あっ、貴様、何をやってる!」
スマホをいじるしぐさをしながら)「ウィキペディアで調べてます。パンダは泳がないそうですが」
「飛んできたんだよ。パンダは飛べるんだよ!羽があって。こう…(ばさーばさーーっと飛ぶしぐさ)。あ!またスマホ!やめろ、スマホ!」
ウィキペディアによればパンダは飛びません!」
「密漁船で来たんだよ!」
そう言った後に「さぁそろそろ出発だ!とっとと乗りねぇ!」
「え?いきなり江戸弁?」
「船頭は江戸っ子なんだよ」

この東京湾から上がったシャンシャンのおかあさんが向かった先がなんと駒込
駒込では落語会をやっていて…まさにさん助師匠が「時そば」をやっている最中。
「それを見ておりましたが我々同様…と言いたいところですが、さらにぼーっとした男」、さん助がそう言うと、お客が「おい、巨大パンダが駒込に向かってるそうだぞ!」「落語どころじゃないよ!」。
「それを見ておりましたのが我々同様…」
「巨大パンダがくる!」
「それを見ておりましたのが…」
「やめろ!」

おかあさんパンダの気配に気づいたのか、シャンシャンも上野動物園を飛び出して、母子は不忍の池で再会。
「シャンシャーン」
「おかあさーん。なんでここに?」
「実は借金で首が回らなくなってて、日本で人気者になってばかすか稼いでるお前に金を借りたいと思って」

(「今、理由を言ったらお客さんどん引きしましたね…」とさん助師匠。)
「えええ?そんな理由?私が自由に使えるお金なんてないわよ」
「そうだと思ったからお金はいいのよ。保証人になってくれればいいから。ハンコはここにあるわ」

ハンコをシャンシャンに押させようとしてもみ合う二人。
これを見ていた自衛官が官邸に連絡。官房長官からは「撃て!」の命令が。
撃とうとするとそこに登場したのがソープランド太閤のひとみさん。
仲間のソープ嬢とともに襲撃を阻止。

場面が変わって、さん助が一席終えると「はい。これ、会でやっていいわよ」「ありがとうございます!」。
さん助がひとみさんのところに上げの稽古に来ている。
で、サゲへ。(ここらへん記憶があいまい)

…激しくてバカバカしくて笑った…。

さん助師匠「臆病源兵衛
この間のように後半しょんぼりすることなく(笑)、最後まで明るく楽しかった。
あにぃの家に向かう源兵衛がはちと手をつなぎたがったり、指をからめたりするところがおかしい。
自分が死んだと思い込んだはちが「あー、俺、源兵衛に殺されちゃったんだ。あんのやろうー。あいつのところに行ってとりついてやる!」と言った後に「やめた。めんどくせぇ」というところが大好き。
いま絞めた鶏の羽をばさーーっばさーーっとむしるおばあさんのおかしいこと。
楽しかった!
次は9/23、10/7とのこと。

 

柳家小三治独演会

8/12(月)、有楽町ホールで行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。
 
・三三「五目講釈」
小三治ちはやふる
~仲入り~
小三治「長短」
 
三三師匠「五目講釈」
道楽が過ぎて勘当になって居候している若旦那。その家の主に「なにか商売をしたらどうか」と言われて「だったら自分は考えていることがあるから長屋の連中を集めてくれ」。
何かと思ったら長屋の連中を前に若旦那が講釈を披露。
これが最初のうち素人と思えないほどの名調子なのだがそのうちどんどん話があやしくなって…。

めちゃくちゃ面白かった。
三三師匠の講釈がうまいだけに内容がどんどんめちゃくちゃになっていくのがすごく面白い。
時代設定がめちゃくちゃになっていきそのうち「ごほんといえば龍角散」からジェネリックがどうしたこうした…。
笑った笑った。楽しかった。
 
この日のまくらがめちゃくちゃ面白かった!
 
錦帯橋に行ってきました、と小三治師匠。
なんでも若いころにやなぎ句会のメンバーで行ったことがあったんだけど、錦帯橋にはいい印象がない。なぜかっていうと扇橋ですよ。
 
それから、やなぎ句会のメンバーの話や扇橋師匠の俳句が凄かった話や扇橋師匠にはどれだけ迷惑をかけられたかという話(引っ越しを手伝ったときに買ったばかりの三輪車(オートバイ?)を扇橋師匠の「オーライオーライ」を信用してバックしてたら思い切り右側をこすってしまった、とか、NYに落語会で行った時射撃場で扇橋師匠がとんでもない行動に走った話や扇橋師匠がとんでもない女好きだった話など)になり、同窓会の話になり…そうしているうちに舞台袖からマネージャーさんの声「師匠!もう時間がありません!!」。
 
「お前ねぇ…文句があるなら舞台に出てきたらどうだ!」にも笑ったけど「やるよ。落語も。やりますよ。」にも笑った。
で仕方なく?「知ったかぶり」のまくらに入ったんだけど、どうしてもまくらのオチを言いたかったらしい小三治師匠。
またさっきの続きを話し始めて、なぜ錦帯橋が扇橋師匠のせいで悪印象になったかを言ったんだけど、なんとまさかの下ネタ!(笑)
もう笑った笑った。大好きだ。
 
そしてこの日の「ちはやふる」がまたとっても面白かったのだ。
小三治師匠のまくらが止まらない時っていろんな面白いことが次々浮かんでくる時だから、そういう時の落語はたいてい面白いんだよなー。
時間がない!と思って刈り込みながらスピードもアップして。これがとっても面白い!
楽しかった。
 
小三治師匠「長短」
一席目が長かったのでもしやこのまま終演?と思ったのだが、ちゃんと仲入りがあって二席目も。
まくらなしで「小言念仏」かと思ったら、そうではなく。
扇橋師匠の話。一席目では私とあいつは「親友」だってまわりからは言われてましたけどそうだったんですかねぇ、なんて言っていたけど…「やっぱり親友だったのかもしれません」「なんか今日は扇橋のことが浮かんできますね」と。
そんなまくらから「長短」。
 
この流れからの長短ってほんとにたまらない。
長さんと短さんが小三治師匠と扇橋師匠に見える。
長さんのすることがじれったくてしょうがない短さん。短さんがじれてることがわかっているけどどこまでもマイペースな長さん。
気が合わないのにいないと寂しい。そんな余韻が残る長短にじーん…。
 

圓橘一門会

8/11(日)、深川モダン館で行われた「圓橘一門会」に行ってきた。


・じゃんけん「無精床」
・楽麿呂「劇中の圓朝
・圓橘「ぽん太と圓朝
~仲入り~
・ぽん太「彰義隊とぽん太」
・圓橘「心眼」

じゃんけんさん「無精床」
じゃんけんさんを見るのは久しぶりだったけど、師匠にとっても似てきた!
ぱきぱきっとしたところとか、ギャグがすっと入るところとか。テンポと間がいいので思わず「ぶほっ」と笑ってしまう。
面白かった。

 楽麿呂師匠「劇中の圓朝
初めて見る師匠。
2年前に松竹の行った「 妖麗 牡丹燈籠 二幕」というお芝居で、圓朝役をやったときの話。
電話がかかってきてから、初顔合わせ、そして稽古を重ねて、巡業へ。
主演が山本陽子、佐藤B作って…すごい!
その時のエピソードをギャグ等を交えながら…ちょっと面白かったのが、この近くがちょうど深川まつりのお神輿の休憩所になっているらしく、わっしょいわっしょいの声が徐々に近づいてきたかと思ったら、三三七拍子。気が散るといえば気が散るんだけど、タイミングといいなんかぴったりでおかしい。
後半に自分が演じた圓朝とぽん太との会話の部分をやってくださったんだけど、なんか圓朝の言葉が心に沁みた。

圓橘師匠「ぽん太と圓朝
圓橘師匠はよくまくらで圓朝のエピソードを話してくださってそれがとても楽しい。

30人もの弟子を抱えて彼らが食べていけるように計らったり何度も引っ越しを重ねてどんどん邸宅を大きくしたりしただけのことはあって、商売上手な一面も。
そんな圓朝のエピソードにぽん太を絡めた新作。
圓朝のきれいで隙のない佇まいと、いかにも与太郎さんなぽん太の対比がとても落語らしくて楽しかった~。

ぽん太さん「彰義隊とぽん太」
ちょうど小説の「圓朝」を読んだばかりだったので、ぽん太という名前を付けてもらうってすごい!!と思ってしまう。
初代ぽん太はほんとの与太郎みたいな人物で圓朝にとても愛された弟子で、だから師匠に言いづらいことはみなぽん太に言わせていた、というエピソードがあったけど、このぽん太さんは与太郎っぽくない。機敏で気が利いて器用で「できる」イメージ。
彰義隊とぽん太」はぽん太さんの自作とのこと。
上野を官軍が囲み戦争状態に入りそこかしこが封鎖状態になり寄席に向かうことができなくなった圓朝
師匠が寄席に来ないことを心配した弟子たちが師匠宅へ向かおうとしたがやはり封鎖されていて向かうことができない。
事情をまるで呑み込めてないぽん太が周りが止めるのも聞かずに出かけていくと、案の定官軍に捕まってしまう。
しかし官軍の中に落語の好きな者がいて「これは圓朝の弟子のぽん太だ」と言って庇ってくれる。
そしてせっかくだからここで落語をやれと言われたぽん太は…。

おおお。面白い。本当にあったエピソードを使って、噺家ぽん太を登場させる…メタ落語とは。


圓橘師匠「心眼」
この噺も圓朝作だとは知らなかった。
プログラムを渡されて今日のトリネタが「心眼」だと知って、圓橘師匠の「心眼」…これはすごくいいだろうなぁと思っていたのだが、想像通り…いや想像以上に素晴らしかった。
梅喜の心の変化がもうとてもリアルで人間臭くて…。
目が見えるようになってからのあれこれは見ていて「ああっ」と声が出てしまうほどなんだけど、でもこれが人間だよなぁ…というなにかこう愛おしさのようなものもわいてくる。
サゲもさらっと言ったのが鳥肌もんだった。よかったーーー。

国語教師

 

国語教師

国語教師

 

 ★★★★★

十六年ぶりに偶然再会した、元恋人同士の男女。ふたりはかつてのように物語を創作して披露し合う。作家のクサヴァーは、自らの祖父をモデルにした一代記を語った。国語教師のマティルダは、若い男を軟禁する女の話を語った。しかしこの戯れこそが、あの暗い過去の事件へふたりを誘ってゆく…。物語に魅了された彼らの人生を問う、ドイツ推理作家協会賞受賞作。 

とても面白かった!

いわゆるイヤミスなのかと思って読み始めたのだがなんのなんの…。(この表紙にこのタイトルだったら…そう思うよなぁ…。)

16年ぶりに再会した元恋人同士の男女。クサヴァーは作家として成功をおさめ、マティルダは国語教師として一人で生きている。
大学で出会った二人。マティルダは作家の卵だったクサヴァーを陰ひなたなく支え、いずれは結婚して二人の子供を持つことを夢見ていたが、クサヴァーはそんな彼女を捨てて金持ちの女とスピード結婚し子どもをもうける。

お互いに送りあうメール(現在)、お互いに語り合う物語(過去の物語)、二人の物語(現在)、という構造が見事。「物語ること(フィクション)」がテーマになっているのでお互いに語り合う物語が現実とどうリンクしているのか、何をお互いに伝えようとしているのか、それを読み解く面白さ。

またマティルダとクサヴァーの人物造形も一筋縄ではいかなくて面白い。
構造、仕掛けの面白さはもちろんあるのだけれど、人間の多面性、誰かを愛し愛されることの不思議が際立っていて、そこがとても好きだった。

昼八ツ落語会

UNA galleryで行われた「昼八ツ落語会」に行ってきた。

・さん助師匠 ご挨拶
・さん助「かぼちゃ屋
・さん助「臆病源兵衛

さん助師匠 ご挨拶
先週末、一門で九州に行ってました、というさん助師匠。
うちの一門では落語体操というやつをやります。落語の所作を体操にしてやるんですけど、この時は白Tシャツに白い短パン、白いソックスを履くことになってます。
私が楽屋で白T着て短パンを履いてるとうちの総領弟子が…「え?お前それ…ステテコ?」っていうんです。
「いや兄さん、これはステテコじゃありませんよ。短パンですよ」
「いやいや、それステテコだろ?」
「違いますよ。短パンですよ。さすがに間違えませんよ」。
何度かそんな会話をして改めて見てみたら…ステテコでした…。
ちょっと言い訳させてもらうと、私がその時履いてたのは少しこじゃれたステテコで…ウエストのところに黒い線が入ってたのでステテコだと思わなかった…。いやでも下着ですからね…間違えないですね、ふつう。
楽屋にいた人間がみんなあっけにとられてましたね…。

…ぶわははは。
すごいな、さん助師匠。さすがです。

さん助師匠「かぼちゃ屋
与太郎のけだるさが独特で面白い。結構あれこれ理屈を言うんだけど、めちゃくちゃなところもあるけど、言いえて妙ということもあって、それがおかしい。
与太郎を見送るおじさんが「売り声は大きな声で」「裏通りを行け」「上を見ろ!」などと大声でいつまでも叫んでいるのがエキセントリックで、え?おじさんは常識人じゃなかったの?(笑)
さん助師匠らしい、ちょっとエキセントリックな「かぼちゃ屋」で面白かった。

さん助師匠「臆病源兵衛
私は間違いなくビビりです、とさん助師匠。
なにせ、待ち合わせしていて待ち合わせしてる人が現れるとびっくりしちゃうんですから。
そんなまくらから「臆病源兵衛」。
源兵衛がキャーキャー言って怖がるのがやたらとおかしい。
夕方になって部屋を閉め切って蚊帳の中で震えている源兵衛が、はっつぁんに「あにぃの所に源兵衛のことを見初めた女が来ている」と言われると、「行く」と急に低い声で答えるのが、はっつぁんが言ってた通り源兵衛の女好きが伺えて面白い。
そのくせ扉のところまで出てくると「うわぁ、はっつぁん!!」って驚くのが、まくらと繋がっていて面白い。

その後、兄貴の家に行ってからのやりとりや、不忍の池のくだりになって、少しテンションが下がったのはなんでだろう?ちょっと疲れちゃった?
でもすごくさん助師匠に合ってる噺だと思ったので、また見たいな。